そして、ここにひとつ重要なポイントがあります。東京など関東圏の「カツ」といえば「トンカツ」ですが、関西圏では「ビフカツ」、つまりビーフ(牛)であること。私など東女がビフカツを初めて食べたのはオトナになってから。それも京都のクラシックな洋食店で、ミディアムレアに揚げられたビフカツのほの赤い断面を見たときのトキメキはいまも鮮明に憶えています。東京に暮らすものにとって、ビフカツは憧れの対象というわけですね。
◆「M2」(東京・西麻布)
松吉牧場とは、三重県松阪市で肥育される松阪牛のなかでも、秘伝の有機飼料で、とくに長く46~58か月齢*まで肥育される稀少な牛を提供する牧場。愛情深く健康的に育てられた松吉牛は、ほどよく入って香りのよいサシと旨味の乗った赤身、そして口溶けのよい融点の低さというユニークな特長を持っています。つまりは、舌で味わって美味しく、鼻から抜けて香ばしく、のど越しがスルリと官能的な牛肉というわけ。
*通常の松阪牛は24~30か月齢で出荷されます。
使うのは、松吉牛テンダーロイン、つまりヒレです。ここは牛の身体のなかで最も運動量が少ない筋肉なので、筋が少なくやわらかな赤身であることが特長。1人前150g使うので食べ応えも充分です。
ではいま、日本で最高峰のビフカツといえる「M2」の「松吉牛テンダーロインカツサンド」のメイキングを密着レポートでご紹介してまいりましょう。
パンとソースの甘やかな香りに包まれたテンダーロインカツが、歯に軽く抵抗するものの、あえなく降参して、口中で肉の旨味を爆発させます。その食感はどこまでもやわらかくて、なんというか官能的。食べているのがテンダーロインカツなのか、自分のベロなのか、その境界線がわからなくなる感じ……(間違えてベロを噛まないでくださいね。痛いです)。
こんなお土産を家族や恋人が持って帰ってきてくれたら、最大級の感謝で迎えられるでしょうね。この「松吉牛テンダーロインカツサンド」は現在、お食事に来たゲスト専用のお土産ですが、人気商品となったため、テイクアウトでの販売を検討中だそう。続報をお待ちあれ!
M2
住所/東京都港区西麻布4-2-9 シーズンズ西麻布 102
予約・問い合わせ/050₋3138₋5808
営業時間/17:00~23:00
定休/日曜
*テンダーロインカツサンド(9,000円税別)はゲストのお土産用メニューですが、今後のテイクアウト販売を検討中。