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2025.01.12

【第68回】 塩ラーメンの美味しい革命2024

新年早々、美味い「喜多方ラーメン」を求めて聖地巡礼してきた

日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。

CREDIT :

文・写真/山本益博 編集/森本 泉(Web LEON)

日本初の料理評論家、山本益博さんが、B級グルメから一流の料理へと変貌を遂げつつある街のラーメンに注目し、自ら実食リポートする連載です。
山本益博 ラーメン革命! WebLEON  喜多方ラーメン
▲ 喜多方ラーメン神社は喜多方ラーメンの歴史や様々な知識を学べるラーメンミュージアム。喜多方ラーメンのお店を紹介するコーナーもある。

喜多方のスタンダードは素朴で誠実なラーメンだった

昨年夏、初めて喜多方へ出かけたが、今一度と思い、新年早々、真冬の喜多方へ行ってきた。「ラーメンの聖地」と呼ばれるくらい、今や全国に知れ渡った喜多方である。東京から出かけるにしても、新幹線で郡山まで往き、そこから磐越西線で会津若松まで出る。そこで更に乗り換えて、ようやく喜多方駅に到着する。「聖地」への巡礼は、電車に乗って出かけると、やはり、簡単にはゆかない。
駅から歩き始めると、あちこちにラーメン屋がある。喜多方は蔵の町でも知られているが、見渡しても歩いている人をほとんど見かけない。ところが、ラーメン屋の前には人だかりができている。皆さん、「聖地巡礼」遠方から車で来るのだ。
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▲ 喜多方「食堂なまえ」の中華そば。特に極太の手打ち麺で知られる。
案内人は、前回同様喜多方出身のIさんと地元のラーメン伝道師Kさんの二人。昨年夏に連れて行っていただいたのは、「食堂なまえ」「うえんで」だった。「なまえ」を選んでくださった理由は、まずは喜多方の最も伝統的な店ということで、特徴的だったのは、麺が太目で縮れ麺だったこと。寒い地方特有のその麺と、スープと具の調和のとれた静かな逸品だった。装飾過多でない、素朴で誠実なラーメンは私の好むところ。最初に「喜多方」のスタンダードを教えていただいたのが大変ありがたかった。
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▲ 喜多方「うえんで」の会津山塩らぁ麺。
なぜかといえば、次に出かけた「うえんで」が「喜多方」ではニューウェイブだったからである。「うえんで」は、会津若松から喜多方へ進出して評判を呼んでいる1軒だという。ここでいただいた「会津山塩」を使ったラーメンが、とても印象に残っていて、今回、どうしても再訪したい店だった。
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▲ 喜多方「うえんで本店」の外観。
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最初は喜多方を代表する有名店「坂内食堂」へ

東京を早朝に発って、午前中にまず出かけたのが、喜多方を代表する「坂内食堂」。行列を覚悟していたが、ラッキーにもほとんど並ばずに席にありつけた。名物「肉そば」を注文するようにと勧められたが、見た目からして、チャーシュー過多。私には定番のスタンダード「支那そば」がちょうどいい。昨年「なまえ」を食べていたおかげで、「喜多方」ラーメンの特徴をすぐに理解しながら、美味しくいただいた。
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▲ 喜多方「坂内食堂」の支那そば。
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▲ 喜多方「坂内食堂」の外観。
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午後、待望の「うえんで」。ワンタン入りを勧められて、それをいただく。目の前に運ばれてきたラーメンは、スープに透明感があって、すでに「美味しさ」がどんぶり一面に漂っている。ひと口スープをいただくと、塩気を感じない。二口目でも塩味は前に出ず、穏やかでどこまでも優しい「うま味」を湛えたスープが素晴らしい。

日本料理で「お椀」をいただく時に感じる「うま味」とほぼ同じといってよい。よほど店主の味覚が研ぎ澄まされているのではなかろうか。麺はやはり、中太の縮れ麺。小麦の味わいが口の中で広がってゆく。そして、チャーシュー。豚肉の香りがよく、なにより脂身の美味しいことったらない。すべてにバランスが見事に取れた一杯!
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▲ 喜多方「うえんで」の会津山塩らぁ麺ワンタントッピング。
勧められたワンタンは練り肉のうま味十分だったが、ワンタンなしで十二分に美味しい三位一体のトライアングル! 2025年の年の初めにいただいたが、すでに今年のベスト3に入るラーメンではなかろうか。
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二日目は生まれて初めて1日3杯食べることになった

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▲喜多方「喜一」の淡麗sioラーメン。
二日目は「朝ラー」からということで、行列必至で記帳制の「喜一」へ出かける。この店も会津若松から喜多方へやってきた、いわばニューウェイブ。朝9時からラーメンをいただくのは、初めての経験だが、端麗sioラーメンは「うえんで」と共通する味わい。以前、山形・高畠の「喜一」出身の「山喜」で食べていたこともあり、驚きはなかったが、朝の爽快な一杯で大満足だった!
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▲喜多方「喜一」の外観。
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この日は、朝に「喜一」、昼に「天高盛」、午後に「食堂 松」と、ラオタなら何でもないルーティンだが、ラーメン1日3杯は、私には生まれて初めての経験だった。

帰りの電車の中、また「うえんで」で食べたいと、味を懸命に思い出している自分がいた。
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▲ 喜多方の「天高盛(てんこもり)」。
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▲ 喜多方の「食堂 松」。
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▲ 今回は行けなかったが、喜多方ラーメン発祥の店と言われる「源来軒」
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▲ こちらも人気の「蔵美(くらよし)」
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● 山本益博(やまもと・ますひろ)

1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique

山本益博 YouTube  MASUHIROのうまいのなんの!

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日本初の料理評論家、山本益博さんが、美味しいものを食べるより、ものを美味しく食べたい! をテーマに、「食べる名人」を目指します。どうぞご覧ください!
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