2021.05.29
薬指より人差し指が長いと、男性ホルモンが少ない!?
代表的な男性ホルモンの一つ「テストステロン」は、値が高いほうが人との交渉能力や決断力が高いという研究データが存在する別名・社会的ホルモン。そんなリーダーシップを後押しする男性ホルモン値が薬指と人差し指の長さで推し量れるなんて、いますぐチェックするっきゃない!
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文/弘田雄士(スポーツトレーナー)
そもそも40代はなぜ「疲れやすい」のか?
20代からゆるやかに減り始め、40代で急激に分泌が減少することがわかっていますが、低下することで明らかに性機能が落ちます。
そのほかにも、「疲れやすく、疲労も抜けづらい」「精神的な落ち込み、うつ症状、イライラ感」「集中力、意欲の低下」などの症状が出てきます。テストステロンには抗肥満作用もあるため、低下にともなって太りやすくなり、高血圧や高脂血症、ひいては糖尿病のリスクまで上がることがわかっています。
テストステロン値が高いと男らしさが強く、攻撃的であると思われがち。しかし、男らしさより社会的ホルモンと言われており、テストステロン値が高いほうが人との交渉能力や決断力が高いという研究データも存在します。
つまり、テストステロン値が高まると精神的にも影響を与え、リーダーシップが高まり、決断力を後押ししてくれるんですね。
興味深いエピソードがあります。アメリカでの実験ですが、女性に74名の男性の写真を見せて好みの男性を選別してもらいました。その結果を見ると、選ばれた男性は免疫力が高く、テストステロン値が高い人ばかりだったというのです。
生き生きとした姿を見せ、覚悟を持って的確な意思決定ができる。同性、異性を問わずこんな人物であれば、間違いなくあなたは「モテる人材」であり続けるでしょう。
テストステロンの働きを維持し続けることは、プライベート・ビジネスシーンにかかわらず、求められるキーパーソンであるためにとても重要な要素なのです。
40歳以降で身体的、心理的、性的な不調が男性性腺機能の低下によってもたらされる症状を、通称で男性更年期症候群、正式には「加齢男性性腺機能低下症候群(LOH症候群)」と言います。
LOH症候群は、うつ、性機能の低下、認知機能の低下、骨粗鬆症、内臓脂肪の増加、インスリン抵抗性の悪化(血糖値の上昇)、善玉コレステロール(HDL)の低下、中性脂肪と悪玉コレステロール(LDL)の上昇につながり、メタボリック症候群のリスクファクターになります。さらには心血管疾患、糖尿病、呼吸器疾患のリスクを高めます。
診断にはチェックテストなどで中等症以上に該当するかを確認。その後、血液検査でもっとも働きが強いとされている遊離テストステロン値を測定し、8.5pg/mL未満であるとLOH症候群と診断されます。
深刻なテストステロン値の低下が明らかになった場合は、ホルモン補充療法が行われます。知人の泌尿器科の先生によると、実際の投与経験・理論上の両者からも、テストステロンは精神面(活気、やる気、集中力)や仕事の効率、筋力維持に生理的に関連性が高いと実感しているとのこと。投与すると患者さんに喜んでもらえるケースが多く、QOL(人生の質)も改善する場合も多いそうです。
女性の間では認知度が高い「更年期障害」ですが、男性もまったく同じような症状に苦しんでいるケースは少なくない。……にもかかわらず、自分も周囲も男性の更年期障害に関しての知識どころか、存在自体を知らない人が多いのが現状でしょう。気をつけたいものです。
男らしい人ほど「薬指」が長くなる?
前述のチェックテストをしたうえで、メンズ・ヘルス外来を受診して血液検査をする、というのは、ちょっとハードルが高くて怖い、という方もいるはずですよね。
そんな方は、人間ドックならぬ「男性力ドック」を受診するのはいかがでしょうか。通常の人間ドックでは行わない、男性更年期専門家の問診や独自のチェック項目を加えたものです。
そのチェック項目の中でもちょっと新鮮なのが、「両手のコピーを取り、薬指と人さし指の長さを比較する」チェック方法。これは示指環指比(じしかんしひ)と呼ばれている検査法です。
単純に手のひら側で五指を並べて比較する、というのでも構いませんが、正式な測定方法は、手の甲側を用いて、指を90度に曲げたときの指先から基節骨の突起までの長さを測定する方法が採用されています。
2D:4D比とも言われますが、所定の手の人さし指の長さを、その手の薬指の長さで割ることで求められます。特に右手に顕著に特徴が出やすいとのこと。
この場合、テストステロン値が高く、
【身体的・競争的行動】
スポーツでの攻撃的行動の増加/大相撲力士の番付と幕内生涯勝率の上昇/握力がより強い傾向(男性)
【認知・人格:攻撃性】
顔の知覚的支配性・男性性(男性)/感情移入の減少/高リスクな行動の増加(男性)/規範的行動の志向
などの特徴と相関関係にあるのです。
2017年9月にはスイスの学術誌に、出生前に胎内で浴びる男性ホルモンが多いほど女性の月経前症状が重くなる可能性があるという説が発表されました。
この指標としても使われるのが、性ホルモン量の推定に使われる示指環指比。右手の薬指が人さし指に比べて長いほど、諸症状が重くなる傾向が見られたそうです。
従来の研究で、「男性ホルモンを出生前に多く浴びると、人さし指に比べて薬指が長くなる」という傾向がわかっており、今回の研究でも「出生前に男性ホルモンを多く浴びると月経前症状が重くなる」という可能性が示されたわけです。
男女問わずに、男性ホルモン量を推し量るのに有効な指の長さ。いますぐ右手の人さし指と薬指の長さをチェックしてみましょう。
テストステロン減少を抑える5カ条
できるだけテストステロン量が低下していくスピードをゆるめる「減少緩和作戦」を発動しましょう。以下が「テストステロン減少を抑える5カ条」です。
1.暴飲暴食を防ぎ、カギとなる食材を積極的に取り入れよう
テストステロンを生成分泌している精巣は、活性酸素による酸化の影響を受けやすいデリケートな部位。ストレス、紫外線、タバコ、過度な運動などで発生した活性酸素が精巣の機能低下を促してしまうことが知られています。
ビタミンA、C、E、各種ポリフェノールを含む抗酸化食材を摂取し、精巣をダメージから守りたいもの。
毛髪の亜鉛濃度が高い男性はテストステロンの活性度が高いことがわかっています。因果関係はまだ明らかになっていませんが、亜鉛が精巣の機能をサポートしているのではないかと言われています。
亜鉛を必要量摂取しておくに越したことはないわけです。おススメは貝類で、特に牡蠣は2粒で1日の亜鉛必要量がまかなえますよ!
2.承認欲求を満たしてあげよう
テストステロンの別名は「勝利のホルモン」。社会的に成功したり、賭け事に勝ったり、欲しいものを手に入れたり、新しいことに意欲的に取り組んだりするときには脳幹からドーパミンという神経伝達物質が分泌されますが、その分泌を促すのがテストステロン。
勝つばかりでなく褒められることでもテストステロン値は簡単にアップします。もしかすると、だからこそ人はみな褒められること認められることに快感を覚えるのかもしれませんね。仕事仲間や生活のパートナーと積極的にお互いを褒め合うようにしましょう。
3.睡眠不足と徹夜はやめよう
睡眠はテストステロンの維持に大きく影響します。7時間睡眠に比べて4〜5時間睡眠ではテストステロン値が如実に低下。アメリカ医学協会では睡眠不足が1週間続くと、テストステロン値が最大15%低下することが報告されています。
睡眠不足による活性酸素の発生が精巣に与える影響も大きいようです。最低でも6時間の睡眠時間は確保しましょう。
もちろん「運動」も大事!
運動がテストステロンの分泌を促すことは古くから知られていますが、どんな運動でもそうした作用が期待できるかと言えばNO!
有酸素運動の場合、テストステロン値は上昇するものの、運動中にピークを迎え、運動後には平常時のレベルに落ち着きます。いまのところ、テストステロンのベースラインを引き上げるかどうかはわかっていないのです。
長くても1時間程度の適度なレベルであれば、テストステロンは増えます。ただし有酸素運動の強度や総量が多すぎると、かえってテストステロン値は低下することがわかっています。ジョギングやランニングはほどほどに楽しみましょう。
5.戦略的な筋トレを定期的に行おう
5カ条の中でもっとも優秀なのが、筋力トレーニング。筋トレは有酸素運動と違って、運動後も上昇したテストステロン値を比較的長くキープできることがわかっています。負荷とインターバルの調節をして戦略的に実施していきましょう!