・ 高くて美味いは当たり前。たまには贅沢できる適度な価格帯であるべし。
・ 予約がとれない名店は高嶺の花。会員制や紹介制ではなく、実際に電話が通じるお店であるべし。
・ 大通りの洒落たハコばかりではなく、路地裏のひっそりとした名店を探すべし。縄のれんや赤ちょうちんを嫌う女子はこちらから願い下げるべし。
つまりは、高すぎなくてコスパよく、居心地よくて実のあるお店、というわけ。当方、かなりお酒を“たしなむ”タチですので、どうしても酒飲みに寄りがちな内容となりますが、その点はご容赦のほど。
さて、今回はこちらのお店。
とんかつをコース仕立てにした「銀座かつかみ」
そこからウン十年。かく言う私が、ヒレのおいしさに開眼し、また、そんじょそこらのとんかつ屋のロースかつでは少し重たく感じるようになりました。「ヒレかつを頼む男も悪くないな」なんて思い始めたときには、「どんな男が好き?」なんて、色気のある話題もとんと振られなくなっているという…人生の皮肉。まあ、それはおいといて。
さて、「銀座かつかみ」。ここではその「ロースにする? ヒレにする?」というお悩みは無用です。なぜなら、ヒレもロースも本当においしい一片を最高のタイミングで口にできるから。天ぷら屋や鮨屋のようなイメージ、といえば伝わりやすいかな。
「とんかつの表面の肉汁をチュッと吸ってください」
・ トマトの出汁サラダ
・ ひれかつ
・ 本日の赤身のかつ(1)
・ 本日の赤身かつ(2)
・ メンチカツ
・ 口直し
・ 生車海老のエビフライ
・ ロースかつ
・ 肩ロースかつ
・ お食事
いわゆる普通のとんかつを一枚食べるとき、たとえばロースなら、左から2枚目がいちばんおいしい(あくまで私調べ)のですが、はじっこはどうしても脂が強いし、ヒレカツなら最後に残るひとかけはどうしても冷めています。
「銀座かつかみ」のとんかつは、その部位をブロックから切り出したら、叩いたり、潰したりして無理に柔らかくしようとせずに、ひと口単位で揚げ、最高のタイミングで目の前にサーブしてくれるというわけ。たとえばひれかつなら、
その後は、ほんの少量の塩(ヒマラヤの岩塩)をつけつついただきました。もちろん卓上にはバルサミコ酢を配合した特製ソース(ランチタイムにはこいくちとからくちの2種ソース)が用意されていますが、塩とんかつがおいしすぎて、なかなかソースが使えなくて。味わいだけではなく、香りや食感が部位によって異なるので、それを味わおうと思うとソースは不要なのですね。ちなみにディナー時の豚は旨味と甘みのバランスのすぐれた〈米澤豚一番育ち〉を使用しているとのこと。
とんかつがコース仕立て、ということは、飲みながらゆっくり食べられるということでもあり「銀座かつかみ」にはソムリエがいるので、ワインとのペアリングも楽しめます。泡―ロゼー白―赤と4杯で3500円ということですので、もし5000円コースなら、飲んで食べて1万円いかないということに。これはかなりのコスパ良。
なぜ今までなかったんだろうという発想の転換により、デートにも、ビジネスディナーにもイケるとんかつ店。これは「美食のネタ帖」に加えておけば重宝しますよ。
■ 銀座かつかみ
住所/東京都中央区銀座5-6-10 ミヤコビル 5階
予約・お問い合わせ/03-6263-8720
営業時間/11:30~14:00(L.O)、夜は 18:00~、19:00〜、20:00~から選択
定休日/無休(年末・年始を除く)
※ 9席のカウンターと4席のテーブル1卓。夜は要予約。ランチも予約が望ましい。