カウンター10席で、料理は9品のコース料理のみ。この日のお造りは、築地で仕入れたヒラスズキとカツオ。醤油はとろりとして発酵感があります。「溜まり醤油や濃口醤油などをブレンドして作っています」と店主の高野正義さん。細部にまでおいしさを追求する姿勢が垣間見えます。
おすすめワインを尋ねると親切に教えてくれるのは、おかみの高野洋子さん。かつて日本ソムリエ協会の役員も務めていたというシニアワインソムリエです。
「和食の中でも懐石料理は淡い味わいの料理。日本酒ならばすべて和食に合うわけではありません。ワインでもスパイシーだったり花の香りが強かったりと特徴的なものだと、料理の中にはバッティングしてしまうものもあります。口に入れた途端においしいと感じるワインではなく、飲み続けて味を重ねていくうちに、おいしい、心地いいと感じるワインを提供しています」
彼女にきれいな見た目のプレゼントをするのもいいですが、さりげなく味わいがきれいな料理をごちそうするのも粋なものです。
「マデイラ酒は上品な甘みが魅力です。しっかり系よりも軽やかなものを選べば食中酒にもいけます」と洋子さん。懐石料理とマデイラ酒のペアリングは、おそらくこの店だけではないでしょうか。酸味と甘みのバランスが良く、後味が爽やかなこのお酒は、多くの女性が好みそうです。
◆ 高野
住所/東京都港区新橋1-11-1 中静ビル 2F
営業時間/18:00〜22時(最終入店20:00)
URL/www.takano-gohan.com
予約・問い合わせ/☎︎03-5537-3804
●料理はコースのみ。1万1000円
●柏木智帆
元神奈川新聞記者。取材を通じてお米とお米文化に興味をもち、お米農家を経て、現在は「お米を中心とした日本の食文化の再興」と「お米の消費アップ」をライフワークに執筆活動を続けている。ちなみにお米でできた日本酒も大好き。