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2025.04.27

【第75回】 「味噌つけめん」を考える

美味しい「味噌つけめん」はどこにある?

日本初の料理評論家、山本益博さんはいま、ラーメンが「美味しい革命」の渦中にあると言います。長らくB級グルメとして愛されてきたラーメンは、ミシュランも認める一流の料理へと変貌を遂げつつあります。新時代に向けて群雄割拠する街のラーメン店を巨匠自らが実食リポートする連載です。

CREDIT :

文・写真/山本益博 編集/森本 泉(Web LEON)

日本初の料理評論家、山本益博さんが、B級グルメから一流の料理へと変貌を遂げつつある街のラーメンに注目し、自ら実食リポートする連載です。

素人が作った料理にもプロが見習うべき点が多々ある

この春から始まったNHKの「激突メシあがれ」(毎週水曜夜)をご存知だろうか。この番組、プロの料理人ではなく、選ばれた市井の料理好きの3人が、1000円以内の予算で目いっぱいのアイデアと技術で、プロの料理人が思いもよらないひと皿を生み出すところが魅力である。新番組がレギュラー化する前、今年になってテスト版が作成され、その時のテーマが「ラーメン」。そして先日は「極上つけ汁うどん」だった。
味噌つけめん LEON 山本益博 ラーメン革命! WebLEON
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「極上つけ汁うどん」では、予選の審査で3人のうちの一人に選ばれた、公務員をやめタクシー運転手に転職したうどん好きの中年男性が優勝した。牛蒡などの野菜を打ち込んだ風味豊かなうどんに、出汁を丁寧にとり、シンプルに徹したつけ汁で、審査員の高評価を得た。

素人が作る料理は、盛りだくさんの味わいが重層したひと皿がほとんどだが、この男性の作る「つけ汁うどん」は違った。言ってみれば、アイデアを巡らせ、それを出来うる限り盛り込み、突き詰め、最後は本当に必要な食材のみの組み合わせによる「シンプルがベスト!」。素人が作った「つけ汁うどん」だが、プロが見習うべき点が多々あるうどんだったのではなかろうか。

味噌味ではなく味噌風味の味噌つけ麺を探して

さて、今回のテーマは「つけめん」、それも「味噌つけめん」。

この連載で、今年「味噌ラーメン」を取り上げた。東京と本場札幌で何軒も「味噌ラーメン」を食べ歩いたが、満足できる店は、一昨年食べた発寒の「八乃木」以外、1軒もなかった。どこもかしこも、「味噌味」が濃すぎて、スープや麺との調和がなく、後味は味噌汁を飲んだ以上に「味噌」が口の中に残った。
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味噌つけめん LEON 山本益博 ラーメン革命! WebLEON 八乃木
▲ 発寒「八乃木」の「みそラーメン」。
つまり、どの店の「味噌ラーメン」も「味噌風味」でなく「味噌味」になってしまっている。ベースになっている「出汁」に「味噌」の香りを添えるのが、現在あるべき「味噌ラーメン」なのではないか。

北海道札幌で寒い時期に食べる「味噌ラーメン」ならまだしも、1年中日本全国でいただけるようになった「味噌ラーメン」なら、これまでの「味噌ラーメン」にさらにひと工夫もふた工夫も必要なのではなかろうか?

そこで、「つけめん」の「味噌」を探して食べてみた。
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▲ 赤羽「麺 高はし」の味噌つけめん。
まずは赤羽の「麺 高はし」。「つけめん」で永年名高い店で、品書きに「味噌つけめん」(800円)がある。レギュラーの「つけめん」のスープに味噌が加えられているため、味が重層的で濃いが、「味噌味」と「味噌風味」の中間といった味わいで、中太の麺にスープがよく絡んで、とても美味しい。
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▲ 大久保「麺屋 悠」の味噌つけ。
大久保の「麺屋 悠」は、品書きのつけそば(醤油)のほかに、「味噌つけ」(900円)がある。この「味噌つけ」のつけそばのスープが、まさに「味噌風味」なのである。私が望む理想に最も近い「味噌つけめん」である。

宮崎に「冷や汁」という名物郷土料理があって、味噌がポイントなのだが、美味しい「冷や汁」は味噌が強くなく、「味噌」が風味を掻き立てている。ここに茗荷などの薬味が入っているので、夏でも食欲を掻き立てられる一品である。

「味噌つけめん」には、まだまだ進化を遂げるべきヒントがあちこちにありそうではないか。
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山本益博 Web LEON ラーメン革命!

● 山本益博(やまもと・ますひろ)

1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique

山本益博 YouTube  MASUHIROのうまいのなんの!

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日本初の料理評論家、山本益博さんが、美味しいものを食べるより、ものを美味しく食べたい! をテーマに、「食べる名人」を目指します。どうぞご覧ください!
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「山本益博のラーメン革命!」、他の記事はこちらから!
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