2021.09.28
NY生まれ、NY育ちの日本人シェフが作る日本×カリフォルニアキュイジーヌの遊びゴゴロとは?
世界のファインダイニングのジャンル分けが難しくなり、“どこの国/地域の料理”から“誰がつくる料理”へと関心が移るいま。日米のバックグラウンドをもち、カリフォルニアの視点から日本料理を再構築したという、なんとも興味深い料理を楽しめるレストラン「Cali style ORYOURI YUZAN KEIICHIRO KUROBE」が銀座にオープンしました。
- CREDIT :
文・写真/江藤詩文
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「Cali style ORYOURI YUZAN KEIICHIRO KUROBE(カリ スタイル オリョウリ ユウザン ケイイチロウ クロベ)」。その長い店名を目にした時、誰もが「カリ スタイル オリョウリ」って何? と感じることと思います。
「カリ スタイル」とはカリフォルニアスタイルのこと。カリはアメリカでよく使われるカジュアルな略語だそう。「オリョウリ」は(日本の)お料理。ちなみに「ユウザン」は、リニューアル前の割烹「肉割烹 ゆうざん」の遺伝子を受け継ぐという意味で、「ケイイチロウ クロベ」は、板場を預かるシェフ・黒部慶一郎さんのこと。
黒部さんはアメリカ生まれ、アメリカ育ちで料理の研鑽を積んだのもすべてアメリカ。その「黒部シェフが手がける、カリフォルニア料理のエッセンスを効かせた、肉料理もおいしい割烹料理」。店名からして“世界で唯一無二”感が漂っています。
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テパチェは西海岸やメキシコでよく飲まれるパイナップルを用いた発酵ドリンクで、ここではパイナップルのほか、ショウガと青唐辛子を使って食欲を目覚めさせるさわやかな味わいに仕上げています。銀座の真ん中で、和の空間にいながら、トロピカルドリンクを飲むこの異次元な気分。おもしろすぎます。
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日本料理を踏襲しているのかと思えば、手打ちのパッパルデッレのボロネーゼがいきなり提供されるというフリースタイル。しかもこのボロネーゼは、秋田のマタギによる熊の肉で、生地には紫蘇が練り込まれ、パルミジャーノは山椒風味と、見た目と裏腹に味わいは和。もう息をつく暇もありません。
目まぐるしく変化する世界のフードシーン最先端のど真ん中に身を置いたうえで、2021年日本に帰国することを選びました。
さまざまな食体験を踏まえて、それぞれの体験を有機的に組み合わせることで、黒部さんの料理の本質が見えてくる。みなさんのように、レストラン好きこそその本懐を楽しめるわけです。
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■Cali style ORYOURI YUZAN KEIICHIRO KUROBE
住所/ 東京都中央区銀座6-8-7 交詢ビル4階
HP/http://nikuyuzan.com
●江藤詩文(えとう・しふみ)
世界を旅するフードライター。ガストロノミーツーリズムをテーマに、世界各地を取材して各種メディアで執筆。著名なシェフをはじめ、各国でのインタビュー多数。訪れた国は60カ国以上。著書に電子書籍「ほろ酔い鉄子の世界鉄道~乗っ旅、食べ旅~」(小学館)シリーズ3巻。Instagram(@travel_foodie_tokyo)でもおいしいモノ情報を発信中。