2020.12.29
今どきの日本酒デートで失敗しないために知っておきたい10のこと
ここ10年ぐらいで大きな進化を遂げ、お洒落なイメージに変わって女性ファンも増えている日本酒。いざ彼女と日本酒デートを楽しむ時にアナタの情報はアップデイトされていますか? 日本酒ラバーである、呑む文筆家・利き酒師の山内聖子さんに、女性と一緒に日本酒を楽しむために知っておきたい知識とマナーをお聞きしました。
- CREDIT :
写真/福本和洋 文/牛丸由紀子 撮影協力/酒肆 一村
でも、これまでは日本酒ってなんとなく男の酒って感じで「彼女とデートで日本酒」ってあまり考えませんでしたよね? ところが日本酒はここ10年ぐらいで大きな進化を遂げ、銘柄のブランディングが進み、味わいも繊細で親しみやすくお洒落なイメージに変わってきました。それにつれて最近は日本酒好きな女子も増え、十分デート酒として活用できる時代に。
そんななか、アナタの情報はきちんとアップデイトされているでしょうか? いざお店で日本酒を選ぼうと思っても、ずらり並ぶ銘柄を前に「う~ん……とりあえず辛口??」なんて、なんだか冴えない頼み方になっていませんか?
そう、日本酒って知っているようで、実はちゃんとわかっていないかも。銘柄もいろいろあれば、純米・吟醸・大吟醸なんて種類や、冷酒に燗酒と飲み方だっていろいろ。料理と一緒に楽しむお酒ゆえ、ワインのように女性と一緒の席では、やっぱりある程度男性として押さえておきたい知識もあるわけでして。
そこで利き酒師であり呑む文筆家、そして週に1度は日本酒バーの女将でもある山内聖子さんに、“女性と日本酒を楽しむ時の知識とマナー”をじっくり教えてもらいました。
日本酒は人をリラックスさせるお酒
なんとも最初から、うれしいことを教えてくれた山内さん。
「ビール、シャンパン、ワインなどは、飲むと気分が上がって上半身が高揚する感じですよね。でも日本酒はどちらかというと、飲むと下にくるというか、力が抜けてすごくリラックスするんです。だから、気持ちもゆるんで普段話さないことも話してしまったり。仲良くなりたい時には、本当に最適なお酒なんです」
コロナ禍のデートは、はしゃぐより“しっぽり”が吉。その意味でも日本酒は最適というワケです。ただ、リラックスする反面、日本酒はアルコール度が高いので酔いやすいのも事実。また出回っている銘柄も多く、名前だけ聞いてもなかなか特徴がわかりづらいし、女性におススメするのも難しそう。そこでまずは基本を押さえるべく山内さんに質問です。
■日本酒デートのためのその1
自分好みの日本酒ってどうやって見つける?
■日本酒デートのためのその2
彼女の好みを外さず日本酒をオーダーするには?
さらに全体の流れを考えておくのも、選択の基準に。
「ある程度飲める方なら、軽めの1杯からしっかりしたものへ。最初から個性的な味わいの日本酒を選んでしまうと、そこで終了しちゃうので(笑) 。もし女性が1杯2杯でいいですという方なら、満足感あるリッチな味を選んで、少量でも日本酒の味を堪能してもらいましょう」
■日本酒デートのためのその3
つまみは何を合わせればいい?
日本酒の味わいの中には、旨味、甘味、酸味、苦味などが含まれていて、温度や空気にどれだけ触れているかでも変化するんです。だからあまり料理との相性を突き詰めすぎると、そんな日本酒の多角的な表情が感じられなくなってしまうと思います。その点、割と厳密なペアリングを考えるワインとは違うかもしれません」
では山内さんがおつまみに選ぶのはどんなものでしょう?
「見た目はぱっとしない普通のおつまみが好きです(笑)。地味だけど滋味、みたいな滋養あふれるしみじみ美味しい料理がいいですね。それこそ家庭のお惣菜のような。だからお店でも、華やかさはなくていいんです。シンプルな一皿に見えて、上質な素材に丁寧な仕事をしているつまみを出すお店が好きですね。今回ご協力いただいた『酒肆 一村(しゅし いっそん)』もそんな美味しいお料理が食べられる、大好きなお店のひとつです」
■日本酒デートのためのその4
特別な日に飲むならどんなお酒がいい?
ここぞの時には彼女の笑顔も見たいもの。一番いいお酒を頼んじゃいましょう。
■日本酒デートのためのその5
ウチ飲みならどんなお酒がいい?
日本酒って時間が経つと味が変わるんだよと彼女を引き留めつつ、すこし酸味が出てきたからこのおつまみが合うかもと、途中でぱぱっと作ってあげられればかなりの上級者。ぜひもう少し居たいと思わせちゃってください。
「ウチ飲みにおすすめしないのは生酒。加熱殺菌していないため味が変わりやすく、1瓶を少しずつ飲むには向いていないタイプが多いので、ご注意を。フレッシュなタイプが飲みたければ、普通は2回する加熱殺菌を1回だけにした“生詰め”タイプがおすすめです」
■日本酒デートのためのその6
有名どころの銘柄は読み方を覚えておくべし
「女性はウンチクを語られると引いちゃいますが、銘柄をさらりと読まれたら、それだけで知的な感じがして『もしかして日本酒に詳しい?』と思っちゃいます。いろんな知識を覚えなくても大丈夫。まずは気になる銘柄の読み方だけでもチェックしておきましょう。名前の由来にストーリーがあるものは会話のネタにもなりますよね」
知ったかぶりして「屋守」を“ヤモリ”なんて言ったまま、お店の人も気を遣ってあわせてくれてたなんて、恥ずかしいことにならないよう(笑)。
▲ 山内さんが大好きな門前仲町の居酒屋「酒肆 一村」のおつまみから。炙りと炙りなしの両方が味わえる「〆鯖」 (1000円)には、「醸し人九平次 La Maison 山田錦」(La Maison=フランス語で家)が合いそう。こちら、ミシュラン3つ星店にもオンリストされる銘酒「醸し人九平次」がウチ飲みでも気軽に楽しめるよう期間限定でリリースしたお酒でバランスの良い味わいが特徴です。
▲ 爽やかな甘さのシャインマスカットが効いている「シャインマスカットとしいたけのコンフィ みぞれあえ」(700円)には、シルクのような飲み口に微かな甘さが心地よい微発泡の新酒「仙禽 雪だるま しぼりたて活性にごり酒」を。
▲ 山内さんが大好きな門前仲町の居酒屋「酒肆 一村」のおつまみから。炙りと炙りなしの両方が味わえる「〆鯖」 (1000円)には、「醸し人九平次 La Maison 山田錦」(La Maison=フランス語で家)が合いそう。こちら、ミシュラン3つ星店にもオンリストされる銘酒「醸し人九平次」がウチ飲みでも気軽に楽しめるよう期間限定でリリースしたお酒でバランスの良い味わいが特徴です。
▲ 爽やかな甘さのシャインマスカットが効いている「シャインマスカットとしいたけのコンフィ みぞれあえ」(700円)には、シルクのような飲み口に微かな甘さが心地よい微発泡の新酒「仙禽 雪だるま しぼりたて活性にごり酒」を。
■日本酒デートのためのその7
スペックを語るより、造り手のストーリーを語るべし
「かつては伝統や古いしきたりの業界だった日本酒も、最近は旧来の常識にとらわれない若い造り手が活躍しています。例えば『仙禽(せんきん・栃木)』の蔵元は元ソムリエ、『新政(秋田)』8代目当主は東大卒の天才肌、『白隠正宗(静岡)』を造る高嶋酒造の蔵元はなんと現役DJ! さらにドンペリニヨンの元醸造最高責任者が造る『IWA 5』やEXILE/EXILE THE SECONDの橘ケンチさんと新政酒造(秋田)のコラボ『涅槃龜橘(にるがめたちばな)』など、新たな試みも。スペックなどの知識を得るよりも、そんなお酒の裏のストーリーを知っていると、より話も盛り上がると思います」
■日本酒デートのためのその8
お店に「おすすめください」と言うべからず
「日本酒は種類も豊富なので、その人の好みがわからないと絞り込めないんです。まずは自分の味の好みを見つけておきましょう。教えていただければそれを基準におすすめできるのでいいですね。もちろん、先ほどの彼女好みを探ったように、普段のお酒経験を教えていただいても大丈夫。他にも日本酒は全国に蔵元があるので、出身地のお酒を選んでもいいと思います」
■日本酒デートのためのその9
知識は小出しに、お店と良いコミュニケーションを
「『以前こんなすごい希少酒を飲んだ』なんて自慢話も禁物。日本酒好きの彼女なら『そんなに美味しいと語られても、結局今日は飲めないんでしょ』と逆にガッカリされちゃいます」
■日本酒デートのためのその10
彼女用チェイサーには、水ではなくお湯を
『一緒に頼んでおいたよ』と白湯が出てきたら、「私のこと考えてくれているのね」と彼女のココロも一気に温まること間違いなしかと。
▲ 「白子の茶わん蒸し 木の子あんかけ」(800円)には、 「旭菊 大地 特別純米」(福岡)を。無農薬栽培の山田錦を使った柔らかな旨味は、ねっとりした茶わん蒸しとも相性よし。お燗もおススメです。
▲ さばいたうなぎをぬかに漬け、焼いた一品「うなぎぬか漬け」( 850円)には、無濾過でお米の旨味を引き出した「日置桜 純米酒(鳥取)」のお燗がおすすめです。
▲ 「白子の茶わん蒸し 木の子あんかけ」(800円)には、 「旭菊 大地 特別純米」(福岡)を。無農薬栽培の山田錦を使った柔らかな旨味は、ねっとりした茶わん蒸しとも相性よし。お燗もおススメです。
▲ さばいたうなぎをぬかに漬け、焼いた一品「うなぎぬか漬け」( 850円)には、無濾過でお米の旨味を引き出した「日置桜 純米酒(鳥取)」のお燗がおすすめです。
■日本酒デートのための番外編
日本酒もお酒の味を変えて楽しんでいい
ふたりで1本のボトルを頼んで同じ味を楽しむワインと違って、ふたりそれぞれがいろいろな味を楽しめるのが日本酒の大きな魅力。
「グラスワインが十種類あるお店は少ないけれど、日本酒の場合は品ぞろえが豊富な店も多いですし、1合でも2合でも、好きなお酒を好きな分量だけ頼めるのが日本酒の良いところだと思います。お互いの好みを確かめ合ったり、小さな徳利からお猪口に注ぎあったり、日本酒効果でいつもより親密なふたりの時間を過ごしてください」
というわけで、ここまで読んでいただければ、日本酒がいかに相手との距離を縮めるのに最適なデート向きのお酒かがおわかりいただけたかと。さあ、アナタも彼女と一献傾けて、しっぽり仲良くなっちゃってくださいませ!
● 山内聖子(やまうち・きよこ)
アルバイト先で知った日本酒の味に感動し、以来17年以上日本酒を飲み続け、全国の酒造・酒場を取材。雑誌等でその魅力を伝え続けている。日本酒セミナーの講師としても活躍。著書に『蔵を継ぐ』(双葉社)、『いつも、日本酒のことばかり』(イースト・プレス)がある。
酒肆 一村(しゅし いっそん)
50種を超える粒ぞろいのつまみと、今回いただいた日本酒以外にも、看板メニューとして掲げる5種のオリジナルレモンサワーや各種ウイスキーなど、豊富に取り揃えた居酒屋のようなバーのような大人の酒場。同じ門前仲町で人気の日本酒酒場「沿露目(ぞろめ)」の2号店。一村は奄美大島を愛した画家、田中一村から。
住所/東京都江東区深川2-1-2 岡野ビル2階
TEL/03-5875-9963 ※要予約
営業時間/18時~24時(food L.O.23時、drink L.O.23時30分)、日曜は16時~22時(food L.O.21時、drink L.O.21時30分)
定休/不定休(月1回)