2019.08.02
【第4回】
元銀座ホステスOL「不倫はもうしません。奥さんにバレて慰謝料請求されました。もう最低でした」
美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか?「ワイングラスのむこう側」(cakes)で人気の林伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。
- CREDIT :
構成/木村千鶴
シーズン2のテーマは、今どき美女たちの“悩める”恋愛事情。美人だってときには恋に傷つくこともあるよねという推論のもと、美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。
第4回のゲストは、OLの彩さん(32歳)です。
銀座のクラブでお姉さんたちの接客を見て美人の所作を学びました
「はい、よろしくお願いします!」
── なんか明るくてとっても話しやすい感じですね~。
「ありがとうございます。私、18歳から水商売をしていたので、初対面の方とでも割と話せるかなと(笑)」
── あ、そうなんですね! ここでは皆さんに有名人の名前をニックネームにしてお呼びしているんですけど、ちょっと上戸彩さんの雰囲気があるので彩さんでいいですか。
「いいんですか(笑)。うれしい」
── 早速ですが、彩さん、「あ、私イケてるかも」って思ったのって何歳くらいですか?
「ん~。私、3人姉妹の末っ子で、ずっと姉に“ブス”って言われて育ったので、外見にはホント自信なかったんです。でも18歳で水商売を始めて、そこのお姉さんに『店に立つ時には自分を美人だと思って立ちなさい』と言われたんですね。それから訓練をして」
── 訓練!それってどうやって?
「真似です、お姉さんたちの姿勢とか目つきとか……」
── 自己肯定感って難しくて、自分がかわいくないと思ってしまうと途中からなかなか肯定できないですよね。真似でできるもの?
「はい。人気のお姉さんたちが接客しているのを見ていると、自信に満ち溢れている女性がいかに魅力的かわかるんです。それを見て分析して。3年経ってお客さんがついて、やっとかわいくなれたのかなって思いました」
── なるほど~。じゃあかわいいってつくれるものなんですね。つかぬことを伺いますが、なんで18歳で水商売の世界に?
「私、勉強はできなかったんですが、大学には行きたくて。そしたら親にお金は出せないよって言われちゃったんで、水商売で稼いで大学に行ったんです」
── それは偉いですね! じゃ、ご両親も納得で?
「水商売は反対されたけど、どうせやるなら銀座に行けって言われて、銀座でやってました」
── それ、ご両親の判断正しいな。水商売の端くれとして僕はそう思います。だって銀座なら一度にいろんなことが学べますよね。
「そうですね。何やかや30歳までいた中で、学びはたくさんありました」
不倫でモメて、弁護士事務所から書留が来た。めっちゃ怖かった~!
「以前合コンで知り合った男性と付き合ったんですが、ま~、女癖が悪かったんですね」
── そういう男が好きなんですか?
「いや、全然。でも、そういう男って色気があるんですよ。彼、最初から“お前が本命だけど他にもいるから”って宣言してて(笑)。そんなのは嫌だとは言いましたけど」
── そんなこと言うんだ……。
「ひどいですよね。で、ある日、LINEの様子がおかしくて、あ、これ女だなって思ってたんですけど、後日、彼の部屋のベッドからピアスが出てきた(笑)」
── わ~ベタ(笑)!
「ね~、ベタすぎて驚いた(笑)。やっぱり女の勘って当たるんですね。それでこれなに?って聞いたら彼『あ、化石だね』だって。その言い訳の仕方でね、“こいつマジ天才だ”って逆に好きになっちゃいました(笑)」
── ワハハハ! 可笑しい、確かに面白いです。彩さんならまだほかにもネタが出てきそうですね。
「そうですねえ(笑)、私、以前不倫しちゃってたんですよね。相手は自分でお店を経営してる料理人で、私、彼の料理がとっても好きで。女性って才能ある人が好きなんですよね。狩りができる能力というか」
── 生き物として、能力に惹かれるのは当然のことですよね。それは彩さんから落としにいったの?
「いえ、向こうから。でも、とても好きになっちゃったんですね。既婚男性って『奥さんには愛がなくなった』って言うじゃないですか」
── でも、それを言っちゃダメって説もありますよね。奥さん大好きだけどあなたも好きって言った方がいいパターンも。でも、彼は逆だったんですね。
「はい、まあ結果的に嘘だったんですけどね……。最後には奥さんにバレました」
── うわ、やっぱりバレるんですね~。なんでだろう。
「彼は携帯にロックかけてないし、LINEの内容も消してないから。詰めが甘い(笑)。弁護士事務所から書留が来ました。めっちゃ怖かった~! 慰謝料請求されました……」
「大変だった~、もう最低だった~」
── じゃあ気を取り直して、逆に最高の男は?
「それもやっぱり同じ彼なんです。輝いてたから……。彼はジメジメしたところがなくて、自信家ではないんですけど、目標があって。そういうところが好きでした。新店舗も出して評判がいいとは聞いています。接見禁止にされているからもう会えませんけど(笑)」
── なんにせよ強く印象に残るんですね……。じゃあ彼が奥さんと離婚したら結婚したかった?
「はい、実は奥さんに離婚しようって言ってくれてたんですが、奥さんは絶対に離婚しないって」
── そうなんですね。
「所詮不倫なんです。私はもうしません。法律って強いんですよ」
── 銀座で働いてたらそんな男ばかり来るじゃないですか。銀座に来る男たちは好きでした?
「お客さんには愛しかないです、私は。皆のことが大好きです」
── あの、誘われちゃったら寝てました?
「あ、ごめんなさい、そういう愛じゃなかった(笑)。私、結局、女としては売れなかったんです。客層ってあるじゃないですか。娘みたいで楽しいよねって言ってもらってました」
── 大事にされてたんですね。彩さんにとってイイ男ってどんな男ですか?
「本当に大切なものを大切にできる人。やっぱり家族を大切にしている男性はカッコ良かったです。結局10年くらい銀座にいましたけど、やはり家族を大事にされている方は100%出世されていました」
── これ、みんな聞いとけ~(笑)。
「本当なんですよ。女をつくることが男のステイタスって謎の勘違いをしてる人っているじゃないですか。そういう人って天註が下ってる(笑)。会社から突然海外の僻地に飛ばされるとか、あるんですよ。やっぱり自分を大事にしてくれる人を大事にできる人って神様が大事にしてくれると思います」
いいセックスの3要素は、サイズ・リズム・タイミング
「そうですね(笑)。けっこう昔から好奇心は強かったと思います。高校生の頃なんて盛りがついてるようなもんで、付きあいたいっていうよりもやりたい!って感じだったし(笑)」
── 女子もそうなんですか?(笑) 思春期の男子って女子のことしか考えてないし、胸触りたいとかキスしたいとか思うんですけど。でも、経験も知識もないんですよね。
「ない、ないけど、エロ本とかもあるじゃないですか。その頃ってコンドームとかも使い方知らないけど興味津々で(笑)」
── あ、エロ本を見るんだ(笑)
「そうそう(笑)。あと、テレビとかのキスシーンにキュンとして、もしかしたらこれって気持ちいいのかもって思って。で、私も気持ち良くなってみたかったんです。ベッドシーンだって女性は喘いでるじゃないですか。エクスタシーってどんなもんなんだろうって思ったんです」
── 女性ってそういう風に思うんですね~。で、今、改めて考えて、彩さんにとってセックスってなんですか。
「そうですね、セックスはアドベンチャー。スポーツでもあるかな。汗かきたいから(笑)」
── アドベンチャー(笑)。その相手は初対面でも大丈夫?
「私、知らない男とナンパで、とかはないんです。病気とかも嫌じゃないですか。まったく知らない人って、なんでしょう、燃えないんですよね」
── そっか、燃えないんですね。
「知ってる中で、イケないことしちゃった感がいいんですよ。あ、やっちゃった……みたいな(笑)」
── あ~、その感覚ヤラシイ感じですね(笑)。あれ、じゃあ女友達の彼氏としちゃったことは?
「それはないです。倫理に反することはしない」
── 自分の中にそういうルールがあるから、性別関係なく好かれる雰囲気が醸されるんでしょうね。では彩さんにとっていいセックスってどんなのですか。
「これはね、大学生の頃から、サイズ・リズム・タイミングって言ってます(笑)」
「それですね。男性ってそういうのないんですってね。サイズは本当に大きいのがいいとかはないです。リズムは動くリズム。これ本当に合わなかった人がいて、リズムが大事だなって思った。タイミングはフィニッシュのタイミングですね」
── 勉強になります(笑)。上手いのって経験値の高さですか? 例えば既婚者が上手いとか。
「それは特にないですね、やっぱり相性。だってさっきの女遊びめっちゃしてる男なんて全然気持ちよくなかったし。既婚者の人でも奥さんと全然してない人が不倫で久々にしても結構へたくそなんですよ!」
── わわわ~。
「だから、気をつけてね~って思ってます」
── では自分のルールに則った中で、フラ~っと惹かれる、つい寝てしまった、っていうのはどんな時?
「一緒にした食事が美味しくて、テンション上がって、2軒目に行こうかってなった時に、そのエレベーターの中でふいにキスされたら、あ、今日いいかもって思います」
── あ~なるほど! 雰囲気のいいキスはいいんだ。
── あ~盛り上がってきましたね~(笑)!
「で、飲みながら髪をチョイって触ったり、ほっぺをツンツンってしたり。さっきの柔らかいキスでスイッチ入ってるからそれすらも感じるんですよ。で、大事なのは優しく触ること。べったりはだめ。腿に手を置くとかも、やりたいオーラを出し過ぎてるんでダメ!」
── 腿はだめなんだ。やっちゃうとこだった。あぶない、あぶない(笑)。
「ストレートすぎるのは良くないです。女性ってやっぱりやさしい男性が好きって人が多いですから」
── 外見へのこだわりはありますか?
「清潔感はほしいですよね。でも太っててもハゲてても中身が良ければいいです。見た目は関係ない。ただ、中身が良い人は自然と見た目もカッコいいです。パーツとかではない、なんかオーラが出てます」
── そうかもしれませんね。姿勢とか表情に充実感が出て、結果としてカッコよく見えるのかも。今日は良いお話が聞けました。ありがとうございました!
「どういたしまして」
【林さんから〆のひと言】
「やはり家族を大事にされている方は100%出世されていました」という言葉は男性はみんな参考にすべきです。ありがとうございます。
★この連載では登場していただける女性を募集しています
林さんに自分の恋愛観・恋愛体験をぜひ語ってみたいというアナタ。簡単な自己紹介文と写真、どんなことを話したいかを添えて下記までメールでご応募くださいませ。お願いするかたには担当よりご連絡させていただきます。
メール宛先/s1209@mb.shufu.co.jp
件名は「美人はスーパーカーである募集」でお願いいたします。
BAR BOSSA(バール ボッサ)
ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
営業時間 / 月~土 19:00~24:00
定休日 / 日・祝
問い合わせ/☎ 03-5458-4185
林伸次(はやし・しんじ)
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CD ライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセー「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。初の小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)も話題。