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2024.08.04

【第59回】 「新横浜ラーメン博物館」

30周年を迎えた「新横浜ラーメン博物館」はノスタルジーで味わい増し増し

日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。

CREDIT :

文・写真/山本益博 編集/森本 泉(Web LEON)

山本益博 ラーメン革命! WebLEON  新横浜ラーメン博物館

「ラーメン博物館」トータルプロデューサー相羽さんとの出会い

新横浜の「ラーメン博物館」が今年3月30周年を迎えた。30年前の1994年と言えば、ラーメンが全国区の人気になる直前、私は飲食店のガイドブック「東京・味のグランプリ」やフランス料理店ガイド「グルマン」の出版に一区切りつけた頃で、「味のグランプリ」で取り上げた「すし、そば、てんぷら、うなぎ、とんかつ、ラーメン」という東京の郷土料理への興味は失せてなかったものの、「ラーメン」だけは、豚骨中心に若者向けに味も話題も特化してゆくにつれ、私の視界から次第に遠ざかっていった。
したがって「新横浜ラーメン博物館」へは長らく足を運んだことがなかった。出かけるきっかけとなったのは、今から15年ほど前「新横浜ラーメン博物館」の内装を始めとするトータルプロデュースを手掛けられた相羽高徳さんにお会いしたからである。相羽さんはアートディレクター、空間プロデューサーとして知られた方で、ついこの間まで赤坂にあった「NINJA AKASAKA」の仕事を通じて知り合いになった。
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「NINJA AKASAKA」は、入店すると、忍者に案内されながら、迷路を潜り抜けて、席に着く。その忍者の修行の道がアイデア満載の洞窟の中の迷路だった。これをデザインされたのが相羽さんで、親しくさせていただくうちに「ラーメン博物館」も手掛けられたことを知り、それがきっかけで、遅まきながら新横浜まで出かけて行った。
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東京タワーが出来る以前の東京を再現したかった

館内に入って驚いた。現代の人気ラーメン店が軒を並べる街並みが、往年の東京下町の再現なのである。

私が小さい頃住んでいた東京・下町にあった駄菓子屋、電話ボックス、ゴミ箱に至るまで、それに映画の看板、どれも懐かしいものばかり、歩みを進めていくうちに天井が夕焼けにかわっていく。まさしく、昭和30年代の下町で、私にとっては「郷愁」そのものだった。
山本益博 ラーメン革命! WebLEON  新横浜ラーメン博物館
▲ 「新横浜ラーメン博物館」内の駄菓子屋。
山本益博 ラーメン革命! WebLEON  新横浜ラーメン博物館
▲ 昔は街にこんな電話ボックスがありました。
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先日、改めて「新横浜ラーメン博物館」へ足を運び、そして、相羽さんにお話を伺いたくなった。
「相羽さんは、どうして、『ラーメン博物館』を手掛けられるようになったのですか?」
「館長の岩岡さんと共通の友達がいたので、それがきっかけです」(相羽さん)

館長の岩岡洋志さんは、昭和34年(1959年)生まれ、全国のご当地ラーメンを1カ所に集めた施設を新横浜に作り、全国各地にフードテーマパークが誕生するきっかけにもなったと言われる。
山本益博 ラーメン革命! WebLEON  新横浜ラーメン博物館
▲  新横浜ラーメン博物館内の「淺草 來々軒」の「らうめん」。
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新横浜ラーメン博物館内の「手打ち麵 あお井」の「味噌ラーメン」。※店は7月15日までで出店終了。
▲  新横浜ラーメン博物館内の「手打ち麵 あお井」の「味噌ラーメン」。※店は7月15日までで出店終了。
相羽さんは昭和28年(1953年)生まれ。
「東京タワーが出来たのが1958年、新幹線が走り始めたのが1964年、あの頃から新しい東京がはじまっていったのですね。ですから、それ以前の東京を再現させるのが、東京の昭和のラーメンのイメージに合うと思って、そうしました。夕焼けも40分で変わっていくんです」(相羽さん)
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山本益博 ラーメン革命! WebLEON  新横浜ラーメン博物館
▲  新横浜ラーメン博物館内の「龍上海本店」の「赤湯からみそラーメン」。
「入場して、地下へ降りてゆくと、昔の懐かしい東京・下町がある。私は下町っ子だったから、どれもがノスタルジーで、そこで、今流行りのラーメンを食べる。とても不思議な感覚です」
「そう、ノスタルジー、それです。私、迷路、洞窟大好きなんで、そんな感覚で作りました。出かけたことない方、ぜひとも足を運んでいただきたいです」(相羽さん)

新横浜ラーメン博物館

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山本益博 LEON.JP  ラーメン革命!

● 山本益博(やまもと・ますひろ)

1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique

山本益博 YouTube  MASUHIROのうまいのなんの!

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日本初の料理評論家、山本益博さんが、美味しいものを食べるより、ものを美味しく食べたい! をテーマに、「食べる名人」を目指します。どうぞご覧ください!
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