まるで白いごはんの役割をしてくれるチョコレートだった
そういう嗜好をもつなかで、一昨年スコットランドで樽から瓶詰めした「グレンフィディック 15年」に見合うチョコレートはないかなと探していました。このウイスキー、そのままでもとんでもなく美味しい。だからこそ、チョコレートにもこだわりたいと思っていたある日、「MAISON CACAO(メゾン カカオ)」という日本のブランドを知りました。
「MAISON CACAO」は石原紳伍さんが代表を務める鎌倉発祥のブランド。聞けば石原さんは、ラグビーの名門・大阪工業大学附属高校から帝京大学に進んだ元ラガーマン! リクルートに勤めていた会社員時代にコロンビアを旅した時、現地のカカオとチョコレートのある日常に惚れ込み、「本当に美味しいチョコレートを楽しむ文化を日本でも作りたい」と起業を決意したそうです。
そんなスイーツ業界では珍しい背景をもつブランドのチョコレートは、筆者にとって衝撃の味わいでした。最初に驚いたのが、生チョコレートの「パッション(フルーツ)」。普段、チョコレートはプレーンが好きで、他の味がついたものは中途半端に感じていたけれど、これは全然違った。
そして思ったのが、このように素材の味を引き出す「MAISON CACAO」のチョコレートと自分のお気に入りのウイスキーを一緒に食べたら、どれだけ美味しいのかということ。さっそく生チョコレートの「CACAO 65」を買って試してみました。
コロンビアのカカオとスコットランドのウイスキーが出合うと……
次に生チョコレートを食べると、ウイスキーの余韻に包まれたカカオはもはや官能的な味わい。アルコールにより口内の体感温度も上がり、みるみるとろけて香りを放つカカオの存在感よ。一粒にしてコロンビアへの旅を夢みさせるインパクトです。
そして再びウイスキーを飲むと、ひと口目とはニュアンスが変わり、バニラやナッツのフレーバーが先ほどよりたってくる。土の力を感じるカカオの味のおかげで、ウイスキーが生き生きとしたものになるというか、鼻に抜ける香りがより鮮明になる。いやはや、カカオ・マジックです。
2周目。今度は生チョコレートがまだ口に残っているうちにウイスキーを飲むと、もう甘美さでは優勝コンビ。そんなことを繰り返ししているうちに、最終的に爆睡していました。
ちなみに天然海塩を入れた生チョコレートもあり、これもまたウイスキーの最高の相棒になりますよ。
脂質を混ぜて作るチョコレートは唾液と乳化しないと溶けていかないため、日本人の少ない唾液量に合わせ、水分量を限界値まで上げたのです。それもカカオが含む菌まで研究して水分量を増やしたのだとか。まあ、難しい話は省略。食べてその口溶けを体感してくださいませ。
そんな身体にまでよくて魅惑的な味わいのチョコレートを、秋の夜長に試さない手はありません!