フォーシーズンズホテル大阪が位置するのは江戸時代から商業の街として栄えてきた活気ある街、堂島。ホテルは、45階建ての高層ビル内の地下1階から2階、28階から37階までを占めています。「鮨 ラビス 大阪」はホテル内の最上階である37階に位置し、広い窓から海に面した眺めが楽しめます。
高級寿司店をパリ、モンテカルロ、大阪で展開するヤニック・アレノ
ヤニックは、自分の本拠地であるパリの3つ星フランス料理店「アレノ・パリ・オ・パヴィヨン・ルドワイヤン」内に、2018年、寿司と和食の両方で研鑽を積み、銀座の名店で活躍していた岡崎泰也さんを迎えて「ラビス」の1号店をオープン。瞬く間にパリの富裕層が通う店となりました。
2024年7月にはモンテカルロに「ラビス」2号店を、ついで大阪に3番目となるこの店をオープンしました。この3号店で寿司を任されているのは、安田至さん。八芳園で約6年の修行を積んだ後、マグロ問屋が経営する寿司店、シンガポールの「はし田シンガポール」などで腕を磨き、2024年10月「鮨 ラビス 大阪」の料理長に就任しました。
和食のようでいて、実はフレンチなおまかせコース
まず前菜として供されるのは「エンダイブとトレビスのサラダ」、「アーティチョークの豆腐」、「トロマヨ」、「牡蠣、おごのり、米のクリーム」、「刺身」の5皿。
▲ 「エンダイブとトレビスのサラダ」。エンダイブにシソ、トレヴィス、洋ナシ、マッシュルーム、セロリなどを合わせて。鮨を手で食べるように、手でつまんで口の中でサラダにしていくエモーショナルなフィンガーフード。
▲ 「アーティチョークの豆腐」。胡麻豆腐から着想したという一品。アーティチョークの豆腐に、スモークしたカワカマスの卵、マジョラム、ローストしたひまわりのタネ。揚げ玉のカリカリ食感とひまわりの種の香ばしさが心地いい。
▲ 「トロマヨ」。トロの上に、半熟の卵、キャビアを乗せ、イタリアンパセリのソースを添えて。こんがり焼いたトーストつき。半熟卵にスティック状に切ったトーストを浸して食べるフランスの卵料理「ムイエット」を想起させる。
▲ 「刺身」。お造りは、炭で炙って青ゆずを振りかけた中トロ、塩麹のヅケ。大根のツマがなく、刺身が皿上でダイレクトに際立つ。
▲ 「エンダイブとトレビスのサラダ」。エンダイブにシソ、トレヴィス、洋ナシ、マッシュルーム、セロリなどを合わせて。鮨を手で食べるように、手でつまんで口の中でサラダにしていくエモーショナルなフィンガーフード。
▲ 「アーティチョークの豆腐」。胡麻豆腐から着想したという一品。アーティチョークの豆腐に、スモークしたカワカマスの卵、マジョラム、ローストしたひまわりのタネ。揚げ玉のカリカリ食感とひまわりの種の香ばしさが心地いい。
▲ 「トロマヨ」。トロの上に、半熟の卵、キャビアを乗せ、イタリアンパセリのソースを添えて。こんがり焼いたトーストつき。半熟卵にスティック状に切ったトーストを浸して食べるフランスの卵料理「ムイエット」を想起させる。
▲ 「刺身」。お造りは、炭で炙って青ゆずを振りかけた中トロ、塩麹のヅケ。大根のツマがなく、刺身が皿上でダイレクトに際立つ。
提供されるのは順に「アジ」、「クエ」、炙った「カマス」、「金目鯛」、「サバ」、「シマアジ」、「ボタン海老とパリパリ海苔の直火焼き」。
▲ 「アジ」の横には生姜とりんごのガリ。
▲ 「クエ」には醤油を塗った上にフルール・ド・セルを乗せている。これはヤニックのアイデアだそう。
▲ 「クエ」のペアリングは「醸し人九平次」2023年 黒田庄産山田錦。
▲ 炙った「カマス」。
▲ こちらは自家製の豆腐。
▲ 「シマアジ」。薄いネタを重ねた斬新な握り。
▲ 「シマアジ」にペアリングしたのは、「ドン ペリニヨン」の醸造長を務めたリシャール・ジョフロワ氏が作る白岩の日本酒「IWA5」。
▲ 「ボタン海老とパリパリ海苔の直火焼き」。ボタン海老は煎り酒でマリネ。甘みとプリプリ食感がたまらない。
▲ 「アジ」の横には生姜とりんごのガリ。
▲ 「クエ」には醤油を塗った上にフルール・ド・セルを乗せている。これはヤニックのアイデアだそう。
▲ 「クエ」のペアリングは「醸し人九平次」2023年 黒田庄産山田錦。
▲ 炙った「カマス」。
▲ こちらは自家製の豆腐。
▲ 「シマアジ」。薄いネタを重ねた斬新な握り。
▲ 「シマアジ」にペアリングしたのは、「ドン ペリニヨン」の醸造長を務めたリシャール・ジョフロワ氏が作る白岩の日本酒「IWA5」。
▲ 「ボタン海老とパリパリ海苔の直火焼き」。ボタン海老は煎り酒でマリネ。甘みとプリプリ食感がたまらない。
▲ 「漬けマグロ」は鰹節をまぶしたシャリとともに。ありそうでなかったコンビネーション。
▲ 「赤貝」。
▲ 「太刀魚とウニ」。
▲ 「大トロ」には揚げたエシャロットのフライと生の生姜が入っている。
▲ 「大トロ」にはシャヴァネの「イヴ・キュイユロン シラー2022 レ・ヴィーニュ・ダコテ」がよく合う!
▲ 赤だしに代わり、コンソメ。鶏、牛スジ、昆布という旨み食材のアンサンブル。
▲ 「漬けマグロ」は鰹節をまぶしたシャリとともに。ありそうでなかったコンビネーション。
▲ 「赤貝」。
▲ 「太刀魚とウニ」。
▲ 「大トロ」には揚げたエシャロットのフライと生の生姜が入っている。
▲ 「大トロ」にはシャヴァネの「イヴ・キュイユロン シラー2022 レ・ヴィーニュ・ダコテ」がよく合う!
▲ 赤だしに代わり、コンソメ。鶏、牛スジ、昆布という旨み食材のアンサンブル。
新しい寿司の世界を展開するヤニック・アレノにインタビュー
── なぜ大阪に3店目のラビスを開店したのですか?
ヤニック・アレノさん(以下ヤニック) この度、フォーシーズンズホテル大阪とご縁があり、お声がけいただいたことをきっかけに大阪でオープンしました。ラビスはホテルのフィロソフィと完璧にマッチしたのだと思います。
ヤニック フィロソフィは同じですが、特に食材が違います。パリの店では、主にフランスや大西洋の魚を使いますが、地中海に面した2店目のモナコの店では地中海の魚が供されます。それにシェフが3人いるわけですが、3人が3人とも違います。それぞれ異なる食材で、異なる料理を作っています。
東京は寿司に対して保守的だと思いますが、大阪はもっとリベラル、オープンだと感じているので、ラビスは適しているのではないかと思います。
ヤニック すぐですよ! その準備をしています。チームのキャパシティを見ながら進めています。行けるなと思ったらスタートします。
伝説の寿司職人、水谷八郎さんとの出会いから寿司の素晴らしさに感動
ヤニック 友人でジャーナリストの故・増井和子さんに水谷八郎さんを紹介してもらったんです。たぶん、水谷さんは僕を和子さんの孫だと思ったんじゃないかな(笑)。
僕は和子さんと気が合って、本を一緒に出版したこともありました。僕は彼女から多くを学びましたよ。ル・ムーリスのシェフだった2005年に和子さんが僕を横浜に連れて行ってくれました。ミシュランが水谷さんに星を授与するずっと前です(ミシュラン東京版は2007年から刊行)!
水谷さんは、「すきやばし次郎」で25年働いたのちに独立して、横浜で奥さんと一緒に寿司店を営んでいらしたんです。初めて水谷さんに会って、寿司を食べてみて、「これまで食べたことがない」と感動しました。僕がパリに帰った後に彼がパリに来て、僕は彼のために料理を作ったんですよ。その後、僕らは友達になったんです。つまり、彼が僕に寿司を教えてくれたというわけです。
僕はビストロを営む家の子供で、ステーク・フリット(ステーキとポテトフライ)といったものを食べていましたから、生の魚に親しむことはない環境でした。その後、水谷さんの家に数日間お邪魔する機会がありました。畳の部屋で寝ましたよ(笑)。カレイとかアワビとかエビとか、買い付けに連れて行ってもらったりもしました。
ヤニック 僕にはできないですが、握るというジェスチャーはコメの密度を測っていて、ネタとしゃりのバランスが大切であることは知っていますよ。
── 水谷さんとの出会いがラビスを開店したきっかけですか?
ヤニック いいえ、それは関係ないですね。でも、水谷さんは僕に素晴らしさの視点を教えてくれました。それに和子さんと幾度も日本を旅しましたので、日本をよく理解しましたし、日本で知ったこと、フランスで知ったことを合わせて、違った形で提案することができるのです。
2014年に「パヴィヨン・ルドワイヤン」を買収して本拠地としました。そこにラビスの1号店もあります。『La Traversée』というドキュメンタリー映画をぜひ日本の皆さんにも見ていただけたらと思います。これは2019年から23年まで4年もの間、映画制作者たちがルドワイヤンで僕を撮影したものです。
ルドワイヤンは広さが3000㎡もありますからね。ビジネスを発展させようとラビスを始めました。当初は、3つ星のレストランへ向かう前にシャンパンを飲みながら寿司をちょっとつまんでアペロをするバーのつもりでした。でもアーティストである妻が「この店のデコレーションをやりたい」と言い出しました。それならバーよりもっといいものにしようということで、銀座に寿司職人を探しに行ったんです。
友人である「ロオジエ」のシェフのブリュノ・メナールに電話して、岡崎を紹介してもらいました。彼は香港のレストランと契約する直前でした。すぐに飛行機で日本に飛んで、岡崎が握ったマグロの寿司を食べてみて、震えました。そしてすぐに「パリに来い」と誘い、彼は「OK、行きます」と即答しました。2018年6月に開店しましたが、翌年2月にはひとつ目の星を取ってしまいました(笑)。最初は本当に楽しもうと思って始めたんですがね。
今、星をトータルで15個持っていますが、だからと言って、星獲得のための競争をしているわけではありません。僕はただ美しいものを提供したいだけなので。
フランス料理界きっての厨房のモテ男、ヤニックに聞くモテの極意
ヤニック 誰がそんなこと言っているんですか(笑)。そうですね、女性を愛することです。身体的な意味ではなく、女性の知性を愛するということ。男性とは違うということ、女性の感性を理解することですね。僕は、女性は男性よりも面白いと思います。僕の母は立派な女性で、いつも道を示してくれました。人に対して敬意を払い、気を遣いなさいと教えられました。僕はいつも女性に育てられてきたように思います。増井和子さんもそんな女性のうちの一人です。彼女のおかげで僕は成長できました。
あと、いつも声をかけることが大切。「エレガントだね」とか「素晴らしいね」とか「生き生きしているね」とか「美容院に行ったのかい」とか、ディテールが大切です!
● ヤニック・アレノ
1968年フランス・ピュトー生まれ。2003年パラスホテルのル・ムーリスの総料理長に就任し、4年後にミシュラン3つ星を獲得。2014年に独立し、パヴィヨン・ルドワイヤンに「アレノ・パリ」をオープン。翌年、この店でも3つ星を獲得。さらに、クール・シュヴェルの「LE1947」でも3つ星を獲得し、3つ星店を2軒同時に持つ唯一無二なシェフとなる。フランス国家功労勲章、芸術文化勲章を受章。
■ フォーシーズンズホテル大阪
日本で4軒目となるフォーシーズンズのホテル。175室のうち、スイートは27室。24階「GENSUI(玄水)」は、旅館をモダンに解釈したSHIMPLICITYによるデザインで全室畳敷き。室内プール、大浴場、スパ、ジム、貸切風呂を備えたウエルネスフロアが自慢。随所に日本らしさを取り入れている。
HP/フォーシーズンズホテル大阪
■「鮨 ラビス 大阪 ヤニック・アレノ(Sushi L’Abysse Osaka Yannick Alléno)」
住所/大阪府大阪市北区堂島2-4-32 フォーシーズンズホテル37F
営業時間/ランチ12:00~15:00 ディナー18:00~21:00
おまかせランチ1万9000円(税・サ込)、おまかせディナー3万5000円(税・サ込)
定休日/水曜
TEL/06-6676-8591 (レストラン予約番号)
HP/www.fourseasons.com/jp/osaka/dining