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2024.06.16

【第56回】 「天城黒豚」の豚骨

絶品・天城黒豚のラーメンを食べに淵野辺「中村麺三郎商店」へ!

日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。

CREDIT :

文・写真/山本益博 編集/森本 泉(Web LEON)

山本益博 WebLEON  ラーメン革命 中村麺三郎商店

抜群の香りと甘味が印象的な「天城黒豚」

「天城黒豚」との最初の出会いは、東京・南青山のバスク料理店「ローブリュー」だった。豚肉ロースの炭火焼きを注文し、いただいた時、あまりの美味しさに仰天、感動したのだった。とりわけ脂身の、シルキーで口の中ですぐにも溶け出す、その高貴なほどの香りと甘みが印象的だった。
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この料理を店に通っては繰り返しいただくうちに、今度は、表参道・北青山のとんかつ専門店「tonkatsu.jp」で、天城黒豚のとんかつに痺れた。そして、生産者の金子 渉さんと親しくなった。無理を言って、ハムとベーコンを送っていただくと、またもや、ロースハムの脂身とベーコンの脂身に感動した。金子さんのハムとベーコンがあるときの朝食はたとえようもないほど幸せだった。
山本益博 WebLEON  ラーメン革命 tonkatsu.jp
▲ 北青山のとんかつ専門店「tonkatsu.jp」の天城黒豚のとんかつ。
それが、今年になって、また新しい展開を見せることになった。湯河原の「飯田商店」でラーメンをいただいた時、「天城黒豚」の名前を耳にしたからである。帰り際に飯田将太さんに伺うと、金子さんの「天城黒豚」の豚骨を使ってスープをとっているのだという。
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スープの穏やかな、優しい味わいからは、とても「豚骨」のイメージは沸かなかったのだが、金子さんの「天城黒豚」の豚骨なら、むべなるかなと思え、途端に、「天城黒豚」のほかの部位が気になりだした。
山本益博 ラーメン革命! WebLEON 飯田商店
▲ 湯河原「飯田商店」の飯田さん(右)と筆者(左)。
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飯田さん曰く「東京・恵比寿の『婁熊(るくま)東京』が、『天城黒豚』のモツ、ホルモンを使っています」。すぐに金子さんに問い合わせると、「毎週水曜日だけ、うちのを使ってくれるんです」という。早速、店に予約して水曜日に出かけたのは、言うまでもない。その内臓肉の美味しかったこと!
金子さんにその感想を伝えながら、「天城黒豚」の豚骨を卸しているラーメン屋さん、「飯田商店」以外はありませんでしょうか? とお訊ねすると、「うちのゲンコツ、相模原の『中村麺三郎商店』にも分けています」とのことだった。ただし、毎日というわけにゆかず、毎月送るスケジュールを調整しているとのこと。
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天城黒豚のゲンコツを使った「中村麵三郎商店」へ

というわけで、普段の「中村麺三郎商店」のスープと、天城黒豚のゲンコツ(豚骨)を使った時のスープの食べくらべをしたくなった。

とりあえず、相模原の先、淵野辺にある「中村麵三郎商店」へ伺い、醤油ラーメンをいただいた。スープは醤油をガツンと受け止める味わいだった。
山本益博 WebLEON  ラーメン革命 中村麺三郎商店
▲ 淵野辺「中村麺三郎商店」の「醤油らぁ麺」。
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そして、金子さんからの連絡で、その日が決まった。すると、前日、メッセージに「限定でもも肉の炭火焼きが出ます。私も出かけますが、混みそうなので、10時には店に出かけます」とある。

私は、店の開店時間が11時30分なので、11時着の予定を立てていたのだが、慌てて予定を10時に変更し、西荻窪から八王子経由で出かけた。当日午前は雨模様の予報で、雨の中1時間半待たなくてはならないと思っていたら、幸運にも雨が降っていない。
山本益博 WebLEON  ラーメン革命 中村麺三郎商店
▲ 「中村麺三郎商店」の前で開店を待つ筆者(右)と金子さん(左)。
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淵野辺駅で降りると、なんと同じ電車から降りてきた金子さんと鉢合わせした。金子さんのお仲間がひとり、私もラーメン仲間のIさんを誘って計4人。店の前で長時間並んでいても話が弾んで、あっという間に開店時間となった。
券売機で「限定E」のチケットを買う。「伊豆の太湖豚 去勢 489日肥育 もも肉炭火焼豚」とあり、「金子畜育様の育てた〈伊豆の太湖豚〉通常の3倍以上の手間をひまかけて育ててくださった豚もも肉を炭火焼豚にて仕上げました」と添え書きがしてあった。
山本益博 WebLEON  ラーメン革命 中村麺三郎商店
▲ 「中村麵三郎商店」の「伊豆の太湖豚 去勢 489日肥育 もも肉炭火焼豚麺」。
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私は、実はこの炭火焼豚よりもスープが気になっていた。目の前に運ばれてきた丼には、堂々ともも肉炭火焼豚が4枚も載っていた。まずはスープとばかり、ひと口ふた口いただくと、醤油の味の奥から、なんとも清澄な味わいのスープが現れた。やっぱり、優れた豚骨で作るスープは違うかな? あとは、焼豚のボリュームある存在感に圧倒されながらも一気にいただいた。
山本益博 WebLEON  ラーメン革命 中村麺三郎商店
この焼豚、ご飯と一緒に食べたらさぞ美味しかろうと思われた。旨味の強い焼豚なので、味の濃いスープより白飯がより合うだろうと考えたのである。
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山本益博 WebLEON  ラーメン革命 中村麺三郎商店
▲ 「中村麺三郎」のご主人。
結論からいうと、「豚骨(げんこつ)」の質の良しあしで、スープはまったく違うものが生まれてくることを実感したのだった。

麺や醤油、塩などの食材の生産地、生産者同様、「豚骨」の由来が明記されるようになったら、これも一つの「ラーメン革命」になるのではなかろうか。
山本益博 LEON.JP  ラーメン革命!

● 山本益博(やまもと・ますひろ)

1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique

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