2021.12.27
名物社長がこっそり愛用するバッグとお財布【トレメッツォ・小林 裕編】
誰もが日常的に使用しているバッグと財布。ビジネスを作り出しリードしていく立場の社長は、一体どんなバッグと財布を愛用しているのでしょう。本誌にも縁の深いこだわり派のエグゼクティブに、思い入れある逸品をユニークなエピソードとともにご紹介いただきました。
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写真/干田哲平 文/石井俊昭 構成/長谷川 剛(TRS)
軽やかな生き方を反映した確かな審美眼
財布がかさばるのがとにかくイヤ
「この札入れは、見た目のコンパクトさからは想像できないほど大容量の紙幣が収まるんです。取り外しできるリフィルが付いておりカードをまとめて入れることができるので、収納力の小さいクラッチを持つときに、これだけ単品で使うこともあります。名刺カード入れも、同じシリーズで作りました」
このシリーズは、“葉合せ”というステッチを施さずに包丁と接着剤だけで組み上げたT・MBHのオリジナル製法によるもの。ステッチがないため、糸のほつれがなく、革に穴も開けないので薄手でありながら強度があるといいます。
「毎年、年初に自分用とは別に、たくさん購入して財布の中に入れておくんですよ。ほら、イタリア人ってお守りが好きでしょ? イタリアから取引先の関係者が来日したときにプレゼントすると、とても喜んでもらえるので(笑)」
9つのバッグが年間を通したレギュラー
「ここにあるものを年中使い回しています。バッグ選びの条件は、まず長財布が入る大きさであること。後は家のカギとクルマのカギ、名刺カード入れとiPhone、手帳、万年筆が入れば十分かな。でも、さらに身軽でいたいときは、先ほど紹介したT・MBHの札入れをジャケットの内ポケットに入れて、小さいほうのクラッチを持ちます」
大きいサイズは、セリーヌ、ベルルッティ、エルメスなどのラグジュアリーブランドのもの。それらに加え、毎年幕張メッセで開催されているヘリテージカーの祭典「オートモビルカウンシル」のオリジナルグッズも所有する。大のクルマ好きであり、数々のクラシックカーレースへの出場経験もある小林さんは、このイベントに対し開催初年度の2016年から5年間、トレメッツォとして協賛した経緯もあり、思い出深い品だと言います。
自分に合わせて使い方をアレンジ
「フェンディのクラッチは、内部が3層構造になっておりカードホルダーも豊富。財布のように使い勝手が良いので重宝しています。外側にハンドルが付いており、持ちやすいのも良いですね。セリーヌのほうは3つのポーチをスナップボタン留めしたタイプ。荷物の量に応じ、今日はひとつだけで行こうとか、ふたつあれば十分、といったように切り離して使えるのは、男性向けのクラッチではなかなか見ないアイデアです」
「財布のほうはパスポートも入るサイズなので海外旅行のときにも便利です。空港ではそんなに大きな荷物を持っていたくないので、必要なものだけ入れて動けるようにしたいじゃないですか。手帳カバーのほうは、実は手帳カバーだと思わないで購入したもの(笑)。でも、ペンホルダーやiPhoneが入るマチ付きポケットもあるし、これに紙幣と名刺、カードを数枚入れておけば事足りるという日もあるんです」
「ただ、バッグが小さいと、置き忘れることもよくあって……。それだけは日ごろから気をつけています(苦笑)」
● 小林 裕 (トレメッツォ/PT-ジャパン 代表取締役)
1956年東京生まれ。幼少期から祖父、母親の影響で、自動車やファッションなどに触れて育つ。大学生時代に「テイジンメンズショップ」でアルバイトを始め、卒業後には「アルファキュービック」入社。31歳で事業部長となり、41歳で退社。その後、マーロとの契約での営業職などを経て、2005年にファッション専門の輸入商社「トレメッツォ」を設立。PT01、タリアトーレなど、独自の審美眼でさまざまなイタリアブランドを日本に紹介し、流行させた仕掛け人。