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2022.12.31

【第70回】

「モテるってそんなにいいことですか」映像業界で闘ってきた女性の憂いとは

美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか? 「ワイングラスのむこう側」(cakes)で人気の林伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。

CREDIT :

取材/林 伸次 写真/椙本裕子(YUKIMI STUDIO) 文/木村千鶴

「ワイングラスの向こう側」(cakes)でおなじみ、奥渋谷のバー「BAR BOSSA」(バール・ボッサ)のマスターにして作家の林伸次さんが、バーテン仕込みの絶妙な話術でさまざまな美人さんの本音を聞き出す連載です。

テーマは今どきの美女たちの”悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。

第70回目のゲストは、マキコさん(38)です。
美人 恋愛 大人 美人はスーパーカーである【恋愛編】
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“モテすぎた美女”がその悩みを語ります

── わざわざお越しくださりありがとうございます。林です。

「よろしくお願いします」

── えっと、ここではニックネームで呼ぶことになっているんですが、誰かに似ていると言われることはありませんか。

「そうですね、昔、江角マキコさんに似ていると言われたことがありました」

── それでは、ここではマキコさんと呼ばせていただきます。マキコさんはどんなお仕事をされているんですか。

「映像制作関連の仕事をしています。あの私、若い頃に男性で嫌な思いをしているので、あまり恋愛に積極的ではないんですけど大丈夫ですか」

── そうだったんですか。ではどんなことがあったのか時系列で聞いていきますね。男性と初めてお付き合いしたのはいつ頃でしたか。

「高校1年生の時で、サッカー部の人。私の方から好きになりました」

── 高校生の時にサッカー部の男子と付き合うって、ラブストーリーの王道みたいな感じがしますね(笑)。

「はい、カッコいい男子でした(笑)。でも彼の方がちょっとだけ身長が低くて、それを男子にいじられるような風潮があったんですよね。ふたりで歩いていると後ろから『お前ら身長が合ってない(笑)』とか囃し立てられて。それからなんとなく気にするようになってしまい、だんだん気まずくなって彼から別れようって言われてしまいました」

── 彼の友達とかが多分、冗談で言うんですよね。付き合ってるのも羨ましいし、イケメンであれば余計に。

「そうですね。でも学生らしい普通の恋愛だったなと思います」
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「友達としか思っていない」と断ったら殴られました

── その恋では大丈夫だったんですね。その後何かあったんですか。

「一浪して予備校に通っていたんですが、友達だと思っていた高校の同級生に告白されたんですよね。実はずっと前から好きだったって。でも私は友達としか思っていなかったから……」

── 青春らしいエピソードが待っているとしか思えないシチュエーションですが。

「う〜ん、その人は何かというと私を庇ってくれた人でした。私、あることで一部の男子から総スカン食らったことがあるんですが(笑)、その時も『マキコは悪くない』と言ってくれてたんですね。でもそれは好かれるための演技だったらしくて」

── ん? 演技ですか?

「はい。恋愛感情はない、友達だと思ってるってお断りしたら『俺の気持ちに応えろ』ってキレて殴られたんです。『俺は3年間お前の信用を勝ち取るためにいい人のふりしてやってたんだ!全部演技なんだよ』とかなんとか暴言を吐かれて」

── えええええ〜!!! 殴った!? 信じられないことしますね。それは怖かったですね。

「それから“男の人は怖い”と思ってしまいましたね」

── 18歳という年齢でそういう思いをすると、影響は大きいでしょう。ダメな男性に当たってしまったというか。その後、大学受験はしたんですか。

「予備校にアメリカの大学を卒業した先生がいて、向こうの大学生活の話を聞いているうちに自分も行きたくなって。親に頼んでアメリカに留学させてもらいました」
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俺の足を引っ張るなという彼の言葉で目が覚めたんです

── アメリカでは何を学びましたか。

「映像です。映画が好きでその道に進みたかったのですが、どうすればその業界に行けるかわからなかったので、とりあえずアメリカの大学で映像を勉強しようと思いました」

── 映像を学ぶというと、どんな勉強をするんだろう。

「最初の頃はとにかく名作と言われる映画を観まくるんです。例えばカメラワークひとつとってもその感情を表現するものだから、それが一体何を表現しているのか、評論して解析して、ひたすら映画を観て、本を読んで勉強する。討論会もして脚本も書いてと、忙しく充実した毎日でした」

── アメリカでは恋愛ってありました?

「はい、わりと穏やかな恋愛だったかな。カメラマンを目指している日本人男性とお付き合いしてました。ただ彼に言われた『俺の足を引っ張るな』という言葉は印象に残っていますね」

── かなりショックな強い言葉に聞こえますが、どういうことなんでしょう。

「一緒に住んでいたんですけど、彼が『もっと勉強したいからニューヨークに行く』って言い出したんです。でもそれを言われた時、真っ先に頭に浮かんだのは自分の都合というか。彼がいなくなったら急に家賃が倍になるわけですよ。犬を飼っていたので、世話も私ひとりだな、車の運転もそんなに得意じゃないのになとか、なんかすご〜く泥臭いことで、行かないでほしいという気持ちになっちゃったんですよね」

── まあ、切実な問題ではありますよね。
美人 恋愛 大人 美人はスーパーカーである【恋愛編】
「ええ。彼は夢を叶えたい気持ちが先立っていたので『俺の足を引っ張るな』って言ったと思うんです。気持ちはすっごくわかるんです。わかるんだけど、でも寂しかったな。ただ、そういう人で良かったなと思ってはいます」

── あ〜、そうか。良かったんですね。

「はい、私にも夢があるし、『恋愛如きで足を引っ張らないでよ』って思う瞬間は来るだろうと。人と一緒に暮らしたり遊びに行ったりすることよりも、自分の人生をどう生きるかの方が大事じゃないですか。だからその言葉が転機になりました」

── 寂しさもありつつ、それは人生に大きく影響した言葉だったんですね。

「そうですね、目が覚めたというか。私ここまで来て何やってんだろう、ちゃんと真剣に勉強して、自分の足で立って夢に向かって行かなければいけないって。それで気持ちよく送り出すことができました。彼との関係は楽しかったし、お互いにこれで良かったんだと思っています」

── ちなみにその彼は成功しましたか。

「はい、しっかり活躍しています」

── きっと、お互いに成長できた恋愛だったんですね。それではその後の恋愛について、また後編で聞かせていただきましょう。

後編に続く。

■ bar bossa(バール ボッサ)

ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
営業時間/月〜土 19:00〜24:00
定休日/日・祝
問い合わせ/TEL 03-5458-4185

● 林 伸次(はやし・しんじ)

1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CD ライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセー「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。近著に小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか』(旭屋出版)、『大人の条件』(産業編集センター)。最新刊は『結局、人の悩みは人間関係』(産業編集センター)が2023年1月25日に発売される。

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