2019.09.28
自律神経の乱れを改善して仕事のパフォーマンスをぐっと高める方法とは?
ストレスや生活習慣の乱れなどさまざまな原因で現代人の9割は自律神経が乱れているとか。これが身体の不調を招き仕事のパフォーマンスを低下させることも多いようです。そこで自律神経の乱れを改善する方法をお教えします。
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文/飯田帆乃香 写真/椙本裕子 イラスト/Chiharu Nikaido
現代人の9割は自律神経が乱れている
確かに、頭痛や肩こりの不快感、日中の倦怠感がなければ、集中力は増して仕事のクオリティも上がるはず。では、そもそも自律神経はどんな働きをしているのでしょうか。
「自律神経は、交感神経(興奮モード)と副交感神経(鎮静モード)の2つに分かれていて、シーソーのようにバランスを保っています。基本的に、起きているときは交感神経が優位になり、寝ている時は副交感神経が優位になりますが、自律神経が乱れるとこのシーソーの動きが崩れてしまいます。
他にも自律神経は、血圧や体温、胃腸の消化活動などを適宜自動調整してくれているのだそう。そんな、私たちの体を健全な状態にコントロールしてくれる自律神経はいったいなぜ乱れるのか。その大きな要因はストレスだといいます。
「特にLEON読者層は管理職の立場も多く、精神的なストレスは多大なもの。さらに、パソコン・スマホの長時間使用、残業や運動不足などの身体的ストレス、さらに最近は異常気象による気圧差・寒暖差などの環境的ストレスも多く、現代人の9割は自律神経が乱れていると言っても過言ではありません」
自律神経の乱れは骨格の歪みが影響している
そして、自律神経の乱れは、実はストレス以外にも、骨格の歪みが大きく影響していると久手堅先生は言います。
「自律神経は脳から脊髄を通って全身に伝わっています。脊髄は背骨の中にあるため、骨格に歪みがあると、その神経に負担がかかってしまうのは当然のこと。例えば、デスクワークで猫背のまま長時間座っていたり、スマホを見てずっと下を向いたりしていると、頭部が安定した位置より前に出た状態に。いわゆるストレートネックです。頭の重さは体重の8~10%あるので、頭を支えている首や肩に余計な負荷がかかる。すると脊髄は圧迫され、自律神経は乱れていきます」
要するに、骨格のゆがみを矯正していくことで自律神経はある程度整い、それだけでも体調はかなり変わってくるのです。そこで、まずは、自分の骨格の歪みをチェックしてみましょう。
●セルフチェック1
立ち姿勢で「縦の軸」と「横の軸」をチェック
●セルフチェック2
壁を使って「反り腰」か「猫背」かチェック
①目線を正面にして後頭部が壁につく。
②壁と腰の間に指1本分の隙間ができる。
この2つをクリアしていれば、バランスのとれた立ち姿勢。②で拳が入るくらいの隙間ができていると反り腰、指1本も入らないのは猫背と言えます。
●セルフチェック3
椅子に座った姿勢をチェック
理想の座り方のチェックポイント
1.視線はまっすぐ前に向けられているか
2.頭や顎が突き出ていないか
3.足関節・膝関節が地面に90度の角度に近いか
4.骨盤が前や後ろに倒れて、猫背や反り腰になっていないか
5.足が開きすぎていなか
6.つま先が外を向いたり内側を向いたりしすぎていないか
デスクに肘を置いて、犬が伏せをしているような姿勢をとっている人は反り腰になっています。背中が丸まり、背もたれに重心がかかっていると猫背に。
骨格の乱れを直して自律神経を整える3つのテクニックとは?
「1回10~30秒程度でできる簡単なメソッドです。まずは3つだけ覚えてください。頑張ろうとせず、自分に合うものを1日に何回か行えば、徐々に改善していくのが実感できるでしょう」
1.その場で12秒呼吸
【胸式呼吸】
胸下に手を添える。肋骨が上がるのを感じながら、3秒ほどかけて鼻から軽く息を吸う。そのまま3秒ほど息を止めたら、肋骨を下げるように6秒ほどかけて口から「フゥー」と吐く。
【腹式呼吸】
お腹に手を添える。お腹が膨らむのを感じながら、3秒ほどかけて鼻から軽く息を吸う。そのまま3秒ほど息を止めたら、お腹と背中がくっつくイメージで6秒ほどかけて口から「フゥー」と吐く。
2.その場で首伸ばし
ハンドタオルの両端を持ち、後頭部から耳の下に当てる。目線を斜め上に向けたら、タオルも同じ方向へ引っ張る。首は後ろに重心をかけ、タオルと押し合うようにして30秒キープ。次は首とタオルを斜め下へ。この時も、首がタオルの負荷に逆らうように斜め上に力を入れ、30秒キープ。
3.その場で耳伸ばし
耳たぶの少し上をつまんで水平に引っ張り、5~10秒キープ。つまむ箇所や引っ張る方向を変えたり、両耳を前後に大きく回したりするとより効果的です。
賢い自分マネジメントのための3つのポイントとは?
「あまりにも余裕のない状態を続けていると、自律神経の乱れをはじめ、あらゆる体の不調が表れてきます。すると当然、仕事もうまくいかなくなってしまいますよね。ビジネスパーソンは、心身の健康も含め、自分自身をマネジメントすることが必要です」
そのためには以下の3つのポイントに留意して欲しいといいます。
1.自分の状態を俯瞰でとらえる
「例えば、就寝時にちゃんと寝られて、朝はすっきり起きられているか。寝つきが悪かったり日中に眠気が襲ってくる人は、自律神経のスイッチがうまく切り替わっていない可能性が。また、残業時間や飲酒量(二日酔いが月4回以上ある人は要注意)などを定量評価してみてください」
2.オンとオフの切り替えがうまくできる
「そういう方は、自律神経の交感神経(興奮モード)と副交感神経(鎮静モード)をスムーズに切り替えられている証拠。もし日常で交感神経に偏りすぎていると感じたら、副交感神経のスイッチを押す。逆もしかり、そうやってうまく自律神経を調整できるようになると、表情にも余裕が生まれて周りの評価が自然と変わってくるでしょう」
3.100%を目指さない
「自律神経を完璧にコントロールしようとせず、1つでもいいので骨格メソッドを実行することから始めてみてください。60~70%くらいの改善でも、十分パフォーマンスは高くなるはずです」
忙しさの中にも、ちょっと自分に意識を向けて現状を把握してみる。そして、呼吸や骨格メソッドを上手に取り入れて、ある程度ゆとりをもちながら自律神経をコントロールできるようになれば、アナタの仕事もプライベートも、きっとよい方向に進んでいきますよ!
● 久手堅 司(くでけん・つかさ)
せたがや内科・神経内科クリニック院長。医学博士。「自律神経失調症外来」「頭痛外来」「肩こり・首こり外来」などの特殊外来を立ち上げ、病名がはっきりと診断されない体調不良の改善に取り組む。他にも、現代の異常気象による寒暖差疲労や気象病について見識を深め、多数のメディアで紹介している。著書『最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方』(クロスメディア・パブリッシング)では、ビジネスパーソンにとっての自律神経の重要性をわかりやすく解説。
「最高のパフォーマンスを引き出す自律神経の整え方」
「骨格の乱れ」は、自律神経の乱れに大きく関係するのです。本書では、「自律神経失調症外来」「気象病・天気病外来」「頭痛外来」などの専門外来にて 、実際に「骨格」から不調を整えてきた脳神経内科医の指導法をお伝えします。誰でも気楽に取り組める"1日1分からのメソッド"を、豊富なイラスト+動画でわかりやすく解説。ぜひ本書を実践し、"最高の1日の始まりと、パフォーマンスを120%発揮できる状態の心地よさ"を体感してください。クロスメディア・パブリッシング刊。本体1480円+税