2023.02.05
【第72回】
付き合うオトコを次々とダメにした美女の恋愛遍歴
美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか? 「ワイングラスのむこう側」(cakes)で人気の林伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。
- CREDIT :
取材/林 伸次 写真/椙本裕子(YUKIMI STUDIO) 文/木村千鶴 編集/岸澤美希(LEON.JP)
テーマは今どきの美女たちの”悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。
第71回目のゲストは、美智子さん(36)です。
夜中になると2階の窓から抜け出して夜遊びしてました
「こちらこそよろしくお願いします」
── とても上品な雰囲気の方ですね。なんか僕が緊張します(笑)。ここではニックネームで呼ぶことになっているんですが、吉瀬美智子さんに似ている感じがしますので、今日は美智子さんと呼ばせてください。
「ええっ! 光栄です。全然上品なんかじゃないですよ。私、田舎の出身で、地元はヤンキー気質ですからね(笑)」
── そのイメージはないです。ちょっと近寄りがたい感じもしますし。
「そうですか? 確かに、お酒が飲めないので崩れないからでしょうけど、隙がないとは言われます。子供の頃はは気やすいタイプだったと思いますが、家が厳しかったので、表面上は真面目な感じにしていました。
小学生の頃は月曜日から日曜日まで習い事びっしり、中学からは部活と塾と習い事で遊ぶ暇もなく……、だから遊ぶのは夜中なんです(笑)。高校生の頃は夜中によく2階の窓から抜け出して遊んでいました(笑)。窓から抜け出すと、仲間がバイクとか車で迎えに来ていて」
「ええ(笑)。部屋から納屋の屋根や壁をうまいこと伝って降りていくんですけど、たまに実家に帰ってその窓を見ると、ここから飛び降りてたのかと怖くなります」
── 怪我をしなくて良かったですね。でもそういうのって楽しくて、今となってはいい思い出になっているんじゃないですか。高校を卒業してからはどうされたんですか。
「東京の大学に進学しました。高校生までは学校もサボりまくっていましたが、大学に入ってからは毎日出席してテスト勉強もちゃんとしたので、成績も良かったです。高校の時とは比べ物にならないくらい(笑)」
── そうだったんですね。
「中学生の時に通ってた塾は、鉢巻をして授業を受けるようなスパルタ方針でした。その反動で高校に入ってから全然勉強しなくなっちゃって、毎年親が呼び出しされる感じだったんです。午後からの登校も当たり前のようにしていたし」
盲目的に好きになってしまうタイプです
「それはですね〜。大学とはまったく縁もゆかりもない、すご〜く年上の男性と……」
── あああ〜、凄くダメな感じしかしない〜(笑)。
「でしょう(笑)。そこから私の恋愛人生が狂ったと思う」
── なんでそんな男性と知り合っちゃったんですか。
「よくある食事会みたいなところです。今は会社員ですが、以前はモデルの仕事をしていて、その関係で20歳の頃から六本木界隈で朝まで遊んで、家で身支度を整えて学校に向かう、みたいな生活になっちゃって(笑)」
── それでよくちゃんと学校に通えましたね!
「頑張りましたね。クラブに行くような派手な遊びをしていたわけでもないんですが、彼の影響で高級な美味しいご飯屋さんとかには行きまくってました。でも彼、亭主関白な感じで束縛も凄くて。在学中から同棲し始めたんですが、そこからは友達と遊んでいても、17時半頃には『夕飯作らなきゃ!』って帰るような生活をしていました」
「そんなに大金持ちではないかな。波があって安定はしてなかったですね。お金というより、会話が面白くて、自分の知らない世界を見せてくれた人だと思っています。ただ私、盲目的に好きになってしまうタイプで(笑)。最後は振られて終わりました」
── え~!? 美智子さんでも振られるんですね。
「はい。何度も別れる、戻るを繰り返していたんですけど、ある時、私が友達と旅行して帰ってきたら、一緒に住んでいた部屋から彼の荷物だけ全部消えてました(笑)。その頃は彼の仕事がとても大変な時で、多分私のことに構っていられなくなったんだと思います」
── きっと彼は本当に辛い状況だったんでしょう。
「そうかもしれませんね。かなり凹みましたけど、彼との出会いは自分の成長にはつながっただろうなと思っています」
お母さんってこんなちっちゃいパンツ履くんだ〜(笑)
「その次に付き合ったのは、もうどう〜しようもないモデルの男です。いいのは顔とスタイルだけだった(笑)」
── やっぱり見た目だけいい男はダメですか。
「イケメンはその人しか付き合ったことがないのでわかりませんけど、お互い若かったこともあるし、遊び盛りだし、中身は空っぽでしたね(笑)」
── どんなところから中身が空っぽって思ったんですか。
「自分で自分のことを『俺、歩く生殖器だからさ〜』って言っていました」
── あ~(笑)、じゃあ浮気もしまくってる感じですか。
「そうでした。もしかしたら本当なのかもしれないですけど、彼の家にお呼ばれして泊まった時、女性の下着の上下がお風呂場にありまして」
「でしょう!? 『あのさ、いくらなんでもそちらから呼んでおいてこれはないでしょう』と言ったら『それお母さんの!』って」
── ワハハハ。
「私、もう笑っちゃって、『へえ〜、お母さんこんなちっちゃいパンツ履くんだ〜』って言っておきました。まあ、もしかしたら本当かもしれませんけど(笑)」
── そこまでくると面白いというか、可愛いですね。
「可愛い……ま、まあそうなのかな(笑)」
── さて、美智子さんにはまだまだダメ男遍歴があるとのことなので、続きは後編でお聞きしましょう。
後編(こちら)に続く。
■ bar bossa(バール ボッサ)
ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
営業時間/月〜土 19:00〜24:00
定休日/日・祝
問い合わせ/TEL 03-5458-4185
● 林 伸次(はやし・しんじ)
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CD ライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセー「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか』(旭屋出版)、『大人の条件』(産業編集センター)。最新刊は『結局、人の悩みは人間関係』(産業編集センター)が2023年1月25日に発売されたばかり。