2023.09.29
今どき40代オトコの香りは、個性的な軽妙エロ♡
エロさのスイッチになるのが香り。ただ、どんな香りが有効かは年齢で異なるもの。そこで、年代別におすすめの香りをお届け。まずは自分が確立してくる40代に、チャレンジングな香水選びを指南いたします。
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写真/小川 剛(KONDO STUDIO) 文/島田恵美 編集/菊地奈緒(LEON.JP)
ただ、大人の余裕を醸したはずがオジサン風になったり、爽やかさを狙ったのに若作り感が出てしまったりと、年齢とのミスマッチにはご注意を。そこで、フレグランスアドバイザーのMAHOさんに、30・40・50代の魅力を引き立ててくれる香りをアドバイスしてもらいました。その香りをめぐる奥深いトークの、まずは40代編です。
自分の軸ができてくる40代は、個性的な香りでエロ気アップ
MAHOさん(以下MAHO) 経験値が上がってきて、自分が好きなもの、自分がしたい自己演出に手を出せるようになる頃ですよね。
── そうですね。力みや気負いが抜けて、自分の「好き」を貫けるようになる感じはします。
MAHO その中で個性を発揮したり存在感を高めたりということも可能になってくると思うんです。なので、香りも人と被らないようなレアなブランドや個性を感じさせるものにチャレンジしてみてほしいですね。
── つまり、自分なりの軸ができて落ち着いてきたからこそ、香りはチャレンジして存在感をアピールしちゃおうと?
MAHO ええ。あと、まだまだオジサンと言われたくない気持ちもあると思うので、今っぽい軽妙さも意識して選んでいただくといいかと。
仕事シーンでは
落ち着きと安らぎを醸す香りで理想の上司像を演出
MAHO 「カルトゥージア」はイタリアのカプリ島発祥で、ローマ法王に認められた世界最小の香水製造所と言われ、その香りは長く門外不出だったんです。世界のセレブがバカンスに訪れる土地柄もあって徐々に知られるようになったのですが、現在もハンドメイドで作られていて流通量が限られたレアなブランドです。
── ボトルのラベルに描かれているのはサンゴでしょうか。
MAHO ええ。カプリ島といえば青の洞窟が有名ですが、実は赤の洞窟もあって、そこは岸壁に赤いサンゴが付着しているんです。その島の名物であるサンゴをイメージした香りが「コラリウム」。だから、海の爽やかなだけじゃないソルティなミネラル感、サンゴのゴツゴツした硬さ、赤い色が醸し出す温かみといったさまざまな要素を併せ持っています。
── (香りを試して)弾けるような海の雰囲気とは違う、シャープさや落ち着きがありますね。あと、なんか捉えどころがない感じが……。
MAHO そうなんです。爽やかと言う人もいれば、知的、落ち着いている、温かいなんて言う人もいて、いかようにも感じられる。香りの中心はウッディですが、セージやローレルがフレッシュなスパイシー感とグリーン感を添えていて、相手をリラックスさせるような安らぎの雰囲気もあるんですよ。
── 仕事のどんなシーンにもフィットしてくれそうですね。
MAHO ええ。絶妙なバランス感の香りなので、ビジネスシーンでもマルチな雰囲気を醸し出してくれると思います。上司としてなら、デキる印象や厳しさも出せるし、逆に「お前最近どうだ?」なんて歩み寄っている感じも出せるかと。
── まさに理想の上司ですね。香りがその助けになってくれるのは有難いです。
休日シーンでは
意味深なイチジクの香りで、自堕落でエロい大人に
MAHO 日本ではまだレアな存在ですが、アメリカ・ニューヨークではとてもウケているブランドです。見た目はシンプルですが、商品のコンセプトがすごくシュールで、音楽やアートに造詣が深くないと読み解きができないような香りが多いんです。
── その中で「ディベイザー」はどんな香りなんでしょう。
MAHO ピクシーズのブラック・フランシスが歌う「ディベイザー」という曲にちなんだ香りで、歌詞の「俺はダメな奴なんだ、しょうもない奴なんだ」みたいなところを面白くコンセプチュアルにしているんです。香りはイチジクですが、フルーティな甘さに皮や葉のえぐみのあるグリーン感が加わっていて、ちょっと品行方正じゃない感じに仕上がっています。
── これはまた個性派ですね。いやでも、オヤジさんの休日っぽいかも(笑)。
MAHO 「ディベイザー」の歌詞は、シュールレアリズムの映画『アンダルシアの犬』からきているんですが、その映画中の目を切り刻むシーンをイチジクになぞらえているように私は感じますね。イチジクといえば禁断の果実ですし、縦に割るとエロティックで……。もうシュールなネタがありすぎて、本当に語り尽くせない香りなんですよ。
── (香りを試して)確かにイチジクですけど、うっすらスモーキーというか、いわゆるイチジク系とはちょっと違った感じがします。
MAHO イチジクの香りって、ヨーロッパのブランドだと、地中海の陽光の下でたわわに実ったイチジクのヘルシーでジューシーな香りというのが一般的なんです。でも、これはニューヨーク発らしく、ちょっと斜に構えた感じがある。
休日の俺はダラダラしてしょうもないやつなんだとうそぶきつつ、でも、やる時はやってシュッとイケおじになれちゃう。そんな緩急を楽しむ40代に捧げたい香りです。
昼デートでは
夕暮れの太陽や海を映した香りでヘルシーなエロさを放出
MAHO 「ソレイユ ドゥ フ」はトム フォードのプライベート ブレンドから7月に発売されたまだ新しい香りです。もともと官能的な表現が得意なブランドですが、これはトム自身が、これまでの“ソレイユ”シリーズで最も官能的と言っているもの。「ソレイユ」が太陽、「フ」が炎で、燃えるような太陽が海に沈んでいく情景を表現しています。
── 具体的な香りの特徴というと?
MAHO 夕陽や海のキラキラを思わせるベルガモットが、スパイシーなピンクペッパーやカルダモンと混じり合いながら、次第に日暮れから夜に向かう時間を彷彿とさせるエキゾチックな樹脂の香り、チューベローズの官能的な香りへと移っていきます。
── つまり、チューベローズがエロさを醸してくれると?
MAHO ええ。チューベローズは花の中でも最も肉欲的と言われる香りなんです。そんな香りを持ってきながらも、ペッパーや柑橘が日中デートの爽やかさ、ココナッツミルクが自然の中で映えるヘルシーさを演出してくれます。トム フォードらしい贅沢感も魅力ですね。
── (香りを試して)ココナッツが強すぎず軽やかですね。エキゾチックでセクシーなんだけど、確かに健康的な感じが……。
MAHO チューベローズを隠し味的に使ってココナッツと合わせたところがユニークで、官能的かつヘルシーというところに貢献しているかと。小麦色に焼けた肌にちょっと塩を噴いたり、肌についた砂が黄金色にキラキラしたり、産毛がキラッと光ったり、そんな気配を漂わせているところが昼デートにぴったりだと思いますよ。
夜デートでは
軽妙クールなタバコの香りでゆったり大人な時間を満喫
MAHO 「キリアン パリ」は、ドラマティックでメローなムードにぴったりなブランドですね。立ち上げたのはヘネシー家の御曹司であるキリアン・ヘネシーで、彼のルーツとして、ラグジュアリーなひとときをもたらすお酒の要素があるので、お酒をテーマにした香りが多いんです。ナイトデートのために1つ持っておいて損はないブランドだと思いますね。
── その中で「スモーキング ホット」は、どんな香りですか?
MAHO 最近流行っているタバコの香りをセンターに持ってきた最新作です。トップはシーシャ(水タバコ)のアップルフレーバーやシナモンで、その後にタバコやバニラが出てくるんですが、重甘い感じはなく、タバコとお酒を贅沢に楽しむシーンを思わせる香りに仕上がっています。
── (香りを試して)スモーキーで、なんかタバコに火をつけた時のような気配が……。
MAHO それはシナモンですね。タバコに火をつけて、煙がふんわりたゆたう温もりのような感じ。一昔前のモクモクしたヤニっぽさではなく、1本のタバコをゆったり吸うとかその残り香のような雰囲気で、空気のキレイさはしっかり残っている印象ですよね。
── そうそう。昔からあるタバコの香りとは全然違って、すっごく軽いです。
MAHO 従来のタバコの香りのストロングさや強いスモーキーさはなく、スタイリッシュな都会のナイトシーンを思わせますよね。バーで軽やかなカクテルを飲んでいるようなシーンを彷彿とさせる香りです。
さっきの昼デートの香りは、炎のようにギラギラゆらゆらした太陽ですけど、夜のこちらはもっとクールな雰囲気で、大人の余裕を漂わせてくれますよ。
フレグランスアドバイザー MAHOさん
香水の魅力を伝える巧みな話術と表現力で、メディアやセミナーでの情報発信、トレーニングサポートなどに携わる。フレグランスカウンセリングの先駆者で、予約制のプライベートサロンは男女から人気。日本フレグランス協会常任講師。日本調香技術普及協会理事。11月18日、19日はJR名古屋高島屋にてパーソナルコンサルティング開催予定。
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