オーナーシェフの小林寛司さんと、妻でサービスを担当する有巳(ゆみ)さんが夫婦で営むヴィラ アイーダは、レストランを取り囲む畑で野菜やハーブを育てながら、1日1テーブルのゲストをもてなす、日本における「Farm to Table」の先駆け的存在。その日の畑の様子を見ながら、ゲストの到着時間に合わせて摘み取った野菜やハーブを使い、一期一会の料理を提供しています。
そんなわけでヴィラ アイーダに決まったメニューはなく、サーブされる料理はほぼ日替わり。現在は、ざっくりと料理9皿とデザート3皿の計12皿くらいがスタンダードです。
▲ サラダ、と出された一品。メニュー名は「わかめ エンダイブ レタス からしな」。
▲ 干し柿 クリーム、エルバステラ キャベツの花。
▲ カリフラワー ロマネスコ ホロホロ鳥。
▲ キャベツ りんご 干し芋。
▲ フェンネル アオリイカ。
▲ プンタレッラ サザエ 蕗の薹。
▲ 桜鯛 いぶりがっこ ターメリック。
▲ サラダ、と出された一品。メニュー名は「わかめ エンダイブ レタス からしな」。
▲ 干し柿 クリーム、エルバステラ キャベツの花。
▲ カリフラワー ロマネスコ ホロホロ鳥。
▲ キャベツ りんご 干し芋。
▲ フェンネル アオリイカ。
▲ プンタレッラ サザエ 蕗の薹。
▲ 桜鯛 いぶりがっこ ターメリック。
葉もののサラダといったら、普通キリッと冷えていて、シャキシャキとみずみずしい食感を楽しむものですよね。ところが口に運ぶと、まだ生育途中のグリーンはふわふわと柔らかく、それが人肌くらいの心地よい温度に温められているのです。ふんわりした葉もの類に、シルキーなとろみを加えるのはわかめ。さらにスパイスを加えた溶かしバターのドレッシングはエスプーマ状。
例えば、産地を訪れる料理人に同行して、どうすればその野菜の持ち味を最大限に引き出せるのか、どんな食材と相性がよく、どうやってファインダイニングの料理に昇華していくか、これまでの経験で蓄積した料理人ならではの知識を、惜しげもなくシェアしたり。生産量が少なくて流通に乗らない原種のフルーツを守り育てる生産者をサポートしたり。和歌山の特産品である「紀州備長炭」を、昔ながらの製造方法で焼き上げる炭焼き人の活動を料理人仲間に紹介したり。
そうなる前に、国内旅行が自由にできるようになったら、次の旅先の候補にしてはいかがでしょうか。美食家のみなさんにとって、記憶に刻まれる1日になること請け合いです。
■ villa aida(ヴィラ アイーダ)
住所/和歌山県岩出市川尻71-5
HP/http://villa-aida.jp
● 江藤詩文(えとう・しふみ)
世界を旅するフードライター。ガストロノミーツーリズムをテーマに、世界各地を取材して各種メディアで執筆。著名なシェフをはじめ、各国でのインタビュー多数。訪れた国は60カ国以上。著書に電子書籍「ほろ酔い鉄子の世界鉄道~乗っ旅、食べ旅~」(小学館)シリーズ3巻。Instagram(@travel_foodie_tokyo)でもおいしいモノ情報を発信中。