2022.03.27
【第58回】
「私のことを好きな男を好きになれない」美女が好きになる男とは?
美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか? 「ワイングラスのむこう側」(cakes)で人気の林伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。
- CREDIT :
取材/林 伸次 写真・構成/木村千鶴
テーマは今どきの美女たちの”悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。
第59回のゲストは、美紀さん(35)です。
好きって言われると急にダサく感じちゃうんです
「はい、よろしくお願いします。あのこれって、恋愛の話をするんですよね。私の話で大丈夫かな」
── そうですが、何か心配ですか。
「う〜ん、私、私のことを好きな男性のことが好きじゃないんですよ(笑)」
── えっ! 早速豪速球ですが、それはなんというか……なかなか幸せになれないような気がするんですが(笑)。
── ではその辺のことも色々お聞かせください。本題に入る前に、なんとお呼びしましょうか。いつも似ている有名人の名前を借りてここでのニックネームにしているんですが。
「あまり誰かに似てるって言われないんですよ」
── あ、目元が中谷美紀さんに似てるかな。今日は美紀さんと呼ばせていただきますね。美紀さんはなんで自分に好意を持っている人のことを好きになれないんですか。
「たぶん片想いが好きなんじゃないかなあ。好きって言われると急にダサく感じちゃうんです」
7年くらい決まった彼氏はいないです
「そうかもしれません。あとは、私のことを深く知っているわけじゃないでしょう? って気持ちがあるのかも」
── お付き合いする男性とは長続きしますか。
「初体験だった人とは、高校を卒業して、東京に出てきてからも付き合ってましたね。3年近く続いたんじゃないでしょうか」
── どんな人でしたか。
「気が合うというか、とても優しい人でした。でも喧嘩することも多かったかな。私、ブチ切れて、しょっちゅう別れるとか言い出すタイプの女子だったんです(笑)。それで最後にブチ切れちゃった時、もう本当に別れたと思って、彼が他の女の子と付き合い出してしまったので、関係が終わりました」
「う〜ん、私、ちゃんとした彼氏って全然いないんじゃないかなあ」
── 同時進行とかセフレとかが多くなるってことですか?
「そうですね、誰もいない、ゼロの状態はないんですけど、7年くらい決まった彼氏はいないかも」
── 美紀さんは、向こうから好きになられるとなんか嫌になる、自分の方から好きになりたいってことなんですかね。好きな人ができた時は、自分から言うんですか?
「言います言います! それで普通にフラれます(笑)」
── アハハ、女性の方から好きって言っちゃいけないって、よく婚活の本とかに書いているのはご存知ですか。
「はい、存じていますよ(笑)。でも自分が好きな人がいいって思うから……」
アプリで出会いを探す人よりは、ナンパする男の方が好き
「やっぱり飲み屋が多いのかな。昔だったらコンパってこともありましたけど」
── ナンパされてその日のうちにってことはあるんですか。
「その日のうちにはないですね」
── なるほど、ナンパをする男ってどうですか。
「どちらかというと、アプリで出会いを探す人より、ナンパをする男の方が好きかな(笑)。路上の方が行動力がある感じもするし、なんかアプリにはまだ抵抗があるんですよね」
── アプリに関しては色々な捉え方がありますよね。それで結婚した人も、ちゃんとお付き合いできたという人もいるんですが、それでも抵抗がある?
「そういう男性が嫌というよりも、自分が向いていなかった気がします。自己紹介を書いたり、会ったこともない人とメールのやり取りをしたりとかが、すごく回りくどいなって感じちゃうんですね」
── あれって何度もやり取りしないといけないんですよね。
── そこに耐えられるかどうかで、アプリの向き不向きが分かれそうですね。それに比べてナンパだったら目の前にいますもんね(笑)。アプリで実際に誰かと会ったことはあるんですか。
「ひとりだけ。見た目は想像通りだったけど、なんか時間のかけ方が違うんですよね。何回か食事もしましたが、プランのないまま日程だけ抑えられて、当日も行き当たりばったりなんですよ。場所によっては着ていく服も考えなきゃいけないでしょう。ジーパンでいいのか、フォーマルかってあるんで。その辺が合わなかったかなって思いました」
── なるほど〜! 知らない人同士で会う時には、その辺の温度差がわからないんですね。
「そうそう、別にスマートさを求めているわけじゃないんです。でも私が10センチ越えのヒールを履いている時に、『30分くらい散歩しようか』って言われた時には、“マジかよコイツ”って思いましたね」
── あ〜そうか、ヒール、男性はわからないかもしれないですね。僕もやっと最近ですから(笑)。
「そうなのかもしれません。1軒目のお店がどこだっていいんですよ。磯丸水産だって気にしないのに、何の提案もなくダラダラ歩かせられるし、私が『どこか入らない?』って聞けば、『じゃあどこにいく?』って返事で、”この人といたらこの先の計画を全部私が立てなきゃいけないのか、嫌だな”って。それでもうアプリはいいやって思いました」
── 決断力がない男性はお嫌いですか。
「そうかも。好意を持ってくれていたんでしょうけど、『俺のことどう思ってる? 嫌い?』って聞いてくるのに、その先を言い出さなかった。だから、お店も決められない男は肝心な言葉も言えないんだなって思っちゃいました」
── なるほど、これは勉強になりますね。後編では、もう少し過去の男性について詳しく聞かせてください。
(後編へ続く)
■ bar bossa(バール ボッサ)
ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
営業時間/月〜土 19:00〜24:00
定休日/日・祝
問い合わせ/TEL 03-5458-4185
● 林 伸次(はやし・しんじ)
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CD ライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセー「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。近著に小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか』(旭屋出版)など。最新刊はcakesの連載から大人論を抜粋してまとめた『大人の条件』(産業編集センター)。