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2022.01.31

【vol.15】江戸前鮨/後編

大人の男が鮨屋で粋に食べるために覚えておきたいこと

いい大人になってお付き合いの幅も広がると、意外と和の素養が試される機会が多くなるものです。モテる男には和のたしなみも大切だと、最近ひしひし感じることが多いという小誌・石井編集長(寅年48歳)が、最高峰の和文化体験を提供する「和塾」田中康嗣代表のもと、モテる旦那を目指す連載。今回のテーマは「江戸前鮨」。その後編をお送りします。

CREDIT :

写真/トヨダリョウ、米山理功(動画) 文/井上真規子 取材協力/ダイナースクラブ(運営会社:三井住友トラストクラブ)

今回のテーマは、江戸前鮨の楽しみ方。カウンターを介して鮨職人と向かい合う鮨屋での振る舞いは、職人からも、居並ぶ食通からも想像以上に見られています。一流のオヤジなら、鮨屋での作法は最低限クリアしておくべき!  とはいえ、正しいルールを知る機会は意外と少ないもの。そこで料理評論家で、江戸前鮨に造詣の深い山本益博さんに、粋な食べ方について伝授していただくことに。

舞台は、いま東京で屈指の名店と評判の銀座「青空(はるたか)」さん。前編(こちら)では鮨を食べる前に知っておきたい江戸前鮨のルーツや食べ手の作法について教えていただきました。後編ではいよいよ高橋青空さんの握る江戸前鮨を実際に食べてみることに……。

いよいよ握りを実食!  箸で食べる?  手で食べる?

▲ 「青空」の親方、高橋青空さん。
高橋 そろそろ握りをお出ししますね。

山本 よろしくお願いします。握りは手でつまむか、箸で食べるか迷う人が多いと思いますが、どちらでもいいと思います。ただし、どっちも結構難しい。手でつまむなら、親方が握りをどういう手つきでカウンターに出すかを見て、真似するのがいいんです。握りの扱いを知り尽くしていますからね。

石井 どちらでもいいんですね。出し方は職人によって、違ったりするものですか?

山本 ほとんど同じ手つきで握りを出しますね。
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高橋 では、烏賊から。

山本 握りを出すのを見ていてください。人差し指を抜いて、親指と中指、薬指でつまんでいますね。

田中 じゃあ編集長から、やってもらいましょうか。

石井 テストじゃないですか(笑)。 
山本 いいですね、つかみ方は問題ないですよ。

石井 あ、よかった。すごく美味しい!

山本 酢がキリッとたってますね。これだけの酢飯はなかなかないです。酢が効いていて酸味がちゃんとあるから、このあとガリに行く必要がないんです。とっても美味しい!

田中 ずっと噛んでいたいぐらい美味しい。

高橋 次は、まぐろです。
山本 ちなみに握りを横から見ると流線型になっています。昔から地紙の形(扇子を広げた時の紙の形)になるように握るって言うのが、江戸前の職人が目指していた形なんです。
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田中 じゃあ編集長、次はお箸で食べてみてください!

山本 実はお箸の方が難しいんです。手はまだ感覚があるから、意外とつまみやすい。
石井 ものすごく緊張するんですが(笑)。

恐る恐る握りを口に運ぶ

山本 60点ぐらいかな? もっと浅く、鮨に対して平行に箸を入れるといいですね。こうすると酢飯が崩れません。それと親方が握っているなと思ったら、お箸を準備しておくぐらいにすると、握りたてを食べられますよ。
高橋 箸を斜めにして取ると崩れやすいですね。そういう方は、こちらが少し強めに握らないとダメなんです。

田中 そう、客によって握り方を変えている。

山本 ね、やっぱり食べ方を見られているんです(笑)。

【ポイント】

■鮨は手でつまんでも箸で食べてもどちらでもよい
■手でつまむ場合は、人差し指を抜いて親指と中指、薬指でつまむ
■親方が鮨を出す時のつまみ方をお手本にする
■箸で食べる場合は、鮨に対して平行に箸で挟むと掴みやすい

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江戸前鮨の握りは、江戸の美意識である「小粋」が恐縮されている

石井 ところで益博さんは、お箸でお食べになるんですね。

山本 僕は40年近く前から「すきやばし次郎」に通っていますが、ガイドブックを出すというのに、昔はお金がなくて、鮨屋をはしごして少量ずつ食べたりしていました。一軒目で6つ食べ、「すきやばし次郎」でも同じ種類を6つ食べる。それで値段やクオリティを比べていたんです。ある時、2軒目に「すきやばし次郎」で食べたら手が生臭くて、前のお店のお魚が匂ったんだと思って。それから箸で食べるようになりました。

高橋 どんなにいい魚でも、時間が経つと脂が酸化して臭くなるんです。だから握る方も手をよく洗わないと臭いが別の魚に移ってしまう。次は、中トロをどうぞ。
石井 う〜ん、美味しい!

田中 食べる方は、おしぼりでしっかり手を拭くことですよね。「すきやばし次郎」のおしぼりはすごく熱くて手についた脂も全部飛ばしてくれる感じがします。

石井 そうなんですね。
山本 中トロ、温度もいいですね。お刺身で食べるより、断然美味しい。派手な握り方をする職人もいるんだけど、ハルさんは手数をできるだけ少なくして、到達地点までハイスピードでたどり着く。

田中 シャリは握る時点で、形はできているんですよね?

高橋 魚を乗せる前から形はほとんどできていて、魚を乗せてからまたシャリをほぐします。

田中 タネをのせた後は、握ってるんじゃなくて、ほぐしている。そこが握りの重要なポイントです。
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石井 口に入れた瞬間に、シャリがぱらっとほどける感じがします。

山本 次は、こはだ。こはだは、江戸前で一番大切な寿司タネのひとつです。

石井 美味しい!!
山本 こはだを美味しいって言う人は、本当にお鮨が好きな人だと思います。こはだって、実は東京発祥のひかりものなんです。

高橋 今は全国で使われていますが、以前は東京だけでしたね。

山本 昔、西の方でひかりものといったら、鯖が主流でした。江戸では、文化・文政の時代に握り鮨が誕生しましたが、こはだは同時期に華屋與兵衛という人が酢締めすることを考案したと言われています。それから江戸では、鯖に匹敵するひかりものとしてこはだが人気になったんですね。
高橋 こはだは、酢で締めるほかはどう調理しても美味しくないですしね。

山本 江戸の美意識は、「粋」よりも「小粋」。大雑把、大ぶり、大袈裟が大嫌いで、なんでもミニチュアにする技術に優れていました。こはだも、一匹で締められる小さな魚として好まれたんです。

石井 なるほど。それは面白い。
高橋 あなごです。

山本 ここのあなごは、本当に素晴らしいです。何これ!?って思いますよ。
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石井 なんでしょう!?  この口に入ってないぐらいのフワフワ感は。

山本 よく形が崩れないな、って思うぐらいの柔らかさですよね。握りを持ち上げるだけで大変。あと、ツメが美味しいと思いません?

田中 煮キリと煮ツメはとても大切ですよね。ここにも職人のワザが詰まっている。飛び切り美味いツメが出てきたら、飯にツメだけ塗ってもらって食べることがありますよ(笑)。
石井 それにしても、こんなにフワフワのとろけるものをよく握れますね!

高橋 大変です(笑)。

山本 握る前のあなごを見せてください。今にも崩れそうですよ。相当熟練じゃないと握れないです。
高橋 つゆからあげた瞬間崩れてしまうので、つゆの中で作業するんです。取り出す時は、しゃもじを使ってスッと取ります。

「おいしい」と反応することがとても大切

田中 益博さんは「お茶が美味しかったよ」とか、必ず声に出して反応しますよね。そういうことが、とても大事だと。

山本 今は反応をするお客さんが少ないですよね。だからこそ、職人の方に「100人に1人ぐらいは、こだわったお茶をちゃんとわかってくれるお客さんがいるんだ」って思って欲しい。だってそう思うのと思わないのでは全然違いますからね。カウンターは、すぐに反応できて、職人もそれを受け取れる空間ですから。

石井 やっぱり反応がある方が作り手としては絶対にうれしいし、やりがいがありますよね。
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山本 そうですね。それから鮨屋は、握っている人に気に入られないと美味しいお鮨は出てこないと僕は思います。3回ぐらい通って、お互い様子や好みがわかってからが本番ですよ。

高橋 僕は、初回でもなるべくいいところを出しますよ!(笑)

一同 笑

山本 じゃあ、海苔巻きをお願いします。海苔巻きは、簡単に見えるかもしれないけど、結構難しいです。握りが格好良くても、海苔巻きがうまく巻けない職人さんは意外と多い。昔から「海苔巻きは、ぼんやりかっちり巻け」って言うんですね。
田中 干瓢(かんぴょう)巻きは片方から吹いたら、中の干瓢が飛んでいくぐらい柔らかく巻け、などと言いますね。

ここで海苔巻き登場

石井 綺麗ですね〜、いただきます!

山本 まずは海苔の香りを感じてくださいね。

高橋 干瓢は、今ちょうど新物の時期で柔らかいと思います。

石井 本当だ。柔らかい!

山本 そして最後は、卵焼きですね。
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石井 もはやデザートですね…。

山本 ここ10年、鮨で一番変化したのが卵焼きですよね。

高橋 昔は握っていましたからね。

山本 食べるのは一瞬ですが、焼くのに1時間ぐらいかかっているはずです。とろ火でじわじわ熱を入れる繊細な作業。
石井 そういう職人さんのこだわりを知って食べるのと、そうでないのでは、美味しさも違ってきますね。今日お話を伺って、食べ方の作法を知っていることや、お店の方との物言わぬコミュニケーションができることで、お鮨をカッコよく楽しめるようになるんだなと思いました。

山本 鮨屋では、格好つけると格好良くないんですよ。相手はプロですから、こちらのことはなんでもお見通し。それに、今日の僕みたいに目の前で色々言ったら、握るの嫌になっちゃうからね(笑)。

高橋 少々やりづらいですね(笑)。
山本 色々わかっているんだけど、さり気なく食べて帰るっていうのが粋だと思います。そういうお客さんが増えたらいいですよね。

田中 鮨屋で長居は粋じゃないですね。

石井 女性と食べに来ても、綺麗に食べられる男性って素敵ですよね。さり気なく教えてあげてもいいし。本当にありがとうございました!

【ポイント】

■カウンターでは客は職人さんとコミュニケーションすべし。美味しければ「美味しい」と反応することが大切!
■鮨屋では格好つけないこと。職人さんはプロ。知ったかぶるのはよそう
■作法を知った上で、さり気なく食べてさっと帰るのが粋。長居はしない

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青空(はるたか)

住所/東京都中央区銀座 8-3-1 銀座時傳ビル6F
営業時間/17-24時
定休日/日・祝
TEL/03-3573-1144

● 山本益博(やまもと・ますひろ)

1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique

● 田中康嗣(たなか・こうじ)

「和塾」代表理事。大手広告代理店のコピーライターとして、数々の広告やブランディングに携わった後、和の魅力に目覚め、2004年にNPO法人「和塾」を設立。日本の伝統文化や芸術の発展的継承に寄与する様々な事業を行う。

和塾

豊穣で洗練された日本文化の中から、選りすぐりの最高峰の和文化体験を提供するのが和塾です。人間国宝など最高峰の講師陣を迎えた多様なお稽古を開催、また京都での国宝見学や四国での歌舞伎観劇などの塾生ツアー等、様々な催事を会員限定で実施しています。和塾でのブランド体験は、いかなるジャンルであれ、その位置づけは、常に「正統・本流・本格・本物」であり、そのレベルは、「高級で特別で一流」の存在。常に貴重で他に類のない得難い体験を提供します。

■和塾
HP/http://www.wajuku.jp/
■和塾が取り組む支援事業はこちら
HP/https://www.wajuku.jp/日本の芸術文化を支える社会貢献活動

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