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2024.11.10

【第64回】 福岡の意外なラーメン

わざわざ食べに行く価値がある九州のラーメン

日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。

CREDIT :

文・写真/山本益博 編集/森本 泉(Web LEON)

日本初の料理評論家、山本益博さんが、B級グルメから一流の料理へと変貌を遂げつつある街のラーメンに注目し、自ら実食リポートする連載です。

初めての長浜ラーメンはびっくりするほどこってりしていた

私は10代の頃、札幌に2年間住んでいたこともあり、北海道には何かと縁があるのだが、九州は20代になっても縁が薄かった。きっかけは、30代になってから、雑誌の取材で、水炊きやらもつ鍋、それに屋台に出かけた。
その時、長浜のラーメンを食べた。東京のあっさりしていたラーメンを食べていた者からすると、びっくりするほどこってりとしたラーメンだった。
山本益博 ラーメン革命! WebLEON  九州ラーメン
▲ 長浜のラーメン屋台。(Shutterstock)
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その後、美味しいと思ったのは「一風堂」のラーメンだった。ごまと紅しょうががアクセントになっていて、細麺がするすると喉を通っていった。「替え玉」というお替わりの麺があることを知ったのもこの頃である。ただし、ラーメンは何かのついでに食べるものだった。

例えば、福岡天神のフランス料理店「イルドフランス」、博多の日本料理「ゑびす堂」、唐津の鮨屋「つく田」、小倉の「天寿し」などに出かけるついでだった。
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▲ 延岡の「再来軒」のラーメン。
福岡周辺以外だったら、鹿児島の「こむらさき」、延岡の「再来軒」など。この「再来軒」のラーメンは、豚骨からすっきりとしたうま味を存分に引き出したスープで、すぐに虜になったほどで、後日、延岡へ出かけた際、今一度そのスープに出会いたいと「再来」したほどである。
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わざわざ福岡まで食べに出かけた「博多一双」のラーメン

本益博 ラーメン革命! WebLEON  九州ラーメン
▲ 「博多一双」のラーメン。
わざわざ、ラーメンを食べるために福岡まで出かけたのは、近年のことで、評判高い「博多一双」目掛けて出かけて行った。想像した通りのこってり派のラーメンで、若者にウケていたが、私は完食するのに時間がかかった。

食べ終えて、突然うどんが食べたくなり、前から気になっていた「かろのうろん」に並んで食べた。写真撮影禁止なので、うどんの姿は撮れなかったが、シンプルで出汁とうどんが優しくマッチして、お腹を癒してくれたのが、ありがたかった。
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▲ 福岡の「かろのうろん」。
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その晩は「大重食堂」。店に入ると、店内の看板に「平戸のあごと羅臼昆布に自家製の牛節、豚節・鶏節・河豚節・真鯖でお出汁をとり」と書いてあり、最後には「化学調味料不使用の無添加ラーメン」と締めくくってある。いただくと、かなり複雑味のあるスープで、とてもこだわりぬいたラーメンのようだった。
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▲ 福岡の「大重食堂」。
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▲ 「大重食堂」のラーメン。
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 「支那そば 月や」から福岡駅構内の「明鏡志水」へ

翌日は、「支那そば 月や」へ、開店前を目指して出かける。開店時間になって、暖簾が出ると、その暖簾には,亀甲の印のなかに「醤」の字が大きく書かれ、脇に小さく「支那そば 月や」とあった。暖簾からして想像すると、かなり質素なラーメンか?
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▲ 「支那そば 月や」の外観。
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 「支那そば 月や」の支那そば。
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店内に案内されると、従業員はすべて女性で、注文して食べた「支那そば」は、穏やかな醤油味の、東京人好みのラーメンだった。

そのあと、大濠公園まで足を伸ばし、珈琲専門店「美美」でゴールデンハラールの珈琲をゆっくりと味わい、改めて舌と心を清めてから、福岡駅構内にある「明鏡志水」へ。

「瓢亭」出身の和食料理人が監修しているラーメン店である。ここのラーメンも、こってり派とは縁遠く、福岡にも探せば、豚骨ではない、優れたラーメンがあちこちにあることを知ったのだった。
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▲ 珈琲専門店 「美美」のコーヒー。
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▲ 「明鏡志水」のラーメン。
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山本益博 Web LEON ラーメン革命!

● 山本益博(やまもと・ますひろ)

1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique

山本益博 YouTube  MASUHIROのうまいのなんの!

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日本初の料理評論家、山本益博さんが、美味しいものを食べるより、ものを美味しく食べたい! をテーマに、「食べる名人」を目指します。どうぞご覧ください!
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「山本益博のラーメン革命!」、他の記事はこちらから!
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