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2023.02.05

【第73回】

“尽くす系美女”に初めて優しくしてくれたオトコの裏切り

美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか? 「ワイングラスのむこう側」(cakes)で人気の林伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。

CREDIT :

取材/林 伸次 写真/椙本裕子(YUKIMI STUDIO) 文/木村千鶴 編集/岸澤美希(LEON.JP)

「ワイングラスの向こう側」(cakes)でおなじみ、奥渋谷のバー「BAR BOSSA」(バール・ボッサ)のマスターにして作家の林伸次さんが、バーテン仕込みの絶妙な話術でさまざまな美人さんの本音を聞き出す連載です。

テーマは今どきの美女たちの”悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。

第73回目のゲストは前回に引き続き、美智子さん(36)です。前編では、大学生時代に付き合った年上の男性、そして、浮気しまくりのモデルとの恋愛談を聞かせていただきました。美智子さんはその後もさまざまなダメ男と出会ったようで……?
美人はスーパーカーである 大人の恋愛 
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いくらルックスが良くても、中身が空っぽだったら

── ルックスにコンプレックスのある男子代表として聞きますが、イケメンというアイテムは意味がないというか、必要ないですか。

「イケメンで中身もそれに伴っていればそれに越したことはないですけれど、いくらルックスが良くても中身が空っぽだったらまったくカッコよくもないし、魅力も感じないです」

── 外見だけのイケメンでは魅力を感じないんですね。ではその後の彼はイケメンではなく?

「イケメンではないですね、仕事は芸術関係の人です。最初はみんなでご飯を食べて連絡先も交換せずに終わりましたが、その後2、3カ月して偶然に会って。その時連絡先を聞かれて毎日連絡が来るようになり、お付き合いが始まりました」

── お付き合いしてどうでしたか。

「まあ〜、大変でしたね。わがまま放題で本当に振り回されて」

── やめようとは思わなかったんですか。

「思わなかった。なぜなら何か悔しくて、ここで引き下がったら負けた気がするから。でもそうすると向こうはどんどん付け上がってくるんです。『こいつは俺が何言っても、何してもそばにいる、何を言っても許される』って」

── そういう人って、人を見てわざとやります。
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美人はスーパーカーである 大人の恋愛 
「そう、自信があるんでしょう。私から別れを切り出すと、『あ~いいよ、わかった別れよう。でもお前は俺じゃなきゃ無理だと思うよ』とも言われました。最終的に音信不通にして、連絡を絶って別れたんですが、彼は友人に『俺、あいつにやりすぎた。連絡が取れなくなった』と言っていたようです」

── どこまで耐えるか試してたんですね。ひどいな。彼とはそれきりですか。

「いえ、3年以上過ぎた頃に『お元気ですか。会いたいなと思って連絡しました』って連絡が来たんです。その時は付き合ってる人もいなかったし、まあご飯だけならと思って行きました」

── どうでした?

「凄く謝られました。エベレストほどプライドの高い男が私に謝ってきたんですよ。お前と終わりにしたくないと」

── わ〜! それは揺れちゃいますね。

「ええ。それで『昔のようだったら全然無理だし、ちゃんと将来のことも考えてくれないようだったら、一緒にはいられません」って言ったら、『それはわかってる。俺も自分を見つめ直す時が来たと思ってるから』とか言うから、寄りを戻しました。にも関わらず、結局変わらなかったですね」

── 結局、別れちゃったんですね。

「はい、この人といても将来はないと思って。彼は結婚願望ゼロなんですよ。寄りを戻した時は一瞬考えたみたいでしたけど、でも、やっぱり俺は無理だって。それでも彼の世界観は素晴らしかったですね。凄い才能だと思うし、尊敬していました」
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やっと出会えた“優しく接してくれる男性”には……

美人はスーパーカーである 大人の恋愛 
── 将来は結婚したいと考えていますか。

「以前は考えてましたけど、今は結婚願望もなくなりました」

── 今お付き合いされている方はいらっしゃるんですか。

「付き合ってるとは思ってないですが、別れたくないって言うので置いてある男性はいますね(笑)」

── えっと、それはどういう……。

「友達から紹介された人です。以前は遊び人だったけど、ちゃんと落ち着いて最後まで寄り添えるような人と付き合いたいと言っているからって。何度か食事をして告白されたんですが、最初はお断りしました。凄く年上だったし、遊び人だったことは知っていたので『余生を楽しみたいだけであれば他を当たってください。私には遊びに付き合っている時間はありません』って」

── なるほど。
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「そうしたら、『将来的なことも考えているし、自分はきっと先に死ぬだろうから、その先一生困らないだけの生活も保障する。だから付き合ってほしい』と。それでお付き合いしたんですが、彼は本当に優しくて、幸せでした。

私、男の人に優しくされてこなかったんです。こき使われるばっかりだったので(笑)、凄く幸せで、温泉に浸かってるみたいな気分だったんですよね。自分を飾らずにいられる、ずっと穏やかな気持ちでいられる人にようやく出会えたんだと思っていました。でもそれも最初の1年くらいでしたね」

── 何かあったんですね。

「女優と浮気してました(笑)」

── 本当に遊び好きというか、やっぱりやめられないんですね。

「やめられない。もう病気ですね。私は信じきっていたから傷ついたし、許せなかった。でも、彼がしょうもない言い訳をしてきたんですよ。『俺にとって美智子は1番で特別な存在。他に誰がいようとそれはただのガールフレンドであって、1番はお前なんだ』みたいな」

── ワハハ、可笑しい〜、それ本気で言う人いるんですね。

「びっくりですよね。順位をつけることすら間違ってるし、1番とか2番とかなんなの!? って。そうしてバレても別れたくないって言うんです」
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今は連絡してくる男性みんなと会ってます(笑)

美人はスーパーカーである 大人の恋愛 
── 以前の彼も、皆さん別れたくないって言いますよね。

「私ね、付き合った男性をとことんダメ男にしてしまうんですよ。ダメ男製造機です(笑)。占い師さんにも『最初は良くても相手をだんだんダメ男にしてしまうのがあなたの課題です』と言われました」

── その、本当に申し訳ないですけど、その通りになってますね。ちなみに何故だと思いますか。

「尽くすことが嫌いじゃないし、無意識のうちにそうしてしまう。なんでもしてあげちゃうし、それを苦だと思わないから。嫌なことがあっても、大抵のことは一晩眠ると忘れちゃうし」

── あ〜、そういうことですか〜。

「遊び人の男が一生遊び人のように、ダメ男を作り出してしまうのも病気だなと。私ももう治らないんだと思います。だったら使えるものは置いとけばいいか、私も適当にやっていこうと思って、今は連絡してくる人たちみ〜んなと会ってます(笑)!」

── ちょっと気持ちを変えたんですね。結婚とかはもう考えずに、いろんな人と会って楽しく過ごせばいいかと。それもまたいいと思いますよ! 今日はありがとうございました。

【林さんから〆のひと言】

さっぱりとして、本当にモテるんだろうなあという印象の方でしたが、そんな方でも恋愛がうまくいかないことってあるんですね。世の中って本当に難しいですね。
林 伸次

■ bar bossa(バール ボッサ)

ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
営業時間/月〜土 19:00〜24:00
定休日/日・祝
問い合わせ/TEL 03-5458-4185

● 林 伸次(はやし・しんじ)

1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CD ライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセー「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか』(旭屋出版)、『大人の条件』(産業編集センター)。最新刊は『結局、人の悩みは人間関係』(産業編集センター)が2023年1月25日に発売されたばかり。

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