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2019.02.12

日本人が長期滞在したい国No.1、マレーシアが支持されるワケ【vol.16】

シンガポールを拠点にアジアを巡るエンジェル投資家、加藤順彦ポールさん。この10年、東南アジアを中心に周る中で得た、投資の知識や処世術、そして関わるひととの熱いドラマを展開します。

CREDIT :

文/加藤順彦

日本人に支持されるマレーシアとは?

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2013年6月、参画先であるゴマブックスの嬉野さんと共にシンガポールとマレーシアとの国境の都市ジョホールバルを視察。その際に、現地を詳しく説明しながら案内してもらった藤村正憲さんに、その御縁から『さあ、あなたも「世界一住みたい国」で幸せに暮らす計画を立ててみよう!』というマレーシア移住生活本をゴマブックスにて執筆(2014年5月刊)してもらうことになりました。

そう! マレーシアって、実は多くの調査から、移住したい国に挙がるほど人気のある国なのです。東南アジアで長く暮らす僕にとって、ナニがそんなに日本人の心を掴んでいるのか、と考えるに一番の理由は「穏やかさ」ではないかと。中国の人より、シンガポールの人よりものんびりしているというか。怒らないし。日本人が長期居住したい国ランキングで12年続けて1位になってること(ロングステイ財団の調査結果) と繋がっていると感じます。日本人には合ってると思いますよ、雰囲気や空気が。
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マレーシアで不動産業に参画!!

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因果から僕は同書の前書きを書かせてもらったわけなのですが、その仕事も相まってマレーシアそしてジョホールバル、「イスカンダル計画」について深く学び、高い関心を持っていました。その後、藤村さんが仕事を辞しオランダへ移り住むのと入れ替わる格好で、翌2015年5月にマレーシアのMM2H(長期滞在)ビザを取得し、8月からはジョホールバルにて居宅も借りることになったのです。

僕は、藤村さんが社長を務めていた不動産サービス会社の後継マネージャーだった足利俊樹さんに、同社をオーナーからMBO(マネジメントバイアウト)にて買い取るべきだ、と仕向けました。とんとん拍子でMBO交渉は進み、やがて成立。2016年4月から社名変更にて「IKI LINKS Sdn.Bhd.」を名乗ることになったのです。その資本と経営に僕も参画することとなりました。

MM2Hってのは被雇用者=給料取りにはなれないんですが、起業開業はできる、というビザ。マレーシアの法人の取締役にもなれる、役員報酬もとれるというものだったので、それなら一丁やってみるか!と。
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不動産ビジネスで雇用創造

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こちらは実際にIKILINKS社が管理を受託しているジョホールバルの邸宅のひとつ。プール付きで一棟約30万円/月で滞在可能。東京やシンガポールでは味わえない生活が実現しています。
リブートしたこの会社に僕が参加した目的は、ジョホールバルに雇用創出してくれる日本人や日系企業を招くこと。この地に陣構えを促進することです。なんせここは外国人には生活費が際立って高いシンガポールのすぐ隣。比して住居費は1/4、食費は1/2。そして途方もない予算を掛けて進行しているマレーシアとシンガポールによる合弁都市開発「イスカンダル計画」の尻馬に日本の商いを乗せたい、と思ったのです。

いまのジョホールバルの最大の問題は“仕事がまだまだ足りない”ことです。仕事があれば、働きたい人は寄ってきますからね。その点でシンガポールって本当によくできた仕組みの国だな、と時折、感心し直します。

シンガポールは、外国人を対象に、生まれ祖国よりレベルも待遇も良い、自尊心も満たせる仕事を広くたくさん集めたことで、世界の優秀な人財を募ることに成功しています。ビザを得ることがステイタスみたいな。いかにシンガポール国民に雇用の創造を誘致できているか、が鍵になっています。

IKI LINKSのメイン事業はジョホールバルのコンドミニアムの販売と賃貸斡旋、物件管理。現在は260戸の運用をオーナーから受託しています。周辺サービスとしてビジネスサポートサービス(企業の進出支援など)と生活サポートサービス(MM2Hビザの申請支援等)を展開中。これらのサービスのクオリティの基準となるのが、ジョホールバルに日本人が安心して暮らせる環境づくりを推進する、という志し=「LITTLE JAPAN構想」です。僕はジョホールバルでの暮らしぶりと実体験、教育観境を、同社開催のセミナーやSNSなどでアピールしてきました。  

ただ、今のところのこの地は立ち並び続けるコンドミニアム建設により烈しく供給過剰で相場も下がっているので、2011年前後に起こった不動産投資ブームの頃の相場には戻ってはおらず、賃貸も明らかに「借り手」有利の状況が続いています。

しかし人口は当初計画に沿って増えています。ジョホールバル市の人口はここ8年で150万人→200万人に増加。イスカンダル計画の開発のペースは落ちてはいません。IKI LINKSでは主に日本人のオーナーから管理委託を請けていますが、賃貸付けやAirB&B運用受託での、ここ2年の空室率は物件によっては10%を下回る成績を残しています。ぶっちゃけ、現在物件が足りないので、このコラムをご覧になった方で、ジョホールバルにマンションを所有のかたはIKI LINKSにご連絡いただきたいほどです。  

さらに使いやすく住みやすく進化したマレーシア

僕は2017年夏まで1年10か月をマレーシアで暮らし、シンガポールに舞い戻りましたが、いまは2~3ヶ月に1度は通っています。2014年初頭からの4年で見違えるほど大きく変化したな、と感じるのが

・ モールや総合スーパーが次々と開業。さらにファミリーマートまで続々開業し、なんでも手に入るようになった

・ライドシェアサービスGrabが瞬く間に普及。自家用車がなくても不自由なく暮らせるようになった

・ 中国人、韓国人、日本人の移住者が増えてきていると実感できる

IKI LINKSの企業活動による成果はまだまだですが、なんにせよジョホールバルに暮らす日本人の生活レベルはより快適に便利に安全に向上していってるのは喜ばしい限りです。

今後10年、東南アジアはこの20年超続いた未曽有の経済成長の余波、慣性利益を生み続けます。中間富裕層が最も増え、消費者の生活品質はますます向上するでしょう。面白いのはまだまだこれからです。日本の多くの価値創造企業は、東南アジアで爆発する域内内需を取り込みに行く必要があります。これからでも遅くありません。そのためにマレーシアに、とりわけ東南アジアの経済の中心であるシンガポールの隣街、ジョホールバルに出てきてほしいのです。
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● 加藤順彦ポール(事業家・LENSMODE PTE LTD)

ASEANで日本人の起業する事業に資本と経営の両面から参画するハンズオン型エンジェルを得意とする事業家。1967年生まれ。大阪府豊中市出身。関西学院大学在学中に株式会社リョーマの設立に参画。1992年、有限会社日広(現GMO NIKKO株式会社)を創業。2008年、NIKKOのGMOグループ傘下入りに伴い退任しシンガポールへ移住。2010年、シンガポール永住権取得。主な参画先にKAMARQ、AGRIBUDDY、ビットバンク、VoiStock等。近著『若者よ、アジアのウミガメとなれ 講演録』(ゴマブックス)。

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