2018.04.01
オトコの節気と和菓子の甘い関係
季節を感じながら和菓子を味わう=日本人で良かった! と思える瞬間をご堪能あれ。
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文/河合かおる
やがて木々は青々と生い茂り、梅雨に濡れ、紫陽花が主役へ……季節は春から夏へとめぐります。
「日本には季節がいくつありますか?」と聞かれたら、多くの人が4つと答えると思いますが、中国では元々4つの季節をさらに「二十四節気」に分けていました。地球が太陽のまわりを一年でぐるっと一回りする360度を15度ずつ24に区切って名前をつけた、この「二十四節気」が日本へ伝播し、今も私たちの生活のあちらこちらで片鱗をのぞかせています。
たとえば、春は2月4日の「立春」に始まり、2月19日頃「雨水」、3月5日頃「啓蟄」、3月20日頃「春分」(今年は21日でした)、4月4日頃「清明」、4月20日頃「穀雨」と続いて、5月5日頃の「立夏」まで、これすべて春の「二十四節気」をカレンダーに落とし込んだもの。これらは、かしこまった手紙の冒頭に書く「~~の候」という時節のあいさつにもよく使われています。
日本人は、その節気ならではの行事やお祝い事を生活に組み込んできたわけですが、そこには必ずと言っていいほど和菓子が添えられてきました。
ちなみに、お彼岸に食べる和菓子、同じものでも春は「牡丹餅(ぼたもち)」、秋は「お萩(おはぎ)」と別の名前で呼ばれています。
これは、前者が牡丹の花、後者は萩の花が咲き乱れている様子に似ているから、なのだそう(諸説あり)。
同じ色、形をしていても、季節のフィルターを通してみれば全く別の植物に例えられてしまう。日本人の心が、いかに季節によって移ろう自然の影響を受けてきたかということですね。
こうした伝統的な日本の美意識を現代に進化させて、斬新な和菓子を提案し続けている和菓子店HIGASHIYAでは、月に一回「ヒガシヤギンザの節気餅」というイベントを開催しています。
忙しない日常を送る諸兄たちにとって、旅行やグルメはリフレッシュの定番かと思われますが、時々ふと立ち止まって「和菓子を味わい、季節を感じる」という些細な時間を過ごしてみるのも良いものです。
きっと、しみじみと込み上げる想いに浸れることでしょう。
「ああ、日本人っていいなあ」と。
(参考文献:「はじめてふれる日本の二十四節気・七十二候」根本浩著・汐文社)
◆ HIGASHIYA GINZA
住所/東京都中央区銀座1-7-7 ポーラ銀座ビル 2F
お問い合わせ/☎︎03-3538-3230
営業時間/
●ヒガシヤギンザの節気餅
日時/毎月第1日曜日 正午より午後3時まで
場所/ヒガシヤギンザ 店頭
価格/1個270円(税込) 4個(経木箱入)1000円(税込)
※ 数に限りがありますので、完売の際はご容赦ください。