「渋谷の『The SG Club』で後閑信吾さんが作る、アメリカン・ウイスキー・カクテルを飲みにいらっしゃいませんか?」
それってそれって、噂の方ですよね??? もう絶対!這ってでも……というわけで、生命の危険さえあると気象庁が連呼するほどの猛暑の中、アサヒビールさんが主催するセミナーに伺って参りました。
世界のトップバーデンダーが作るアメリカン・ウイスキー・カクテルを体験!
さて、そんな後閑さんについての基本情報はひとまずここまで。やっぱり、どんなカクテルを作ってくださるのか、それが一番気になります!
「海外と日本のバーの違いをよく訊かれるのですが、実は共通点が見つけられないぐらい、違いますね」と後閑さん。
アメリカで修業し、2012年にイギリス・ロンドン「ザ・サボイ・ホテル」内の『ジ・アメリカン・バー』に創業以来初めてのゲストバーテンダーとして招かれるなど、各地で研鑽を積み、2014年には中国・上海でバー『スピーク・ロウ』を開業するなど、世界中のバー事情にもとっても詳しい後閑さん。ソトから見た日本は、やっぱりちょっと違うみたいです。
むむむ、確かに。バー、特にオーセンティックバーと言われる類は、ルールを知らない身にとっては心のハードルがめちゃめちゃ高いです。
「アメリカのお客さんの多くは、日常的にバーへ通います。そして『自分の定番』がある。例えば、“オールドファッションドで、ベースはウッドフォード”なんて指定をされます」
上質なウイスキーと最高のレシピが出合うと、既成概念が打ち砕かれます
実はワタクシ、バーでウイスキーベースのカクテルをあまり飲んだことがありません。ウイスキーを飲むならハイボールか、さもなきゃ一気にストレート。これまで、ウイスキーには、なんとも融通が利かないお酒という印象をもっていました。
「日本でカクテル文化が始まったのは戦後なんです。『カクテル・ブック』が出版され、みんながそれで勉強したわけですが、それにあまりウイスキーを使ったカクテルが載ってなかったんですよね。だから、今でもウイスキーベースカクテルのレシピをたくさんご存知のお店は少ないのでしょう。そうそう、日本と海外の違いで言えば、カクテルに対して極端にドライ志向。これも戦後の流れから来ているのです」
「世界で最初の『カクテル・ブック』はアメリカで出版されました。1920年代から50年代のものを見ると、アメリカン・ウイスキー・カクテルだらけ。ですから今も、本当にみな、よく飲みますね」
使ったバーボンは、非常に丁寧に少量生産されたウッドフォードリザーブ。強いバニラ香や濃厚な熟したフルーツの香りをもつ華やかなお酒ゆえ、一緒に合わせる材料にも特にそれに対抗できるだけのパワーが求められます。
「シンプルなカクテルを変化させる際に大切なのが、材料の選定。ウッドフォードに負けないものと考え、友人の養蜂家が青梅で作っている桜のはちみつを使いました。オーガニックで非加熱、少し生感があるはちみつ、フレッシュ感あるリンゴジュース、そしてウッドフォード。これがまた合うんです! そうそう、アンゴスチュラ・ビターズもちょっぴり入れましたよ。最後にミントとディルをたっぷり添えてできあがりです、さあ、どうぞ」
材料それぞれはきっと個性強めの味と香りのはずなのに、こうやってひとつになると驚くほどに柔らかく、またしなやかなカクテルに早変わり。ごめんなさい! 正直言って、ウイスキーベースカクテルを舐めてました。いや、偏見ありありでした。こんなに後引く味わいなら、何杯だって、飲んでしまいそうです。
今なら、後閑さん当人自身が作るカクテルが楽しめる……はず!
渋谷『The SG Club』は、ゴクゴク飲むを意味する「Guzzle(ガズル)」 (1階)と、ちびちび飲むを指す「Sip(シップ)」(地下1階)の二部構成。今回体験してきたカクテルは、「Sip(シップ)」でいただくことが可能です(「ワギュウ・マフィア・ファション」は通年、他2種類は2018年9月末まで提供予定)。
◆ The SG club
住所/東京都渋谷区神南1-7-8
営業時間/12:00-翌2:00(日~木曜)、~翌3:00(金・土曜)
定休日/不定休
URL/http://sg-management.jp/
問い合わせ/☎03-6427-0204
● 今回使用したウイスキーはこちら
ウッドフォードリザーブ(左)
ケンタッキー州最古の蒸溜所である、ウッドフォードリザーブ蒸溜所のマスターディスティラーが創り出す、アルコール度数43度のスーパープレミアム スモールバッチ(少量生産)バーボン。石灰岩のブロックで建てられた独特の貯蔵庫を使用し、オーセンティックでゆっくりとした均一の熟成を重ねることで生まれる、並外れてなめらかな味わいが特長。750ml/5210円(税別・参考小売価格)
ジェントルマンジャック(右)
テネシー・ウイスキーの代表銘柄である「ジャック ダニエル」のファミリー・オブ・ブランド。サトウカエデの木炭で原酒を濾過する「チャコール・メローイング」を2回行うことでスムースで飲みやすい味わいを実現。アルコール度数は40%。750ml/3350円(税別・参考小売価格)
URL/https://www.asahibeer.co.jp/whisky_brandy/
● 木原美芽(きはら・みめ)
「LEON」「料理王国」を経て、食・酒・旅中心のフリーランスライター、編集者。時々飲食業界の中のヒト。趣味は酒と猫。ウォッカの産湯につかり、日本酒で肌を磨くも、積年のツケが祟り酒量ががた減り。往年の自分を取り戻すべく、沖縄で酒の再修業中。