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2024.12.15

【第66回】 府中・白糸台「RamenRouge」の美味しい革命

府中にオープンした「RamenRouge」は「かえし」のない画期的なラーメン

日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。

CREDIT :

文・写真/山本益博 編集/森本 泉(Web LEON)

日本初の料理評論家、山本益博さんが、B級グルメから一流の料理へと変貌を遂げつつある街のラーメンに注目し、自ら実食リポートする連載です。
山本益博 ラーメン革命! WebLEON  RamenRouge 府中 

「開化楼」のカラスさんに教えてもらった坂田さんの新しい店

府中・白糸台に「RamenRouge」が開店するという話を私に教えてくれたのは、麺専門卸「開化楼」のカラスさんだった。実は「開化楼」のオーナーの奥方は、私の中学校の同級生で、それが縁で、新しい店の開店情報などを教えてくれる頼もしい人なのである。

今年の10月だったか、FaceBookに「RamenRouge」の新店舗開店情報がポストされ、気にはなっていたのだが、カラスさんからのお知らせで、それが坂田敦彦さんが独立して開く新しい店で、店がオープンしてしばらくしてから出かけてみて欲しい、と言われた。
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▲ 京王線武蔵野台駅より歩いて5分ほど、白糸台の車返団地の一角にある「Rame Rouge」。
それでも、気になって仕方がないので、カラスさんからの連絡を待たずにフライングして、オープン間もなく足を運んだ。すると、開店時間前から列ができているではないか。
店は、京王線武蔵野台駅より歩いて5分ほど、なんと白糸台の車返団地の一角にある。品書きには「中華そば」「特製中華そば」「季節のそば」の三品。
私は基本的に連食はしないので、二日続けて出かけ「中華そば」と「特製中華そば」をいただいた。違いは、「特製」にはチャーシューが2枚、それに半熟玉子がつく。どちらに軍配を挙げるかというと、「中華そば」だった。スープと麺と具のバランスを考えると、分厚いチャーシュー2枚は、私には多いように思われた。また、途中で玉子を崩すと、スープが次第に混濁してゆき、もったいないように思えたのである。
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▲ 「RamenRouge」の中華そば。

ついぞ、今まで味わったことがないスープであることを実感

「中華そば」は、清澄な色合い、芳醇な香り、爽快な味わい。はじめの一口目から塩気を感じさせるようなインパクトはなく、二口目でもその正体を現さず、三口目になってようやく、優しく、穏やかで、それでいて味わいが深いスープが姿を現す。ついぞ、今まで味わったことがないスープであることを実感する。

「中華そば」のスープには、鶏と鴨がベースで、さらにチーユ(鶏油)が入っていて、塩味は生ハムからだという。
「RamenRouge」の「中華そば」の 最大の特徴は、「元ダレ」というか「かえし」のない画期的なラーメンなのである。

そこで、後日、坂田さんにお話を伺った。

「かえしのないラーメンを考えた原点は何だったのでしょうか?」
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▲「RamenRouge」の特製中華そば。
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「もともとフランス料理出身で、毎日ずっとフォン(出汁)を引いてきて、特に根拠はないのですが、出汁に対する絶対的な自信があった点でしょうか。

今は思ってないですが、以前は、自分の中で、『かえし』とは多少の誤魔化しができて、誰でも均一な味を提供するためのシステムと解釈していたので、必要ないと考えたのです」(坂田さん)

なんとも説得力ある発言ではなかろうか。
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▲ 「RamenRouge」の店主、坂田敦彦さん。
フレンチ出身のシェフがラーメン界に転身して、新風を送ってきたが、それでも「トリュフ(オイル)」を使ったり、「オマール海老」から出汁をとったりという程度で、ラーメンを根本から変貌させたことはなかった。

「RamenRouge」の中華そばは、「濃厚」「激旨」などアクセントが強いラーメンが流行するなか、静かに「淡麗」「薄命」といった「儚い命」を楽しませてくれる「美味しい革命」のラーメンである。
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山本益博 Web LEON ラーメン革命!

● 山本益博(やまもと・ますひろ)

1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique

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日本初の料理評論家、山本益博さんが、美味しいものを食べるより、ものを美味しく食べたい! をテーマに、「食べる名人」を目指します。どうぞご覧ください!
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