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2024.10.27

【第63回】 パリのラーメンとそば

行列しているのはパリっ子ばかり⁉ パリの人気ラーメン最新事情

日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。

CREDIT :

文・写真/山本益博 イラスト/Isaku Goto 編集/森本 泉(Web LEON)

日本初の料理評論家、山本益博さんが、B級グルメから一流の料理へと変貌を遂げつつある街のラーメンに注目し、自ら実食リポートする連載です。

パリはいま、ラーメン店が雨後の筍状態!

1年ぶりにパリに出かけてきた。驚いたのは、ラーメンの新店の増えたこと! まさに雨後の筍状態と呼んでいい。フランス料理のレストラン巡りで出かけたのだが、その合間を縫って、ラーメンも食べてきた。
山本益博 ラーメン革命! WebLEON  純麦 伊丹十三
▲ パリの「ラーメンひぐま」は1984年開業。
円安のため、空港でもシャンゼリゼでもサントノーレでも、日本人をほとんど見かけない。ラーメン屋でさえ、日本人を見かけなかった。店の前に行列を作っているのも、テーブルで食べているのもパリっ子ばかりである。それも、不思議そうに、おぼつかない箸の持ち方で食べているのではない。おしゃべりに興じながら、昔から知っているような感じで、ラーメンを食べている。
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▲ 「どさん子」もパリで長らく人気のラーメン店。
ひと昔前では考えられなかった光景で、隔世の感がある。オペラ座近くのサンタンヌ通りは日本料理店が立ち並ぶ。今それが、軒並みラーメン屋ばかりである。40年前は、日本料理の「たから」、ラーメンと言えば「ひぐま」だった。

私のパリの定宿は9区にあるのだが、この辺りでもラーメンの看板が目立つようになった。
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なんの変哲もないところが魅力? の「猫ラーメン」

▲ 「猫ラーメン」の外観。
足を運んでみたのは「猫ラーメン」。開店前から店の前に行列が出来ている。ホテルから近いものだから、改めて行列のない時間を見計らって出かけた。出てきたものは、具材が盛りだくさんに並べられた、なんの変哲もないラーメン。出汁にも麺にも、まったくこだわりが感じられないラーメン。だが、食べ進むうちに、このあまりに特徴のない、「ラーメンらしい」どんぶりがウケているのかも知れないと思った。
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▲ 「猫ラーメン」の「醤油ラーメン」。
▲ 「猫ラーメン」の店内に描かれた猫絵。
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夜は連日満席と勢いに乗る「黒板」

「黒板」は、昨年から見かけていたが、今年は夜など連日満席である。

こちらの「SHOYU RAMEN」もほぼ同様。昨年、食べた「KODAWARI RAMEN TSUKIJI」ほどの個性が感じられない。でも、「RAMEN」のこの勢いは当分、収まりそうな感じがしない。
▲ 「黒板(KOKUBAN)」の外観。
▲ 「黒板」の「醤油ラーメン」。
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ラーメンだけでなく、そば屋も人気。ミシュラン掲載の「ABRI SOBA」

実は、私の泊まるホテルの近くに、「ミシュラン」でビブグルマンに推奨されているそば屋がある。「ABRI SOBA」という日本そば屋である。ラーメンを食べるなら、久しぶりのパリでそばも食べてみようと出かけてみた。「ミシュラン」に掲載されながら、予約を取らない店なので、夜遅くになっても行列が絶えない。9時近くにでかけても30分ほど並ばなければならなかった。
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▲ 「ABRI SOBA」の行列に並ぶ筆者。
誰もがつまみをとって、おしゃべりに興じながら酒を飲みつつ、そばを待つ。冷たいおろしぶっかけそばと鴨そばを注文。これが、どちらも見事な出来栄えの味だった。そばの香りが豊かで出汁は本物である。さすが「ミシュラン」と、唸ってしまった! いつかまた、フランス料理を食べ続けるなかで、醤油味が恋しくなったら来てみよう。
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▲ 「ABRI SOBA」の「ぶっかけそば」。
▲ 「ABRI SOBA」の「鴨南蛮そば」。
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パリに着いた晩は必ず出かける「ブイヨン シャルティエ」

最後に、フランス料理のご紹介。これまた、私の泊まるホテルの近くに、大衆食堂がある。その名を「ブイヨン シャルティエ」という。歴史的記念建築物に指定された由緒ある大きな食堂である。ここもまた、予約を取らないシステムなので、いつも長い長い行列ができる。それでも、グループ客や学生たちがお腹を空かしながら席が空くのを待っている。
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▲ 「ブイヨン シャルティエ」の店内の様子。
メニューは1ユーロの野菜スープからある。エスカルゴに始まり、ポトフ、アルザス名物のシュークルート、鴨のコンフィなどなど。最後のデザートは、いつも決まってラム酒をたっぷりとかけたブリオシュ生地のババ。
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▲ 「ブイヨン シャルティエ」のエスカルゴ。
▲ 「ブイヨン シャルティエ」のポトフ。
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ギャルソンたちが忙しく立ち回り、お客さんのおしゃべりが堂内にこだまする。これが、素敵なBGMで、パリに着いた晩は必ずこの店に出かける。私にとって、パリにやってきたことを実感する、まことに貴重なレストランである。
▲ 「ブイヨン シャルティエ」のババ。
山本益博 Web LEON ラーメン革命!

● 山本益博(やまもと・ますひろ)

1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique

山本益博 YouTube  MASUHIROのうまいのなんの!

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日本初の料理評論家、山本益博さんが、美味しいものを食べるより、ものを美味しく食べたい! をテーマに、「食べる名人」を目指します。どうぞご覧ください!
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