2019.06.22
【第7回:お金の話】
梅沢富美男「金持ちになんてなりたくないよ。俺は贅沢がしたいんだ」
怒涛の昭和~平成~令和を生き抜いてきた梅沢富美男さんが考える「男の生き方、身の処し方」とは? 常に一本芯の通った、炎上を恐れぬ本音コメントは世の迷えるオヤジ&コヤジのバイブルですぞ!
- CREDIT :
構成/紺野美紀 写真/内田裕介 イラスト/ゴトウイサク
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一年365日休み無く舞台に立った。それを7年ほど続けた。あっという間に“金持ち”になりましたよ。本当に驚く程金が入ってきた。でも、文字通り湯水のように使ったけどね(笑)。
俺のおふくろは「なんでもみんなで分けなさい。分けられないなら隠しなさい」っていう人だった。だから、俺は劇団員みんなで贅沢しようと思ったんだ。
子ども時代の夢が“金持ちになること”だったら、その時点で仕事はやめてたかもな。だって“金持ち”になったんだから(笑)。でも、俺は金持ちになんてなりたくなかった。贅沢がしたかったんだよ。“贅沢”には終りがない。あったらあった分だけ使っちゃうから、ず~っと稼ぎ続かないといけないんだよ(笑)。
仕事のギャラは知らないけど、舞台の制作費には細かいよ
今はずいぶんテレビのお仕事が増えてきたけど、それだってギャラがいくらなんてまったく知りません。仕事を受ける受けないはギャラの金額じゃなくて、空いてるかどうかだけだね。その方がシンプルでいいだろ?
ただ、公演の方はきっちりと把握してますよ。そうじゃなかったら制作出来ないから。役者さんやスタッフさんのギャラも衣裳やカツラの値段もきっちりと計算してる。
最近はおかげさまでCMが頂けるからね~(笑)。舞台にお金が掛けられてうれしいですよ。俺は道具にこだわるからね。女優さんの付けるカツラなんて一面60万ですよ! それを曲ごとに替えてるんだから。みんなキャーキャー言って喜んでますよ(笑)。女房も「舞台にはきちんとお金をかけて、いい衣裳を作って下さいね」って言ってくれるからね。ありがたいことです。
借りる時には仏顔、返す時には閻魔顔
行くのはもっぱら劇団員と。業界の偉い人たちとは飲みに行かないね。だって誰が払うかとか面倒くさいことが大嫌い。俺が払っちゃった方が気が楽だけど、同じ業界人だとそれが失礼になる場合もあるからな。とにかく面倒なことがイヤなんだよ。
金を持つようになると、やっぱり「貸してくれ」って人は寄ってきます。俺は金の貸し借りも大っ嫌い。「貸してくれ」と言ってきたヤツとは付き合いをやめますね。だから貸すんじゃなくてくれてやる。芝居のセリフにもあるんですよ。「借りる時には仏顔、返す時には閻魔顔」ってね。人間借りる時は調子いいこと言うけど、いざ返してって言うと逆ギレするんです。
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『LEON』を見て「高い!」って思うなら頑張って稼げよ
最近、買ったのは時計。『LEON』に載ってたヤツだよ。この雑誌のイイところって、やっぱり夢があるってことだな。紹介されてるモノを見たって、実際に買える人なんてほんの一握りだと思うよ。でも、「いつかは着てみたいな、乗ってみたいな、イイ女連れて行ってみたいな」って夢が見られるだろ。「よし、頑張って働いて稼ごう」って自分を鼓舞する道具になるじゃないか。それって、男には大事なことだよ。
俺は時計でもクルマでも機能云々はどうでもいいんだ。見た目が大事。突き詰めちゃえば、時計だってクルマだって動けばいいんだよ。今なんて携帯持ってりゃ時計なんていらないよな。都内だったら維持費がかかるクルマだっていらないよ。駐車場も高いしさ(笑)。
でも、俺はいいもんが欲しいの。贅沢がしたいの。もともとすごい貧乏だったから、稼げるようになったら絶対に贅沢しようって思ってたからね。いいクルマに乗って、いい服着ようって。くだらねぇって言いたいヤツは言えばいい。お前にマネしろとは言わないよ(笑)。
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● 梅沢富美男(うめざわ・とみお)
1950年11月9日、福島県福島市生まれ。血液型B型。俳優・歌手・タレント。剣劇一座「梅沢劇団」の創設者で大衆演劇のスターだった梅沢清と娘歌舞伎出身の竹沢龍千代の5男として生まれ、1歳5か月で初舞台。15歳で本格的に役者の道へ。1976年、女形に転向し「下町の玉三郎」として大ブレイク。1982年には『夢芝居』で歌手デビューし50万枚を超えるヒットに。現在は「梅沢劇団」三代目座長として年間180日舞台に立つ傍ら、テレビにも数多く出演。バラエティや情報番組での歯に衣着せぬ直言コメントで人気を得ている。