「こんなの初めて❤︎」な新感覚“おでん”で、ほっこりデートできる店

デートのお店選び、みなさんはいつもどうしていますか？　ガイドブックや雑誌はもちろん、さまざまなグルメサイトまであって、今やニッポンはレストランの検索天国ですよね。とはいえ、「デートを成功させるためのお店」をきちんと探し出せる人ってきっと少ないはず。だって、複雑な女性の好みや心理状態を理解できないと恋を成就させるってムズカシイもの。

そこで、本誌LEONでYULI*YULIとして14年間にわたり、あらゆるジャンルのレストラン＆バーを取材してまいりました“デート・コンシェルジュ”(略してデーコン)こと、渡辺ゆり子が、本当にデートで使えるお店の選び方をわかりやすく御指南いたしましょう。

まだまだ寒い日が続きますね。凍えそうな夜はやっぱり、“おでん”でほっこりデート❤︎（Part 1、Part 2)なんか、イイですよね！　六本木ヒルズにほど近く、麻布十番商店街にある“すぎ乃”はまさに、彼女と一緒にホクホクおでんをほお張るにはうってつけのお店です。

人も多くて活気ある通りに現れる、日本酒の蔵元でよく見る杉玉が目印のしっとりした店構え。コチラ、奈良で創業30年の「おでん 酒庵 すぎ乃」の東京店なんです。

暖簾をくぐり店内に入ると、あたたかな雰囲気の小洒落たカウンター席とオープンキッチンに鎮座している大きなおでん用の鍋が目に飛び込んできます。そして、特注の銅製打ち出し鍋の中では、柔らかそうな大根が「早く食べて」といわんばかりに待機中！

実は「すぎ乃」のおでんには、こだわりがたくさんあるの。創業以来、ずっと変わらない秘伝の出汁もさることながら、注目すべきは、すべての具材がまんべんなく鍋に入っているわけではない点。材料により調理法が違うので、１点ずつお皿に盛られて出てくるのです。

西嶋料理長に、「すぎ乃」らしいおすすめメニューをセレクトしていただきました。どれも一見おでんとは思えないほど手の込んだものばかり。ちょっとした和食屋さんレベルなの。もちろん、すべての味のベースはおでん出汁で、そこにオリジナルアレンジが加わるというわけ。

さつま揚げは、オーダーが入ってからキッチンで揚げる懲りよう！　手間を惜しまず入れられた紅ショウガが、そこらのさつま揚げとは比べものにならない歯ごたえを実現します。

農林水産祭・畜産部門で天皇杯を受賞している豚と、シャキシャキのせりが絶妙なハーモニーの「あじ豚と仙台せり」。歯ごたえあるせりの根にも滋味を感じます。ちなみに、このあじ豚のシャブシャブも「すぎ乃」の人気メニューです。

「白エビかき揚げ」は、富山産のふっくら白海老と三つ葉をさらっと揚げ、おでん出汁に“かえし”を加えた天つゆでいただきます。「え、コレおでん？」と思われるかもしれませんが、れっきとしたおでんです。おでん出汁を使ったものはすべて“おでん”なのが、すぎ乃のコンセプト。

一説には私たちが食べているはまぐりの90％は中国産というなか、コチラは国産にこだわっています。一番出汁で炊き上げ、一切調味料を入れず、はまぐりから出る旨味と塩分だけのホッとする優しい味。

「すぎ乃」のおでんは、なにも付けなくても十分に素材の美味しさを堪能できますが、お好みで柚子胡椒と七味唐辛子で味の変化を楽しんでも。

お酒の種類も豊富で、ワイン・シャンパーニュ・ベルギービールまで揃えているけれど、こだわっているのはなんと言っても日本酒。オーナー自ら日本中の酒蔵を巡って厳選しています。

日本酒は常に20種類ほど置かれていますが、オススメとして選んでくださったのがコチラ。右から秋田の特別純米「一白水成」。茨城の純米大吟醸「大観」。福島のビオ日本酒「自然郷」。広島の純米酒「宝剣」。日本酒好きにはたまらないラインナップです。

そんな日本酒へのこだわりは、メニューにも表れているの。線画で描かれた日本酒瓶は、眺めているだけでも楽しくて、和んじゃいます。日本酒への愛情が深い！　酒蔵の方も、きっと嬉しいはずね。

そして日本酒はワイングラスに注がれます。そうするとグラスの中に日本酒の香りがこもり、長時間香りを楽しめるの。日本酒をワイングラスで飲むスタイルは、これからもっと浸透していきそう。

二階席もあります。テーブルとテーブルの間は御簾で仕切られているので、落ち着いたデートにもぴったり。個室もいくつか用意されているし、色々なシチュエーションで使えそうです。
 
「すぎ乃」は客席数の多いおでん屋さんだけれど、いつも盛況です。粒ぞろいのメニュー、小洒落た雰囲気、フレンドリーなスタッフ、こだわりの日本酒……と、人気な理由はいくつも。なので、要予約よ。

食、シャンパーニュ、花、インテリアと多岐のジャンルが活動のフィールド。2003年、国際アートフラワーコンクール優勝。2010年、シュバリエ・ド・シャンパーニュ叙勲。本誌LEONの「オヤジのトキメキダイニング」でも長期連載中。2017年7月７日に、自身のバー「Champagne Bar LILI-LA-YULI」が10周年を迎えた。