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2017.12.17

vol.31「セクレト」(牛込神楽坂)

まだ日本で希少な“イノベーティブ”な料理を、いち早く体験して!

伝統的なフレンチから派生した創造的・実験的な料理は、「イノベーティブ」という新ジャンルとして、ここ日本でも注目を浴びています。いつもと違う、食の知的体験をするデートにぴったりなお店「SECRETO(セクレト)」をご紹介しましょう。

CREDIT :

写真/棚井文雄

デートのお店選び、みなさんはいつもどうしていますか? ガイドブックや雑誌はもちろん、さまざまなグルメサイトまであって、今やニッポンはレストランの検索天国ですよね。とはいえ、「デートを成功させるためのお店」をきちんと探し出せる人ってきっと少ないはず。だって、複雑な女性の好みや心理状態を理解できないと恋を成就させるってムズカシイもの。

そこで、本誌LEONでYULI*YULIとして14年間にわたり、あらゆるジャンルのレストラン&バーを取材してまいりました“デート・コンシェルジュ”(略してデーコン)こと、渡辺ゆり子が、本当にデートで使えるお店の選び方をわかりやすく御指南いたしましょう。

この冬、彼女と一緒に“食の冒険”に出かけませんか?

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まずは、入ってすぐのウェイティングルームでアペを楽しんで。
今回ご紹介するのは、10月にオープンしたばかりのお店。「SECRETO(セクレト)」(スペイン語で“秘密”)という名のレストランは、ふたりでゆっくりと過ごすというより、食のエンタテインメントを楽しむための場です。
場所は、牛込神楽坂駅が最寄りの住宅街の中。「え? ここ!?」という言葉がつい出てしまうほど隠れ家感満点なエントランスを入ると、ブルーグレーを基調にしたシンプルなウェイティングルームが。19時に一斉スタートするコースディナーの前に、まずはコチラでアペしましょ。

そして時間になると、ダイニングルームへと案内されます。細くて暗い通路を通るとき、彼女のドキドキが高まること間違いなしよ!
そして、究極にシンプルな漆黒の空間に浮かび上がるカウンター席に到着。向こう側にはシェフの作業台が見え、まるで、客席と舞台のように向き合ったレイアウトです。さぁ、“セクレトシアター”の始まりよ!

目の前に置かれているSECRETO と刻字された四角いオブジェは佐賀の有田焼・季荘窯
のオリジナル。お洒落な空間に合わせた立方体に見えるけれど、実は磁器らしいあたたかみのある肌触りと微妙な歪みのある外しセンスが素敵! 横にセットされた箸、そしてピンセットがこれから出てくるお料理の暗示かしら?
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革新的なお料理とお酒がサプライズに!

お料理は13品のコースのみ。どれもシェフ薮中氏が、これまでの経験を生かして繰り出す創造性に満ちたメニューばかりです。もともと分子ガストロノミーの有名店、スペインの「エル・ブジ」でも修行経験のある藪中シェフ。マンダリン オリエンタル 東京の「タパス モラキュラー バー」でスーシェフを務めた後、さらなるこだわりを求めて「セクレト」をオープンするに至ったそうよ。
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お口直しには、不思議な食感の“包まれた林檎”をどうぞ。
例えば、コースの真ん中辺りにお口直しとして出てくるのはよくあるグラニテではなく“包まれた林檎”という不思議な物体。ゆる〜いゼリーのような感じなのだけど、バラの香りとミントの味で口の中がさっぱり。

林檎ジュースの中にアルギン酸ナトリウム(昆布のぬめり成分)を注入し、カルシウム水溶液の中に落とすと、このようにプルンと一瞬で固まるの。理科の実験みたいね!
そして、「フォアグラフレンチトースト」もユニークなの。こちら、フレンチトーストの上にフォアグラのテリーヌを液体窒素で凍らせて削りかけたもの。口に入れたときの冷たさと、すぐに溶ける儚さのバランスを楽しみます。この日に取材したお魚料理は、「能登直送鮮魚・サフラン・下仁田葱」。ハタと帆立貝を、クラシックなブールブランソースをエスプーマで軽い泡状にしたものに絡めていただきます。芽キャベツ、マッシュルーム、チコリーなどお野菜もたっぷりと。
 

ペアリングの始まりは、決まってジン・トニック! 

ペアリングのセレクトも個性的なの。特に面白いのが、最初に出されるのがシャンパ―ニュではなく、“ジン・トニック”という点です。薮中シェフがスペイン時代に、いつも通っていたジン・トニック専門バーの思い出の味を再現したのだとか。

「セクレト」のような伝統的フレンチから派生した革新的な料理を提供するお店は、いまや新しい料理ジャンルとしてミシュランなどでも“イノベーティブ”と呼ばれ、フランス料理とは違うカテゴリーとされています。日本ではまだ、このジャンルのレストランは少なく、薮中シェフのような存在は希少です。

スタイリッシュな感じで敷居が高い店と思われがちですが、和食器を使いこなすなど薮中シェフの日本人としてのセンスや気さくなお人柄が表れた「セクレト」は、ストレートに食の好奇心を満たしてくれるお店。“イノベーティブ”な食体験を共有するデートは、きっとふたりの関係にも刺激を与えてくれますよ!
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■ セクレト

住所/東京都新宿区二十騎町 2-23 ランピオンイゴー 102
提供時間/19:00〜(door open/18:40)

定休/月曜・月2回の不定休

URL/https://secreto-tokyo.com

予約・お問い合わせ/☎︎03-6265-3664
(完全予約制)
●料金/1万6000円(料理・飲み物・税金・サービス料すべて込み)

●渡辺ゆり子

食、シャンパーニュ、花、インテリアと多岐のジャンルが活動のフィールド。2003年、国際アートフラワーコンクール優勝。2010年、シュバリエ・ド・シャンパーニュ叙勲。本誌LEONの「オヤジのトキメキダイニング」でも長期連載中。2017年7月7日に、自身のバー「Champagne Bar LILI-LA-YULI」が10周年を迎えた。

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