2017.07.06

"関西のナポリ"明石にこだわりピザと伝説の酒場を探訪

GOURMET

文／トライアウト

11時半スタートの昼市で競られた鮮魚がずらりと並ぶ、兵庫県明石市の「魚の棚商店街」。鮮魚店のほか、明石焼き屋や寿司屋が軒を連ねていることで知られるコチラには、実はピッツェリアにゴキゲンムードの酒場といった、港町・明石を“関西のナポリ”たらしめる隠れた名店があるのです。「これからナポリ行かない？」なんてウソみたいな誘い文句もご愛嬌。彼女の期待値を上回る味とムードをお約束します！

本場仕込みのピッツァと豪快なメインに思わずBuono！

まず一軒目は、目の前に船着き場が広がるトラットリアから。ここ「チーロ」は兵庫は赤穂にあるイタリアンの名店「サクラグミ」で経験値を積んだオーナーの小谷聡一郎さんと、本場ナポリでも腕を鳴らした女性ピザ職人の紀三子さんご夫婦による関西屈指の実力派。

窯はもちろん、ビール酵母のリエビトや小麦、塩にいたるまでイタリア産にこだわったピッツァは、メニューに並ぶだけでも40種以上。7時間かけて発酵させたタネを使い、420度の高温で焼き上げることによって縁はカリッと、生地はもっちりに。ワインとともに味わえば、小麦の豊かな風味が一層感じられます。

多彩なピッツァに加えて自家菜園の野菜がメインの前菜盛り、パスタなどがメニューに並ぶなか、マストでオーダーしたいのが明石で獲れた海の幸、その名も“まえもん”のオーブン焼き。取材時はスズキを丸ごと一匹使い、ピザ窯でサッと焼き目をつけた後、オーブンでじっくりと加熱。皮はパリッと、身はふっくらと弾力感のある歯応えに。味付けは塩とレモンのみという魚の旨味を最大限に引き出した奥深い味わいゆえ、グラスに手が伸びるのも無理はありません。潮風の吹き抜ける開放的なロケーションと極上料理で、ナポリ気分を満喫してください！

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8～9種のタパスを豪快に盛り付けた前菜盛り合わせ1600円（大皿）。濃いめの味付けゆえ赤のチョイスが正解。
ラム酒を染み込ませたイタリアの伝統菓子バッバに、アメリカンチェリーの甘酸っぱさがアクセントに。「バッバと季節のフルーツ」530円。
「ちょっとした魚屋よりも種類豊富」という鮮魚は、常時20種ほどを仕入れている。
活気づく店内の雰囲気はさながらナポリ。週末ともなれば遠方からもお客が訪れる。

8～9種のタパスを豪快に盛り付けた前菜盛り合わせ1600円（大皿）。濃いめの味付けゆえ赤のチョイスが正解。
ラム酒を染み込ませたイタリアの伝統菓子バッバに、アメリカンチェリーの甘酸っぱさがアクセントに。「バッバと季節のフルーツ」530円。
「ちょっとした魚屋よりも種類豊富」という鮮魚は、常時20種ほどを仕入れている。
活気づく店内の雰囲気はさながらナポリ。週末ともなれば遠方からもお客が訪れる。

■CiRO（チーロ）

住所／兵庫県明石市本町1-17-3 ゑびや第二ビル1F
営業時間／11:30～14:00（L.O.）、18:00～21:00（L.O.）
定休日／月曜（祝日の場合は営業、翌火曜休）
予約・問い合わせ／☎078-912-9400

酒を呼ぶ大鉢おばんざいがずらりと並ぶレジェンド酒場

ナポリの風を感じた後、和食が恋しくなったなら「チーロ」から徒歩5分のこちらへ。女性ウケするお店もいいですが、時にはアジのある立ち呑みへエスコートするのもオトナのたしなみ。

そこで二軒目にご紹介するのは古くから飲み屋街として栄えた明石で、“伝説”と称される創業80年の老舗「立ち吞み処たなか屋」。背の低い戸を屈んで入るとまず目に飛び込んでくるのは、カウンターにずらりと並べられた大鉢。「明石の立ち呑み文化と日本酒の美味しさを後世に伝えていけるように、角打ちを辞めて食べて飲める現在のスタイルに。日本酒は料理と一緒に味わうのが一番ですからね」とは三代目店主の田中泰樹さん。

だし巻きやポテサラ、煮付けにおひたしといった居酒屋定番のアテが約20種揃い、さらに昼網で揚がった魚介類を使った刺身やアヒージョも充実。

しかし“伝説”と言われる所以は、豊富なメニューだけではありません。イカナゴの発酵で作られるあかし魚醤や手作りの香辛料など、自然派調味料を隠し味に使用。それにより素材本来の旨味とコクが格段にアップし、酒のピッチも早まる魔性の味わいに。女将の愛情に満ちたおばんざいと日本酒の“和リアージュ”は、二軒目遣いだけではもったいなさすぎるレベル。老いも若きも無邪気になれる明石の名酒場で肩を寄せ合えば、二人の距離は身も心もググッと近づくはずです。

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