“頭に鍼”で睡眠改善

忙しく毎日を過ごしている現代人、特に男性は、気づかないうちに眠りが浅くなっていたり、無呼吸症候群になっていたりとさまざまな睡眠障害を抱えているもの。その一因は交感神経と副交感神経の切り替え不調にあることが多く、自律神経を整えることで睡眠の質の改善が期待できます。

そこで今回は、東洋医学に基づいた診断で、睡眠に対する根本治療を行う鍼灸サロン「NEL（ネル）」をご紹介。「NEL」は頭皮に鍼を打ち、そこに微弱な電流を流すことで、血流を促進し、脳の疲労を改善、睡眠の質を良くすることを目的とした鍼灸サロンです。

今回体験するのは編集部員の市村。寝付きは良いが、眠りが浅くすぐ起きてしまうのが悩みとのこと。38歳とまだ中年というには早い年齢ながら、すでに睡眠の悩みがあるのはちょっと心配ということで、体験してみることに。

サロンを訪れたのは日中でしたが、店内は照明を落としてあり、急に夜が訪れたかのような雰囲気に。施術ベッドのあるプライベート個室で、まずはカウンセリングからスタートします。

「東洋医学ではカラダの状態は舌と脈に現れるので、まず舌と脈を見ていきます。健康的に睡眠が取れている正常な状態ですと、舌は口の大きさに対して一回り小さく、きれいなピンク色で、舌の表面も苔が薄くつるっとした状態です。ですが、カラダに疲れがたまっていたり、不調があると舌にさまざまな症候が現れます」（津川さん）　

例えば、強い歯ぎしりをしている人は、舌に歯の跡が付いてしまっていたり、精神的に不安定で不眠に陥っていると舌の先に赤い斑点が現れたりするそう。

「市村さんは、口に対して舌が少し大きくなっているのと、舌の先がピクピクしているのが気になります。あと苔が少し厚く、歯型も少し見られますし、右裏の血管が浮き出ているので、自律神経が不安定で、寝ているのに何か考え事をしているような感じで、寝ても疲れが取れないという兆候がありそうです。

また疲労や老廃物がたまっていて、循環や代謝が悪い可能性があります。脈は少し早いので、呼吸が浅くて疲れがたまっているのかなという印象です。ですので、自律神経を整え、疲れや老廃物を取り除き循環を良くするために、側頭部や頭頂部を中心に鍼を打っていこうと思います」（津川さん）

市村曰く、「ギックリ腰の時に鍼を打ってもらったことがあるのですが、鍼灸はその一度しか経験がなくて、実は今ちょっと怖くて緊張しているんです。それで脈が早いってことはないですか？」とのことだが、「緊張している時は、もっと脈が強くなるので、それとは少し違うかなと思いますよ。」と津川さん。

カウンセリングの後は、親指と人差し指の間の合谷（ごうこく）と呼ばれる部分にシール状の鍼である置き鍼をします。自己免疫を高め、血流を改善してくれるので、2〜3日そのまま貼っておくのがオススメとのこと。次にベッドに横になり、頭の硬さを確認し、丁寧に頭髪と頭皮をブラッシング。鍉鍼（ていしん）と言われる刺さない鍼が付いたローラーで頭全体の硬さをゴリゴリと取っていき、プチプチと弾ける炭酸シャワーで、頭皮の血流を良くしていきます。最後にNELオリジナルのシリコンブラシで頭皮全体をマッサージしてから、実際に鍼を打っていきます。

「鍼を打つ前に、頭皮の硬さや緊張をある程度ほぐし、落ち着かせてから鍼を打つことで、痛みがでにくくなり、鍼の効果が高まるので、NELでは鍼を打つ前にしっかり頭をほぐしてから行っています。

耳の上からこめかみにかけてが痛いとのことなので、考え事が多かったり、寝ている時や普段起きている時も食いしばって力が入ってしまっていると思います。耳の近くが凝っていればいるほど、疲労度合いが高いので、かなり疲れていらっしゃいますね」（津川さん）

しっかり頭皮をほぐした後、約50本の鍼を、頭頂部、前頭部に打っていきます。鍼はかなり細いものを使っているので痛みを感じることはほぼないのですが、疲労が溜まっている部分などは痛みを感じることもあるそう。頭部への鍼に加え、肩や首にも数本追加し、それらに弱い電流を流していきます。

トントンと突かれているような感覚で、電流の強さは弱いものから流し始め、痛みや違和感のないように調整してもらえるのでご心配なく。15分ほどこの状態を保ち、その間に膝下と足裏のマッサージを行います。この鍼を打って電流を流している15分間は、3〜4時間眠ったと同じくらい脳が休まると言われています。

この後、頭部の鍼を抜いた後に、側頭部と耳周りに、再度鍼を打っていきますが、今度は打ってそのまま置いておくのではなく、刺しては抜いてを繰り返していきます。

「NELの施術では、側頭部や耳周りなどの部分は最後の仕上げの際に打っていくのが特徴です。実はこの部分は響きやすく痛みが出やすかったり、慣れていない方だと立ちくらみのようにふわっとしてしまい気分が優れなくなる方も稀にいらっしゃるので、鍼を長時間置きっぱなしにせずに刺して抜いてを繰り返して施術していきます」（津川さん）

鍼を打ち終わった後、最後に仕上げのヘッドのマッサージをして施術は終了です。施術後は、睡眠の質を高めるよもぎ茶と脳への血流を促してくれるデーツのサービスも。これでおよそ60分の施術時間になります。

「市村さんは、1.5倍くらい左のほうが電流が強いので、右側の方がよりストレスがかかっているかもしれません。また生え際も痛みを感じやすいとのことだったので、常に考え事をしていて、頭の中で情報が整理できていない、脳が疲れている状態で、満遍なく疲れている感じでした。最低でも月2回ほど通っていただけると、体を休ませるという習慣がついて、オススメです」（津川さん）

施術から通日後に、編集部員の市村に感想を聞いてみました。

「正直、鍼という事実を当日サロンに行くまで忘れていて、当日キャンセルしたくなったほど鍼が苦手な私。ですが、結果から申し上げると、先生のウデと鍼の細さによって、まったく痛くなかったのです。鍼を頭皮に刺した後、そこに微弱な電気も流すのですが、箇所によって強弱を振り分けてくれるのでこちらも痛みはほぼ皆無。なので、ひとまず鍼が苦手な向きでも安心して受けられるのがグーです(これ重要)。

で、効果はいかほどかというと、2日間シャンプーする際に頭皮の柔らかさを感じることができ、人一倍頭(皮)が硬い私にとって頭皮が柔らかくなったというだけで通う理由になります。そしてもう一つ大事なのは、頭皮と舌の状態からいまの体調を診断してもらえる点。

『今、自分はこういうストレス状態に置かれてるのね』と、知っているのと知らないのとでは精神的に大違いですからね。睡眠改善が目的ですが、実は同時に今の体調を知ることもできるのも大きなメリットと言えるでしょう」

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