2017.10.24
猟師が一軒家で獲物を供する、ウワサのジビエ鍋「アンザイ」に潜入取材!
1日1組限定、6名以上で貸し切り。猟師が散弾銃やナイフで仕留めたイノシシやシカをいただきます!
写真/菅野 祐二
仕留めたイノシシ、シカの生命をみんなで「いただきます!」
「鍋は獲物次第だからあるかどうかわからないみたい」
「1日1組。6名以上の貸し切りのみだってよ」
「あ、でも漫画家やアニメ製作関係者だと少人数でも融通きくみたい」
などなど、ウワサは聞いていたものの、誰も行ったことのないジビエ料理の店。いえ、店というか、猟師さんの自宅。そこは、まるで「注文の多い料理店」のようにミステリアス。「服を脱いでください」「クリームを塗り込んで」「塩をすりこんでください」などと言われているうちに自分が食べられてしまうんじゃ……
な~んて妄想が膨らんでいたところ、タイミングよく肉食美女から「連れてってあげようか?」とお誘いを受けました。 貴重な機会に、カメラマンとともに潜入取材した模様を逐一レポートいたします!
最寄りの目白駅からスマホを片手にウロウロ……知らない町を歩くのも、大人になってからはめったに味わえない探検気分。時間に余裕をもっておでかけください。
猟師と聞いただけで、勝手に毛皮のチャンチャンコを着た老人をイメージしていましたが、意外にお若くて驚きました。まずはスタッフを紹介し、非常にアットホームな雰囲気で始まります。
ウイスキーやラムなど圧巻のコレクションからお好みのものを選べる、というわけ。このほかにビールやワインはきちんと温度管理されて別の部屋にあるので、呑んべえのみなさんも安心して出かけられますね。
「私の猟場は静岡県浜松市なんですが、三ヶ日みかんの産地で捕獲した猪もありまして、ここらのイノシシはみかんを食べているんですよ。ですので、肉にもさわやかな柑橘の香りがします」というイノシシの肉。
安西さん自らが、ロース、もも肉、三枚肉などさまざまな部位をホットプレートで焼いてくれます。牛の部位はブラインドで食べてもわかる、という肉の猛者たる今夜のゲストたちも、イノシシの肉はまだ経験値も浅く、クイズを楽しむような気分で味わっている様子。
調味料がチューブのわさびやおろしニンニクで、普段「鮫皮でおろした本わさびしか食べないわ」「ニンニクはやっぱり田子(青森)産よね」という、食通美女たちはややとまどい気味でしたが、「漁師の船に乗って魚を釣ったそばから食べるならチューブわさびでもいいよね」「ここはそんな気分だよね」と、やや強引な論理で自分を納得させています。
安西さんが散弾銃やナイフで仕留めたという肉は、畜肉(繁殖肥育されている肉)にはない噛みごたえと濃厚な味わい。歯を当てればサクサクと噛み切れる肉を飲み込めば、お腹の中にポッと小さな火が灯るような温かみが感じられます。
ぼたん鍋(イノシシ肉の鍋)は身体があたたまると聞きますが、焼き肉を食べてお腹からあたたまるとは初めての経験でした。生命をいただくとはこんな感じなのでしょうか。畜肉では味わえない感触です。
通常のぼたん鍋といえば、味噌ベースですが、こちらでは少し甘い醤油ベースですき焼き風の味付け。旨味を吸った白菜、きのこ、しらたきがうまい、うまい。〆はきしめんが登場しましたが、みな満腹で食べ切れず、お持ち帰りをお願いしました。
前菜にもカラフルなジェリー寄せが供されるなど、随所に女子力の高さを見せる安西さんですが、それもそのはず……。
お腹一杯で店(というか家)を出て駅へ向かう途中、奇しくもひとりの肉食美女が「イノシシもおいしかったけど、なにより安西さんを味わった気分(笑)」とつぶやいたのに、全員で力強く「うん」と同意。このひと言に「ジビエ料理 アンザイ」の真実が込められているように思うのです。
蛇足ですが、持ち帰ったぼたん鍋の残りを翌日、卵でとじてごはんに乗せる「いの丼」にしてみたところ、ため息をつくほどのおいしさでした。
◆ ジビエ料理 アンザイ
住所/東京都新宿区下落合3-1-1
営業時間/貸し切り営業のため不定
定休日/不定休
お問い合わせ/☎090-3305-6595
●予約は電話ではなくHP(http://gibier-anzai.com/)からの入力で受付
●猪鍋+サイドメニュー 2品 8000円~