2023.05.31
WBC優勝の影の立役者、白井一幸氏に聞く! モテるカラダの作り方とは!?
記憶にまだ新しい、WBCで世界一奪還を果たした侍ジャパンの躍動ぶり。その影の立役者としてヘッドコーチを務めた白井一幸氏に、大人世代がボディメイクで人生を豊かにするための術から、いまやスーパースターの座を不動のもにした大谷翔平選手のエピソードまで幅広くインタビューしました!
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写真/トヨダリョウ ヘアメイク/吉田葉づき 文/鳥海美奈子 撮影協力/バー リブレ 銀座
「将来の“なりたい自分像”を目標設定すれば、ボディメイクは長く継続しやすくなる」
これまでに数々の超一流選手をコーチングしてきた経験をおもちの白井氏に、ご自身のトレーニング方法やモチベーションの保ち方、さらにはWBCのエピソートまで幅広くインタビュー。モテるカラダ作りのヒントをたっぷりと聞けましたよ!
「日常生活では使わない筋肉を刺激することが大切」
白井 トレーニングというのは、日常生活では使わない筋肉を刺激して鍛えることが大切です。例えば単なるウォーキングだと日常生活の動きの延長にしかならないので、トレーニング効果は少ないんですね。ジョギングも同じ動きの繰り返しだから可動域が小さいし、ペースの早いものだとカラダへのダメージも大きいですよね。
私自身は朝早くに起きて、家や宿泊しているホテルの周囲を歩きながらトレーニングします。よくサッカー選手が準備運動で、足を持ち上げながら股関節周りを動かしていたりしますが、そういったカラダの可動域を広げたり、カラダをひねる動きを取り入れながら歩くんです。
使わない部分には脂肪や老廃物が溜まりやすいですし、使えば使うほどそこはシェイプされていきます。それで心肺数も120から140ぐらいまでに上げていく。そんなトレーニングで柔軟性、筋力、持久力をすべてつけるというやり方です。
白井 私はジムには行かないんです。だからすべてスクワットや腕立て伏せなどの自重トレーニングです。忙しいので日中はそれほど時間を使えないですし、朝歩くのが気持ち良くて、それが終わると「よし、今日もがんばろう!」と爽快な気分になれますからね。
── トレーニングを効果的に行なう方法というのはあるのでしょうか。
白井 数字をひとつの目安にするといいかもしれません。私の場合は、週に6時間やると決めています。2時間を週3回の時もあるし、あるいは1時間半を週4回の時もありますが、数字で決めると継続しやすい。あとは最初だけしっかりとトレーナーなどの専門家にプログラムを組んでもらって、やり方を習うのもいいと思います。
白井 メンタルがとても大事になります。トレーニングした後に「あー、疲れた」と言ってしまう方も多いですが、あれは「トレーニング=疲れる、もうやりたくない」というイメージを自分のなかに刷り込んでいることになります。自分の言葉は、自分が一番よく聞いているわけですから、「スッキリした!」とか「気持ち良かった!」と声に出すと、トレーニングに積極的に臨めるようになるんです。言葉は、メンタル面にはものすごく影響があります。
白井 そうです。あとは50代、60代、70代と、この先年齢を重ねていくうえで、どういう自分になりたいかというイメージをカラダ作りにも結びつけていけるといいですね。大切なのは、セルフコーチングです。自分で自分に問いかけて、自分がどうなりたいかを自分で決めて、自分で行動すること。人に言われると、どうしても“やらされてる感”が生まれてしまうでしょ。自分がどうなりたいか、そのために何ができるのかを考えると、前向きになれます。
── では白井さんの場合、どんな将来像を描かれていますか?
あとはゴルフでエイジシュート(自分の年齢と同じか、自分の年齢以下のスコアで1ラウンドを回ること)を達成したい。80歳でそうするためには健康でいなければできないし、ゴルフはひとりではできないから友人も必要になる。若い人とも交流したいし、経済的にもある程度余裕がないと……となってくる。生き方や仕事やカラダ作りを一個一個区切るのではなくて、そうやってすべて繋げてみれば、継続もしやすいですね。
── 授業を受けているようで勉強になります。そもそも、白井さんはなぜコーチングを学ぼうと思ったのでしょうか。
白井 私は学生時代からずっと野球をしていて、受けていた指導が超体育会系だったんです。野球で失敗すると、「お前、何やってんだ」「なんで失敗したんだ」「なんで言ったとおりにやらないんだ」と言われるわけですよ。そうすると、怒られるのがイヤだから、失敗しないように、負けないようにという「~しないようにしよう」という受け身でプレイすることになる。それだと楽しくないんですね。そのことを選手時代にすごく感じていたんです。
そもそもスポーツというのはうまくなりたい、勝ちたい、成功したい、という「~したい」が大事で、そうなると選手も主体的になっていく。指導者の言葉がものすごくメンタルに大きな影響与えるので、そういう指導者になりたいと思ってアメリカ留学して、コーチングを学んだんですよ。
── 今回の侍ジャパンにも、その指導が生きたということですね。
「大谷選手が目指す“世界一”は野球自体を超越しています」
「国を代表して戦うんだから、命がけで、死に物狂いでやれ」というコーチングだと、本来スポーツがもつ楽しさを消失させてしまう。だから、「重圧はかかるよね。でも、世界を相手に戦うこれだけの重圧や緊張感は、我々にしか味わえないことだよね。だから、その緊張感を受け入れて楽しんでいこうよ。重圧いいね、しびれるじゃん」という方向に持っていくわけです。
そうすると、失敗したとしても「じゃあ、次行こうぜ」「どうしたら勝てるか、世界一になれるのか考えよう」という空気感がチームを支配していく。私自身も毎日、こんなに素晴らしいメンバーたちと、こんなに素晴らしい舞台で世界一を目指せるというワクワク感や幸福感でいっぱいでした。
── 最後に、やはり大谷選手に関して質問をさせてください。彼の素晴らしさの秘訣はなんでしょう?
大谷選手の言う“世界一”というのは、数字を出すのももちろん大事ですが、数字だけではないんですね。「野球選手として世界で一番多くの人々に応援され、愛される選手になる」「野球を通して世界一影響力を与えられる人物になる」というのが最終ゴールだと考えているのです。
数字や数値というのは目標ですが、目標は達成できてもできなかったとしてもバーンアウトしやすくなります。でも、彼の場合は目的達成型。だからたとえ二刀流でも疲れを知らず、あんなふうに自分の道に邁進できるんですね。
Profile
白井一幸(しらい・かずゆき)
1961年、香川県さぬき市生まれ。香川県立志度商業高等学校を経て、駒澤大学卒業後にドラフト1位で日本ハムファイターズ(現北海道日本ハムファイターズ)入団。91年、リーグ打率3位、最高出塁率を記録。現役引退後は米ヤンキースでのコーチ留学を経て、日本ハムの二軍監督、一軍ヘッドコーチなどを務めてリーグ優勝3回、日本一2回を獲得。17年に退団後は、野球解説のほか企業研修などにも活動の場を広げる。
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