2017.09.05
この症状、まさかの“老眼”!? 最近耳にする「スマホ老眼」の実態とは
- CREDIT :
文/河合かおる

いま、年齢的にも“老眼”になるには早いけれど、今まで感じることのなかった“見えづらい”などの目の不調を訴える人が増えているそう。
と同時に最近ちょくちょく耳にするようになった「スマホ老眼(仮性老眼)」というワード。普段から仕事や遊びにスマホを駆使している諸兄たちにとっては、“スマホ老眼”と聞くと、思わずドキッとしてしまう人も多いのではないでしょうか。
というわけで、今回は眼科医・医学博士であり、オンラインで医師による健康相談が受けられるサービス「first call(ファーストコール)」で多くのユーザーたちの “眼”の悩みに答えている眞鍋歩先生に、「スマホ老眼」についての実態とその改善策などについてお話を伺ってまいりました。日々の心がけで、その不快症状、改善されるかもしれませんヨ。
そもそも、「老眼」ってナニ?
「人は近くのものを見るとき、無意識に目にぎゅっと力が入っています。どういうことか詳しく説明しますね。黒目の中にある水晶体という部分は、周囲が筋肉で囲まれています。モノを見るときはこの筋肉の収縮によって水晶体の厚みを調整しピントを調節しています。近くを見るときは筋肉がぎゅっと縮まるのですが、老化するとその筋力が低下するんですね。そしてピントの調節がうまくいかなくなり、見えづらくなるんです」
なるほど、そういう仕組みだったのですね。では、いま若い人の間でも増えていると言われる「スマホ老眼」とは何でしょうか。
「スマホを使うとき、目から20〜30cmの近い距離で長時間画面を見ることがあるかと思います。距離が近いほど、また時間が長いほど、目はかなりの筋力を使うことになります。その直後に遠くを見ると、縮んでいた筋力がすぐには元に戻らないんですね。つまり、ピントの調節が追いつかないので、見えづらくなってしまう。その症状が老眼に似ていることから、「スマホ老眼」と呼ばれるようになったのでしょう」
つまり、水晶体の周りの筋力が老化しているか、または疲労しているかの違いが「老眼」か「スマホ老眼」かの分かれ道なのですね。でも、自分ではなかなかその違いを判別することはできません。そこで、眞鍋先生に自分でも簡単にチェックできるリストを作っていただきました。
あなたは「老眼」?それとも、「スマホ老眼」? セルフチェックリスト6
2. スマホを使った直後に遠くを見ると、周囲がぼやけて見える。
3. 夕方になると目がかすむ。
4. 最近、目が疲れているように感じる。
5. 頭痛や肩こりなどに悩んでいる。
6. 翌朝には“見えづらい”という症状が改善している。
上記の症状が当てはまる人は、「スマホ老眼」の可能性が高いとのこと。
「もちろんです。まずは、生活習慣の改善ですね。とにかく、目をできるだけリラックスさせる時間をつくるように意識してください。具体的には、PCやスマホを使うとき、たとえば1時間ごとに遠くを見るようにしていただくと効果的です。近くを見るときは筋肉を使うのと反対に、遠くを見ることで筋肉は弛緩し休まります。また、小さい文字を見ると疲れやすいので、画面の文字サイズを大きく設定するのも手ですね。画面の明るさは、周囲の環境の明るさとのギャップが少ないように。暗い場所で明るい画面を見ると疲れやすくなりますし、その逆もまたしかりです」
たとえば、「スマホ老眼」を防ぐためのオススメアイテムなどがあれば教えていただきたいのですが。
「目を休ませるのに最も手っ取り早い方法は、目を閉じることです。アイマスクを利用するのも良いと思います。最近では、蒸気で目を温めるタイプのものも市販されていますよね。目を閉じて温めると、血流が良くなり筋肉も休まります。ホットタオルを目の上にかぶせるのも効果的ですよ。
ちなみに、「スマホ老眼」と並行して罹患しやすいのが「ドライアイ」です。PCやスマホの画面を見ている時って、まばたきの回数が減るのですが、それがドライアイにつながって目がかすむ原因になることがあります。眼科で点眼薬を処方してもらうのがベストですが、すぐに病院へ行けないときは、市販の人口涙液や目薬を使っても良いでしょう。その際には、防腐剤無添加の小分けになっているタイプを選ぶようにしてください。実は多くの市販の目薬には、この防腐剤が含まれていて、それがドライアイを悪化させる原因になるとも言われているんですよ」
小さな文字を近い距離かつ長時間見ることで引き起こされる“スマホ老眼”は、年齢に関係なく、誰にでも症状が現れる可能性があるということ。そして、それは日々の心がけ次第で改善できるということでした。
真性の“老眼”じゃなかった! とヨロコブそこのアナタ、ぜひ眞鍋先生直伝の“スマホ老眼対策”を日常に取り入れてみてくださいませ。

◆ 眞鍋 歩
株式会社Mediplat(メドピアグループ)メディカルアシュアランスチーム
チームリーダー(医師・医学博士)
2009年に日本大学医学部卒業後、2011年4月日本大学病院眼科入局。2012年ボストンHarvard大学MEEI病院、2014年シンガポールCamden Medical Centerへ短期留学。2015年3月日本大学医学博士課程修了。2015年11月にオンライン医療相談「first call」を提供する株式会社Mediplatの立ち上げに参画。現在、日本大学病院眼科研究医員として臨床・研究に従事しながら、「first call」の企画および医師として健康相談にも対応。