2019.06.24
【第7回】
営業で見込み客の気持ちをつかむには「仮想敵」を作って叩け!
年収1億円! 普通のサラリーマンには夢のような金額を、アナタにとってリアルな目標に変えていくのがこの連載です。まず大事なのは思考法。考え方が変われば仕事に対するスタンスが変わり、見えてくる世界が変わります。マーケティングコンサルタント船ケ山哲氏がアナタを年収1億円に導きます。
- CREDIT :
文/船ケ山 哲 編集協力/遠藤励子 写真/内田裕介 スタイリスト/稲田一生 ヘア&メイク/勝間亮平(MASCULIN)
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前回は、新規客を開拓する際の「会話術」をお伝えしました。今回は、そこで得た会話術から、より具体的に踏み込んだトークをくり出すために、どのような視点と考え方をもてばよいのかについてお話していきます。
その前に、まずは今回のテーマをより深く理解していただくために、ひとつ質問を用意しました。
ここに年収500万円の営業マンと、年収5000万円以上稼ぐ営業マンがいるとします。
両者の一番の違いはどこにあると、あなたは思いますか?
・ 提案書?
・ トーク?
・ 信用?
・ 見た目?
・ 清潔感? Etc.…
ヒントは、「無駄を最大限にまで省けるかどうか」です。
実はこの視点をもてなければ、今後、あなたは自分の収入を劇的に上げていくことは不可能なのです。なぜなら、「時間」はお金以上に価値の高いものであり、お金を生み出さないものに時間を使うより、お金になるものに時間を使うほうが、当然ながら収益を大きくすることができるからです。
したがって、あなたが収入を大きくするためには極力無駄を省かなければいけませんし、何がお金になるのかを見極める視点をもつことが大切になってきます。
「お客の判定に無駄な時間をかけない」ということです。
言い換えれば、瞬時に「見込み客」を見極めるということです。
「見込み客」というのは、皆さんご存知のように、あなたの商品に、お金を払う可能性ある人のことを指します。
瞬時に「見込み客」を見極める能力があるかないか。実はこれが10倍以上の年収差を生み出す差となるのです。しかし、多くの人にはこの視点がなく、「冷やかし客」に無駄に時間を使ってしまう傾向があります。
しかし
・ 1回の訪問で、高額受注を簡単に決めてしまう人
・ 5回も相手の会社に訪問したが、失注してしまう人
どちらの人生を歩みたいかは、はっきりしているでしょう。
「冷やかし客」に何度も振り回されていたら、満足な収入を得る前に寿命を迎えてしまいます。これでは、何のための人生なのかわかりませんし、仕事を生きがいにして輝くことなどできません。
あなたが、今後人生を変え、今の給料を劇的にアップさせたいと願うなら、
早い段階で「見込み客」を見極め、「冷やかし客」は即座に切る勇気をもつことです。
上手くいってない原因を仮想敵として設定する
ちなみに前回は、集客や売り上げアップに対して、ネット媒体に力を入れている社長さんを事例に、こんなトークの例を出しました。
あなた 「集客や売り上げアップに対して、どんな取り組みをされていますか?」
相手 「当社の問い合わせの80%以上は、ホームページからなので、ネット媒体に主に注力しています」
あなた 「自社でやられているのですか? それとも、コンサルなどにお願いされているのですか?」
相手 「はい、2年ほど前から専門の方に入ってもらっています」
あなた 「いかがですか?上手くいってますか?」
相手 「そうですね。以前までは好調でしたが、最近は、反応が落ちていて。正直、模索しているところです」
そして、この最後の相手の言葉は、そのまま仕事につながる情報であり、ここがある意味、
相手から引き出した「隙」になるわけです。
それを生かすも殺すも、あなた次第。ここで、受注に至る正しい方法を知らないと、開きかけた扉を無にすることになります。とはいえ「その方法が分かれば苦労しないよ」という人も多いと思いますので、ここで、ズバリ答えをお教えします。
仮想敵とは何か? 言い換えれば、上手くいっていない原因です。これを相手に自ら予測してもらい、仮想敵として設定してしまうのです。
例えば、前述の社長の場合ですが、ネット媒体の反応が落ちている原因を予測してもらいます。指導しているコンサルが仮想敵になるかもしれませんし、ネット媒体の仕様変更が原因と答えるかもしれません。
それはこの社長さんに聞かない限り分からないことですが、ここで大切なことは、答えに正解・不正解は関係ないということです。
なぜなら、その人にとってのイライラの原因が分かれば、それが仮想敵となるからです。それが何であれ、社長さんにとっての仮想敵を知り、客観的な情報をもってその敵を潰すことが大事なのです。
お客様は不安を抱えたままでは、次に進むことなどできませんし、ライバルに退いてもらわない限り、あなたの席はないのです。
主観や感覚に頼った個人的見解はビジネスには不要
それは相手が言うことを、「主観や感覚で物事を批判しない」ことです。
というのも、主観や感覚というのは個人的見解ですから万人が納得する根拠がありません。そしてそこに多少なりとも批判的な要素がある場合、言われた相手は「自分が攻撃を受けた」と錯覚してしまう恐れがあるのです。
これは、心理学で「同一視」と呼ばれるものですが、あなたが相手を攻撃するつもりはなくとも、相手が採用したものや身につけている物を、自分の主観や感覚など個人的な見解でジャッジしてしまうと、自分が攻撃されたと錯覚し、勘違いしてしまう心理のことを示します。
ちなみに、この心理は逆も然りで、相手の所有物を褒めると、その本人が褒められたと思わせることもできます。しかし、この方法は、使い方を少し間違えるだけで、信用を失ってしまうことにもなりかねないので、細心の注意が必要です。
そんな見解を披露している暇があれば、論文や研究結果などデータを集めて、仮想敵を叩く資料として用意し、客観性をもってお客様に伝える方が効果的です。そうすることで、あなたは相手を傷つける心配なく、相手の問題を解決に導くことができます。
そして、仮想敵をつぶすことで、相手はあなたを信用し、それまで行っていた取り組み、つまり満足していなかった取り組みを安心してやめることになるのです。
その段階を抑えることができれば、あとは簡単です。相手が望む“手に入れたい願望”を聞き、「代替案」を差し示すことで、相手はあなたの話に耳を傾けることになるからです。
改めて言いますが、あなたの提案を素の状態で受け入れ、話を聞いてもらいたいのであれば、自分のエゴを押し付け、うっとうしいと思われる存在になるのではなく、
まずは相手が不満に感じているイライラを明確にし、仮想敵を表面化することに集中してください。
次回は、初めて会った人に専門家と信用され、「ぜひ、名刺交換をお願いできますか?」と言われる、相手を驚愕させる「自己紹介」についてお話していきます。
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● 船ケ山 哲(ふながやま・てつ)
1976年、神奈川県出身。心理を活用 したマーケティングを得意とし、人脈なし、コネなし、実績なしの状態から、起業後わずか5年で1000社以上のクライアントを獲得。その卓越したマーケティング手法は、数々の雑誌やメディアに取り上げられ、現在ではテレビ番組(テレビ神奈川)のメインキャストを務めるほか、ラジオ番組(FM横浜)でもメインパーソナリティーとして活躍中の起業家。 またプライベートでは子どもの教育を最優先に考え、マレーシアのジョホールバルに在住。
主な著書に『武器としてのビジネススキル』(PHP研究所)、『お金と自由をもたらす最速の稼ぎ方』(徳間書店)、『洞察のススメ』『超・起業思考』(きずな出版)他。最新刊は『会社を辞めずに収入を月50万円増やす! 小さく始めて成功させる「自分ビジネス」』(集英社)本体1400円+税。7月5日発売予定。
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ジャケット3万2000円、パンツ2万4000円/デサント ポーズ(デサント ブラン 代官山)、ニット4万1000円/オーギュスト プレゼンテーション(エフアイティー)、メガネ4万4000円/アイヴァン 7285(アイヴァン 7285 トウキョウ)、ネックレス1万6000円、ブレスレット7万8000円/ともにエンド(ギャラリー・オブ・オーセンティック)、時計54万円/ゼニス、カットソーはスタイリスト私物
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