2019.11.17

美しい星空と美味しい料理！南信州の新たな魅力を発見できる山間の温泉旅館

長野県の山間に位置する昼神温泉の宿、「玄竹（くろたけ）」。比較的新しい宿ながらも、落ち着いた雰囲気は、空間づくりの巧みさによるもの。南信州の旬の食材を使った料理を楽しみにリピートするゲストも多いそうです。

CREDIT :: 文／いとうゆうじ

首都圏から長野県にお泊まりドライブデートというと、軽井沢や北信州あたりが定番ですよね。しかし、今回は南信州へと足を延ばしてみたのですが、これがいろいろな意味で新鮮。昼神温泉の周りは、静かな山里といった風情で好印象。阿智川沿いにクルマを走らせると、見えてくるのがアイコニックな堂々たる黒塗りの門。それが、今回ご紹介する湯宿、「玄竹（くろたけ）」です。エントランスにクルマを寄せればスタッフさんがお迎えに来てくれるというシステム。とても立派で期待が膨らみますよ。

/ 4

大正浪漫をコンセプトにした伝統とモダンの融合した館内。いたるところに、こんなアンティークな調度品がある。
高い天井に並ぶ梁、アンティークな調度品で落ち着きが醸された茶処「おいでなんしょ」。ウェルカムドリンクやモーニングコーヒーなどがいただける。
アンティークなガラス窓、アンティークな調度品、艶のある年代ものの床な柱。そこここに見どころあり。
茶処のアンティークソファーに身を委ね、ライトアップされた中庭を眺めるだけで、心も体もほっこり癒される。

大正浪漫をコンセプトにした伝統とモダンの融合した館内。いたるところに、こんなアンティークな調度品がある。
高い天井に並ぶ梁、アンティークな調度品で落ち着きが醸された茶処「おいでなんしょ」。ウェルカムドリンクやモーニングコーヒーなどがいただける。
アンティークなガラス窓、アンティークな調度品、艶のある年代ものの床な柱。そこここに見どころあり。
茶処のアンティークソファーに身を委ね、ライトアップされた中庭を眺めるだけで、心も体もほっこり癒される。

2013年にオープンした比較的新しい温泉旅館ですが、和をベースに巧みにアンティーク調の家具や古民家調の建材などを取り入れ、初めてなのにどこか懐かしい落ち着きを表現。このシックな空間が、極上のリラックスへと導いてくれたのです。洒脱な個性はあるのに上品で控えめ、そこにシックさをミックスしたお泊まりドライブデートは、酸いも甘いも噛み分けた、大人のふたりにぴったりですよ。

PAGE 2

食材や料理で季節を愛でる醍醐味。おいしくって楽しいのがうれしいのです

なかでもひと際、記憶に残るのは、この宿の食事です。夕食の前菜で手長海老の素揚げが出てきたのですが、それがまだ温かい。これはもう、いい予感しかしないと思いつつ箸を進めると、山間の地ならではの信州サーモン、イトウ、馬刺しのお造りが登場。黒毛和牛(この日は飛騨牛)のステーキは目の前で焼いてくれるというサービスも楽しかったですし、天竜川産の若鮎の塩焼きは、塩の振り加減が絶妙で、頭からガブリといけるジャストサイズ。ほどよい苦味も上品で、しみじみと美味。

/ 3

料理は、地元の旬の味覚をふんだんに使った創作和食。写真はそんな一例、若鮎の塩焼き。ほどよい苦味がとてもいい。
料理はすべて料理人の丁寧な技により、目にも舌にも美味しく仕上がっている。
この宿のこだわりの食材、信州産黒毛和牛。口に入れるだけで溶けてしまうほどの霜降り肉は、旨味と甘味がたっぷり。

料理は、地元の旬の味覚をふんだんに使った創作和食。写真はそんな一例、若鮎の塩焼き。ほどよい苦味がとてもいい。
料理はすべて料理人の丁寧な技により、目にも舌にも美味しく仕上がっている。
この宿のこだわりの食材、信州産黒毛和牛。口に入れるだけで溶けてしまうほどの霜降り肉は、旨味と甘味がたっぷり。

すっぽんのスープを固めて水晶鍋に仕立てた一品は、コラーゲンたっぷりで深い旨味が特徴。釜炊きごはんはゴボウと鮭の炊込みで、お焦げもいい具合について、最高に美味。南信州の食の恵みがもつ力は想像以上でした。

/ 4

料理の一例、水晶鍋。すっぽんのスープを固めたものを火にかけると、コラーゲンたっぷりの旨味のあるスープに。
旬の素材を活かした釜炊きごはん。写真は、鮭とゴボウの炊き込み。お焦げがまた美味しい。
朝食では、旬の野菜をビュッフェ形式で提供してくれる。新鮮で旨味たっぷりの野菜をもりもり食べられるのがうれしい。
長野の地酒40種類（180ml）が揃う地元オリジナルブランド「楽國信州（らっこくしんしゅう）」。料理とのマリアージュを楽しんで。

料理の一例、水晶鍋。すっぽんのスープを固めたものを火にかけると、コラーゲンたっぷりの旨味のあるスープに。
旬の素材を活かした釜炊きごはん。写真は、鮭とゴボウの炊き込み。お焦げがまた美味しい。
朝食では、旬の野菜をビュッフェ形式で提供してくれる。新鮮で旨味たっぷりの野菜をもりもり食べられるのがうれしい。
長野の地酒40種類（180ml）が揃う地元オリジナルブランド「楽國信州（らっこくしんしゅう）」。料理とのマリアージュを楽しんで。

もちろん、季節によってメニューは異なりますが、旬の素材をふんだんに使った創作料理。匠の技で丁寧にしあげた料理に間違いなし。グルメな大人の男にも大オススメです。

PAGE 3

大切な人と分かち合いたいシックな宿で過ごすひと時

南信州らしい美食が人気の玄竹ですが、こちらの魅力はそれだけではありません。客室は全部で17室ですが、そのうち9室は露天風呂付き。

今回宿泊したのも二間続きの和室で、箱庭のような庭園を望む露天風呂からの眺めは、心がホッと和むようなひと時を味わえます。単純硫黄泉のお湯は、透明感がありながらもとろみのある泉質で美肌の湯として知られる名湯。石造りの客室露天風呂はおふたりさまサイズなのもうれしいですな。

/ 2

1階には、男女別の露天風呂付き大浴室がある他、貸切風呂もある。透明感のあるお湯だが、とろみがあり、湯上りのしっとりした肌触りがなんともいえない。
客室の庭に設えられた石造りの露天風呂。ふたりではいるのにちょうどよい大きさなのがいい。

1階には、男女別の露天風呂付き大浴室がある他、貸切風呂もある。透明感のあるお湯だが、とろみがあり、湯上りのしっとりした肌触りがなんともいえない。
客室の庭に設えられた石造りの露天風呂。ふたりではいるのにちょうどよい大きさなのがいい。

また正面の門の2階部分は貸切露天風呂となっているので、チェックイン時に予約しておくのがベターです。

アクティビティとしては“日本一星空がキレイな村”ですから、夕食後にちょっと近所のスキー場あたりまでクルマを走らせて、夜空を眺めるのもオススメ。ちなみに取材時は満月で明るかったにもかかわらず30分ほど空を見上げている間に、ふたつほど流れ星が見えたことをご報告いたします。

そして宿に戻ったら、茶処「おいでなんしょ」で地酒や信州産ワインのサービスがあるので、それらを寝酒にいただく、というのもアリかと。この茶処のアンティークソファに身を委ね、庭園を眺めるだけでも心がやすらぎます。

朝食はきのこと山菜の味噌汁に湯豆腐など。旬の野菜はビュッフェ形式で提供。出汁巻きも焼き立てで、ジューシーでしたよ。

とまぁ、実際に玄竹に宿泊して感じたのは、古民家風のシックな調度品によって落ち着きが醸し出され、くつろげる和室で暮らすような感覚のステイが楽しめるということ。そして、スタッフさんのコミュニケーションの取り方が絶妙なこと。空気や間を読み取る力に長けているため、接客される側も実に快適なのです。

PAGE 4

聞けば「従来の日本旅館の良さは残しつつも、これまでとは異なるアプローチを心掛けている」とか。それだけに、大人のふたりがゆっくり、そして楽しく過ごせる空間となっているのかもしれませんね。そして、心に沁み入るようなやすらぎを覚えつつ、温泉や食といった山の恵みを満喫する。こういう旅は、本当に大切な人と分かち合いたい、そう思える素敵な旅館でした。