大人のオトコのバーリストに絶対入れておきたい店

デートのお店選び、みなさんはいつもどうしていますか？　ガイドブックや雑誌はもちろん、さまざまなグルメサイトまであって、今やニッポンはレストランの検索天国ですよね。とはいえ、「デートを成功させるためのお店」をきちんと探し出せる人ってきっと少ないはず。だって、複雑な女性の好みや心理状態を理解できないと恋を成就させるってムズカシイもの。
 
そこで、本誌LEONでYULI*YULIとして14年間にわたり、あらゆるジャンルのレストラン＆バーを取材してまいりました“デート・コンシェルジュ”(略してデーコン)こと、渡辺ゆり子が、本当にデートで使えるお店の選び方をわかりやすく御指南いたしましょう。

デートの待ち合わせ場所や２軒目に立ち寄る場所として、素敵なバーをいくつか知っておくことは大切。その場の流れや彼女の好みにマッチするお店をスマートに選び出せたら、デートマスター認定よ！
 
バーとひと口に言っても、東京にはホントに多種多様のお店があります。オーナーの個性が強く出やすいのは、夜のお酒を楽しむということに徹した場所だからかもしれません。

今回ご紹介するバーは、そんななかでも唯一無二と言っていいほどユニークなバー。

そのお店、「BAR松田」は、JR恵比寿駅の西口から目黒方面に線路沿いを歩いて約１〜２分という駅近の路地裏にあります。そこから１ブロックも離れていないエリアは、夜になると大勢の若者たちが集まって賑やかなのだけれど、この一角はいつも閑静で、凛とした空気が流れているの。

その名のとおり、オーナー松田氏が切り盛りするバーは建物の１階にあり、看板も出ているけれど、初めての方は入るのをなんとなく躊躇するかもしれません。ガラス越しに見える店内は、一見不思議なレイアウトだから……。
 
ドアを開けると、8畳ほどの小さな空間の真ん中に置かれたスタンディングテーブルが目に飛び込んできます。そして、店内の四隅にテーブル席が４席配置されていて、その間を縫うように着物姿の松田氏が行き来し、お酒をサーブしているのが見えます。
 
ちょうどお客さま同士が向かい合うカンジのレイアウトは、どちらかと言うと、松田氏に向かっている席というカンジ。ちょっとした緊張感があります。でも、それがいいのです。

お酒にも松田さんのこだわりが。基本、誰でも酒屋さんで買えるお酒は置かない主義だとか。ディジェスティフ＝食後酒に特化しても50種類ほど揃っていて、1850年のマデイラ酒、1929年のシェリー「ペドロ・ヒメネス」といった年代物や、日本では珍しいアルマニャックをベースに作られた「フロック・ド・ガスコーニュ」、「エグリ・ウーリエ」のラタフィア、ピノデシャラントといったレアなお酒も豊富です。さらに、ウイスキーは700〜800種類も！
 
それらはオールドバカラをはじめとする繊細なアンティークグラスに注がれて、席に運ばれてきます。そんなスペシャルなお酒とともに、松田氏がつくり出すキリッと締まった時間を共有することで、不思議とふたりの親密度が増すはずよ。

ちなみに、ミシュラン星付きシェフをはじめ、有名店の料理人たちも頻繁に来店するそう。そんな方たちと親交の深い美食家の松田氏は、お客さまがその夜に食べた食事にあわせて最良のお酒を提供することができるのだとか。

大人のオトコとしては、こんなバーを使いこなせたら素敵ね。ここにふさわしいオトコになって、一緒に連れて行けるガールフレンドがいるってことは、人生を謳歌しているってこと！

食、シャンパーニュ、花、インテリアと多岐のジャンルが活動のフィールド。2003年、国際アートフラワーコンクール優勝。2010年、シュバリエ・ド・シャンパーニュ叙勲。本誌LEONの「オヤジのトキメキダイニング」でも長期連載中。2017年7月７日に、自身のバー「Champagne Bar LILI-LA-YULI」が10周年を迎えた。