2018.10.11
その価値100億!? トヨタとソフトバンクが投資する「多眼カメラ」とは?
多眼カメラ「L16」を製造するスタートアップ企業Light社に100億円超の出資をしたソフトバンク。同社はトヨタと共同で会社を設立するなど、次世代への取り組みを加速させています。そんなIoTの世界で「多眼カメラ」が果たす役割とはどのようなものなのでしょうか。
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文/平井敦貴

グローバル企業が見据える未来とは
AIと自動運転によるモビリティ社会はすぐそこまで来ている
一方ソフトバンクは通信事業を核にしながらも、ここ数年「IoT」や「AI」への積極的な投資を行ってきています。例えば、スマートフォン向けCPUを扱う英国アーム社の買収のほか、自動車産業との関わりで言えば、配車サービスを行う米国ウーバー社への出資などが挙げられるでしょう。

複眼カメラを製造する「Light」 とは?

AIの『眼』となる多眼カメラ
Light社の「L16」を例に取っても、16個それぞれのレンズから得た画像情報を解析・合成することで、後からピントを変えたり、明るさの変更や画角の調節ができたりと、これまでの写真の概念を覆すことが可能となっています。
また、身近なところでは一部のスマートフォンでも「多眼カメラ」は搭載され始めています。先日発売されたファーウェイ「nova3」では全面・背面にそれぞれ2つずつのカメラが搭載され、撮影と同時にAIによる解析も行われる仕様となっています。
将来、日本中のクルマに多眼カメラが設置され、AIで管理されるようになったらーー小説『1984』で描かれた「ビッグ・ブラザー」のような監視社会が、着々と現実に向かってきているのかもしれません。
あらゆるデバイスが多眼カメラを搭載
まず、スマートフォンに搭載されるのは既定路線だと考えられます。そうなると、一般的なデジカメも追従するように多眼化に向かうでしょう。となれば、写真や映像コンテンツも3D化せざるを得なくなり、もしかすると「3Dテレビ」の復権があるかもしれません。
ほかにも、ドライブレコーダーや防犯カメラに使用され、事故や犯罪の軽減、犯人の検挙に寄与していくことは想像に難くありません。
ビジネスユースでは、工場での検品作業なども多眼カメラが行うかもしれませんし、オフィスでのビデオ会議は3Dの立体映像で行われる…ということが実現するかもしれません。
いずれにしても、「カメラ」は今後、単体ではなくAIと結びついたデバイスとなるのはほぼ間違いありません。
ストリーミング音楽が主流となった今、かつてアナログレコードで音楽を聴いていた時代を懐かしく感じるように、一眼レフで写真を撮っていた時代を懐かしむ未来が、刻一刻と近づいているのです。
