2017.08.04
焼酎は夏の季語だった? いま密かにアツイ夏焼酎とは?!
いまジワジワと人気上昇中の夏焼酎。その特徴から美味しい呑み方までたっぷりとお届けします!
- CREDIT :
文/金関 亜紀 写真/勝村 大輔、金関 亜紀(一部)
そんな焼酎のニューカマーとして近頃飲み助のあいだで話題なのが「夏焼酎」です。
夏酒の次は夏焼酎? といぶかしむむきもあるかと思いますが、いやいやどうしてこれがイイのです。
というわけで、夏焼酎の出生の秘密から探ってまいりましょう。
夏焼酎ってどんなの?
その始まりは2011年の初夏。大分県の麦焼酎蔵、藤居醸造の『ふんわり涼やか 特蒸泰明(ふんわりすずやかとくじょうたいめい)』でした。そもそもは、消費が落ち込む夏になんとか焼酎を飲んでもらいたいと、考え出されたそう。
「まずは手に取って貰いたいと思い、ラベルの裏に金魚を描き透明なボトルにしたんです。透かして覗けばまるで金魚が泳いでいるかのように見え、一目で夏のお酒と分かるかな、と。そのデザインが受け、徐々に知名度が上がっていったんです」と、藤居醸造三代目の藤居淳一郎氏は語ります。
度数は19度。常圧蒸留**らしく風味をしっかり残しながらもキレのよい味わいが焼酎ファンはもとより多くの人に受け入れられました。
日本のひなたと呼ばれる土地、宮崎らしい夏焼酎が登場しブームが加速
6月に入ると各酒販店や飲食店ではそんな声が飛び交います。“夏のまんねん”、“夏の潤平”、“夏の赤鹿毛”はもちろん、夏焼酎の名前。焼酎王国と呼ばれる宮崎県で造られる夏焼酎の代表的な3銘柄です。
どの銘柄も青いボトルに青と白を基調としたラベルデザインで爽快感たっぷり。この3銘柄が造られたきっかけは先に紹介した藤居醸造の夏焼酎だったそう。
「宮崎は“日本のひなた” といわれる土地。夏のまぶしい太陽、青く美しい海に恋して世界中からサーファーが集まる場所です。そこで暮らす私たちが夏焼酎を造らずしてどうするという気持ちになったんです」と話すのは、宮崎県都城市の老舗蔵、柳田酒造五代目、柳田正氏。
親交のある渡邊酒造場(宮崎市田野)の渡邊幸一朗氏と小玉醸造(日南市)の金丸潤平氏たちと宮崎らしい夏焼酎を造るべく日々語り合い、夏焼酎の定義を決め、各々の蔵の得意分野を生かし、宮崎らしい夏焼酎を造り出したそう。
「焼酎は割って飲むもの。夏焼酎はチビチビ飲むものじゃなくてゴクゴク飲んでもらいたいです」(柳田正)
「焼酎は飲みやすいということを知ってもらう上でも、夏焼酎は生まれるべくして生まれたんだと思います」(金丸潤平)
「夏焼酎は焼酎の可能性を広げたと思います。ラベルを気に入って手にとって貰えたらうれしいですね」(渡邊幸一朗)
「焼酎は割って飲むもの。夏焼酎はチビチビ飲むものじゃなくてゴクゴク飲んでもらいたいです」(柳田正)
「焼酎は飲みやすいということを知ってもらう上でも、夏焼酎は生まれるべくして生まれたんだと思います」(金丸潤平)
「夏焼酎は焼酎の可能性を広げたと思います。ラベルを気に入って手にとって貰えたらうれしいですね」(渡邊幸一朗)
1:青いボトルを使うこと。
2:青と白を基調としたラベルで文字は入れないこと。
3:アルコール度数は20度。
焼酎の度数は25度が一般的ですが、あえて20度にしたのは、じつは今も昔も宮崎で好まれている度数なのだそう。
「20度にした理由は、もちろんいま低アルコールが人気というのもあります。でも一番の理由は宮崎らしさを表現する上で、20度という数字は外せなかったんです。宮崎の風土や地元の食材、そして僕たちの呑み方にしっくりくるのがこの度数なんです」と柳田氏は熱く語ります。
渡邊酒造場は原料となる芋から育て、蔵付酵母***で自然発酵させることで、地元の空気感や風土をしっかりと感じられる『夏のまんねん』を、小玉醸造は新品種の芋「コガネマサリ」を使いフローラルな香りとやわらかな甘みを携えた『夏の潤平』を。そして柳田酒造は芳醇で香ばしい、麦焼酎『夏の赤鹿毛』を完成。こうして2012年より宮崎の夏焼酎の世界が始まったのでした。
九州ので人気の夏焼酎6選
『ふんわり涼やか。特蒸泰明』麦焼酎 19度 大分県 藤居醸造 / 夏の焼酎の先駆けともいわれ、多くのファンをもつ。透明瓶のガラス越しに浮かび上がる金魚が涼しげで夏の焼酎を象徴している。柔らかさと喉越し、すっきりした後味が特徴。冷蔵庫でキンキンに冷やし、氷にそのまま注いで飲むのがオススメ。
『夏のまんねん』 芋焼酎 20度 宮崎県 渡邊酒造場 / 型抜きされた愛くるしいペンギンラベルで大人気。原料には自家栽培芋の「ダイチノユメ」を使用。宮崎県産の新米「夏の笑み」(黒麹)を麹米に使用。爽やかな芋の香りが立ち、すっきりさを感じながらもしっかりとした味わいなのが特徴。蔵のこだわりでサイズは一升瓶のみ!
『夏の赤鹿毛』麦焼酎 20度 宮崎県 柳田酒造 / メルヘンちっくな花と少女の絵柄のラベルは女性にダントツ人気。新酒ならではのフレッシュさと蒸留する温度を計算し、香ばしい麦の香りをしっかり感じられるドライな仕上がり。酵母には宮崎県が研究開発した新酵母「平成宮崎酵母」を使用。 何杯飲んでも飲み飽きない味わい。
『夏の潤平』芋焼酎 20度 宮崎県 小玉醸造 / 正式な銘柄名は『おび蒸溜屋黄金まさり』であるが、夏焼酎ファンの中で『夏の潤平』が通り名になった。前回より新種麹菌「河内白麹エクセレント菌」を使うことで、今まで以上にフローラルな香りでバランス良い柔らかい甘味に。一升瓶のラベルは波の奥に「夏の潤平」という文字が浮かび上がっている。
『夏の小牧』 芋焼酎 25度 鹿児島県 小牧蒸留所 / 「ジョイホワイト」と「紅さつま」の2つの芋焼酎の原酒を5対5の割合でブレンド。ロック、水割り、ソーダー割りなど、好みで楽しめるように敢えて25度で調整。夏のラベルは2年毎に変化し、今年はひまわり。甘さ控えめで柑橘系のすっきりした風味が特徴。オススメな飲み方はロックにちょい水。
『ちんぐ夏上々』 麦焼酎 19度 長崎県 重家酒造 / 厳選した壱岐産二条大麦「ニシノホシ」と壱岐産米で仕込んだ壱岐焼酎。果実のようなフルーティーで優しい香りで麦焼酎らしからぬ味わい。キラキラ好きの女性を意識し蒼いラメの書体に。そのまま冷やしてワイングラスで楽しんだり、ワイングラスに氷を一つ浮かべ、氷がグラスに戯れる音で涼を感じて呑むのもオススメ。
『ふんわり涼やか。特蒸泰明』麦焼酎 19度 大分県 藤居醸造 / 夏の焼酎の先駆けともいわれ、多くのファンをもつ。透明瓶のガラス越しに浮かび上がる金魚が涼しげで夏の焼酎を象徴している。柔らかさと喉越し、すっきりした後味が特徴。冷蔵庫でキンキンに冷やし、氷にそのまま注いで飲むのがオススメ。
『夏のまんねん』 芋焼酎 20度 宮崎県 渡邊酒造場 / 型抜きされた愛くるしいペンギンラベルで大人気。原料には自家栽培芋の「ダイチノユメ」を使用。宮崎県産の新米「夏の笑み」(黒麹)を麹米に使用。爽やかな芋の香りが立ち、すっきりさを感じながらもしっかりとした味わいなのが特徴。蔵のこだわりでサイズは一升瓶のみ!
『夏の赤鹿毛』麦焼酎 20度 宮崎県 柳田酒造 / メルヘンちっくな花と少女の絵柄のラベルは女性にダントツ人気。新酒ならではのフレッシュさと蒸留する温度を計算し、香ばしい麦の香りをしっかり感じられるドライな仕上がり。酵母には宮崎県が研究開発した新酵母「平成宮崎酵母」を使用。 何杯飲んでも飲み飽きない味わい。
『夏の潤平』芋焼酎 20度 宮崎県 小玉醸造 / 正式な銘柄名は『おび蒸溜屋黄金まさり』であるが、夏焼酎ファンの中で『夏の潤平』が通り名になった。前回より新種麹菌「河内白麹エクセレント菌」を使うことで、今まで以上にフローラルな香りでバランス良い柔らかい甘味に。一升瓶のラベルは波の奥に「夏の潤平」という文字が浮かび上がっている。
『夏の小牧』 芋焼酎 25度 鹿児島県 小牧蒸留所 / 「ジョイホワイト」と「紅さつま」の2つの芋焼酎の原酒を5対5の割合でブレンド。ロック、水割り、ソーダー割りなど、好みで楽しめるように敢えて25度で調整。夏のラベルは2年毎に変化し、今年はひまわり。甘さ控えめで柑橘系のすっきりした風味が特徴。オススメな飲み方はロックにちょい水。
『ちんぐ夏上々』 麦焼酎 19度 長崎県 重家酒造 / 厳選した壱岐産二条大麦「ニシノホシ」と壱岐産米で仕込んだ壱岐焼酎。果実のようなフルーティーで優しい香りで麦焼酎らしからぬ味わい。キラキラ好きの女性を意識し蒼いラメの書体に。そのまま冷やしてワイングラスで楽しんだり、ワイングラスに氷を一つ浮かべ、氷がグラスに戯れる音で涼を感じて呑むのもオススメ。
気になる夏焼酎、東京で呑むならここの店!
◆ ぶどう家
夏の麦焼酎は夏の食材と相性抜群!
「鱧自体に味はないので、梅肉の酸味とゑびすっさんの軽やかな麦の香りがお互いに高めて、気だるい暑さを流してくれます」と店長の藤田有伸さん。
炭酸と焼酎の割り方は半々でOK。
「強い麦々しさがないので、鮎の香りや食感が活きてくる。夏焼酎と謳ってはいないけれど、夏によく出る1本です」(藤田店長)
氷を入れたグラスに注ぐときはゆっくりと垂らせば、より焼酎の香りがたつそう。
夏は夏焼酎も含め麦焼酎の注文が多いそう。「麦の香りがビール感覚で飲めるからかな」とは藤田店長の弁
焼酎担当はぶどう家の看板娘、レミさん。「こういうのが飲みたい」と好みをオーダーするとピッタリの味を作ってくれる達人。
関西出身の藤田店長は、京都の料亭の世界をリーズナブルな価格で楽しんでほしいと食材や盛り付けに妥協なし。焼酎は食中酒をモットーに、飲みかたはもちろん、料理との相性をしっかりと考えている。
夏は夏焼酎も含め麦焼酎の注文が多いそう。「麦の香りがビール感覚で飲めるからかな」とは藤田店長の弁
焼酎担当はぶどう家の看板娘、レミさん。「こういうのが飲みたい」と好みをオーダーするとピッタリの味を作ってくれる達人。
関西出身の藤田店長は、京都の料亭の世界をリーズナブルな価格で楽しんでほしいと食材や盛り付けに妥協なし。焼酎は食中酒をモットーに、飲みかたはもちろん、料理との相性をしっかりと考えている。
◆ ぶどう家
場所/ 東京都港区新橋3丁目10-7
営業時間/【ランチ】木・金12:05~13:00(L.O.13:00)
月〜金17:00~23:00(L.O.22:00)土17:00~22:00
(L.O.21:00)
定休日/日・祝
お問い合わせ/☎03-3433-1616
◆ 焼酎ダイニング だけん
ロックに炭酸割りと、ちょっと大人な夏の暑気払いの一杯に
「夏焼酎は味わいが爽やかで、度数を低く作っているものが多く、みなさんにオススメしやすいんです。ラベルを見てかわいいと興味を持ってくれる女性も多いです」
と井上さんは語りながら、カウンターのボトルを見せてくれました。
その爽やかなルックスは、なるほど確かに目を引きます。
「夏をコンセプトにした焼酎というだけあって、冷やして飲んでもらいたいという、造り手のメッセージが明確。だから焼酎初心者の方もきっと呑みやすいと思いますよ」
という井上さんが太鼓判を押したのは次の2本。
「炭酸で割ることで、芋の甘さがより軽やかになり、口当たりもとてもいい。グビグビと飲める一杯です」と井上さん。
お店でも老若男女問わず、一番人気の夏焼酎だそう。
「熊本の馬刺しには、馬刺しの旨味に負けない濃厚タイプを合わせたい。芋の余韻を楽しみながらも喉越しすっきりな、ひめあやかを是非ともロックで楽しんで欲しいですね」
ひまわりラベルも人気のひとつ。「あのひまわりを飲んでみたい」という女性も多いのだとか。
◆ 焼酎ダイニング だけん
場所/ 東京都中央区八丁堀2丁目19-10 秦昌堂ビル 1F
営業時間/17:00~2:00(L.O.1:00)
定休日/日・祝
お問い合わせ/☎03-5244-9804