2024.09.22
【第61回】 長岡「青島食堂」と秋葉原「青島食堂」
ラーメンは本店か支店か問題。それにしても、秋葉原の「青島食堂」は立派である!
日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。
- CREDIT :
文・写真/山本益博 編集/森本 泉(Web LEON)
私の本店ファースト主義は筋金入り⁉
ことほど左様に「本店ファースト主義」が、今でも私の心の内を占領している。
不本意ながら秋葉原の支店を先に訪れることに
たまたま新潟・三条に友人がいて、長岡の「青島食堂」へは自分が案内しますと、申し出てくれていたのだが、私は「ラオタ」ではないので、ラーメンを食べるだけに長岡に出かける勇気がない。燕三条や新潟にある料理店と掛け持ちで出かけたいと念じていたところ、時間がみるまに過ぎて行って、とうとう待ち切れず、本意ではないが支店の秋葉原の「青島食堂」へ先に出かけることになった。
私のメモには次のように書いてある。
秋葉原「青島食堂」22.10.10
生姜醤油ラーメン 生姜の香りも醤油の味も突出していない、素晴らしいスープ。
麺を量るときだけ秤を使うが、そのほか、大なべから麺を取り出すのに平ざるで手加減、たれもスープも目分量、それでいて一発で決める
プロフェッショナル。
チャーシューメン900円:乱切りの小ぶりのチャーシューが山盛り。
なんでも手加減、目分量を頼りに仕事を進めてゆくのだが
昼に友人と新潟にできたばかりの、新発田から進出してきた「登喜和鮨」で鮨をつまみ、それから長岡へ移動、心弾む気持ちで「青島食堂」本店へ向かった。ただし、行列必至の店なので、真夏でも並ぶことを覚悟しなくてはならない。
お客の様子でだろうか、厨房内はおばさんがひとりでこなしている。それが、すべて手慣れた手順、手際の良さで進んでゆく。大なべで麺を茹で上げる。どんぶり内のスープを整えたところへ麺を入れて仕上げる。小さなチャーシューをいくつも盛り込むまで、なんでも手加減、目分量を頼りに仕事を進めてゆく。これが「青島食堂」の流儀なのだろう。支店を先に訪れて、本店を後回しにするのも悪くはないもんだ、ということを痛感した。
それにしても、秋葉原の「青島食堂」は立派である!
● 山本益博(やまもと・ますひろ)
1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique
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