ウェイクサーフィンで、オヤジは“健全に”カッコよく!
山下 ウェイクサーフィンが日本に入ってくる前に感じていたのは、今までにない新しいマリンスポーツであるということ。特に可能性を感じたのは安全性とケガの少なさですね。子どもから高齢者までどんな方でも楽しめます。横乗り系でファッション性も高いですし、ボートから滑っている人までの距離が近いですよね。
スマホで誰でも写真を撮ってアップできる距離感、インスタ映えします。しゃべれるくらい近いので、みんなで楽しめるのがほかのマリンスポーツにはない魅力です。
野村 確かに。ウェイクボードは距離があって滑ってる時は孤独ですもんね。
山下 そうなんですよ。ウェイクサーフィンはみんなで乗り込んで、仲間といっしょに楽しめる、これは大切なキーワード。ウェイクサーフィンは仲間との“コミュニケーションツール”になるんですよ。
ボートオーナーひとりが楽しむのではなく、周りの人たちと楽しむ。今はそういう価値観に変わってきています。クルーザーよりもスポーツボートの方がそういう使い方がしやすいんです。
ウェイクサーフィンに世界中が注目している理由のひとつだと思います。日本でももっと普及して良いのではと思ってはじめました。
野村 なるほど。では数あるボートの中で、なぜセンチュリオンなのでしょうか?
船体に2.5トンの水を入れられるのはセンチュリオンだけですから、圧倒的に良い波がつくれます。良い波=滑りやすいってことで、上達も早くなるから初心者にも楽しみやすい。後は、ラグジュアリーさ、デザインのカッコよさとか、いっぱいありますね。
野村 初心者でも簡単に立ち上がれるっていうのは、初めて試してみる読者にとってもモテるシーンが増えるってことですね。
山下 そうですね。そしてトウイング専用のボートは“コミュニケーションツール”として非常に安全、かつお洒落なんです。安心・安全がレジャーのベースには必要だと思いますが、エンジンが船外機ではなくて、船内機で船体の真下にプロペラ(スクリュー)が着いてる。これってボートのすぐ後ろで滑るウェイクサーフィンにとってはとても安全なことなんです。
野村 トウイングボートが日本のマリン業界を変えられるというのは?
トウイングボートは日本では未発達ですが、世界的には売れてるんです。日本でもちゃんと販売していけば未来は広がると思っています。
ウェイクサーフィンを含めて幅広くマリンスポーツができるボートって、やはりトウイングボートじゃないですか。「キング・オブ・スポーツボート」。トウイングボートは、アメリカ人が考え出した最高のスポーツボートだと思いますよ。
野村 そうですね。確かに北米以外だとオーストラリアくらいで、いまだに専門メーカーは少ないですものね。日本でのターゲット層はどういった方々なんですか?
山下 本来、ぼくたちが狙っているのはファミリーユーザー層なんです。それには理由があります。一過性の「マリンレジャー」を、日本でも「マリンカルチャー」にしたいんです。カルチャーにするには家族で遊び、次世代が大人になってもボート遊びをしたいって思ってくれないと、マリンカルチャーにはならない。
山下 そうなんです。家族で遊びに来ていた人たちは息子さんが引き継いでくれています。でも家族を放ったらかしで自分だけでバブリーなボート遊びを楽しんできた人は、子どもが引き継いでくれない。
野村 バブリーなボート遊びとは違う、ゴルフみたいに健全なボート遊びにしないとダメってことですね。
山下 お父さんがウェイクサーフィンしているって言ったらカッコいいじゃないですか。ボートは価格もそれなりなので、なかなか若い人には手が出せません。でもお父さんの趣味がウェイクサーフィン、それなら子どもも、友だちを連れて来て楽しめます。だから、いきなり1億円のクルーザーを買う必要なんてないんですよ。
このクラスのボートを買っておけば間違いないんです。大きいボートは動かすのも大変なので、遊びやすいボートと二台持ちすれば良いんですよ。
野村 バブリーなクルーザー遊びではなく、ハードルは低めに。それでもちゃんと健全にカッコよくなれるってことですね。
野村 そもそもボート遊びはお金がかかるイメージがあると思うんです。
山下 都市伝説ですよ(笑)。実際問題、ボートはそんなにお金かかりませんよ。
資産として会社で所有していただき、社内や取引先の皆さんとの信頼関係を結ぶための“コミュニケーションツール”として使っていただけば、非常に効率的に買うことができます。
山下 20年くらい前までは祇園、新地、銀座で飲むのがステータスでした。そこで接待する延長のような形でボートを買う。それもある種のステータス。
会社に内緒、家族に内緒でボートを買うとか、結構多かったですね。でも今の若い人たちや、現在も乗り続けている人たちに、そういう方はほぼ皆無です。
ボート一台あれば週末に取引先の経営者の家族や、社員の家族を招待して水辺の非日常で一緒に遊ぶ。ちゃんと会社の中のレクリエーションとしてやってます。
取引先にとっても、社員にとっても、心に残りますよね。ここまでやって初めて会社の経費でボートをもてるんです。
野村 経費でボートをもつってハードル高いですものね。
山下 中小企業は外部環境の変化で景気が悪くなる時だってあります。そういう時に「景気悪いからボート売りましょう」ではなく、「社長、ボートだけは置いておきましょう。社員は、みんなボート遊びを楽しみにしてるんですよ」って言ってもらえて初めて本物なんです。
そうじゃないと、景気悪くなったら売られていくものです。生活に必要ないですからね。だからこそボートオーナーとその周りの人たちにとっての価値を上げてもらうことが大切です。そのためにもボートがある生活をつくり出していかないと。
野村 ボートのあるライフスタイルですね。
野村 とはいえ、センチュリオンも数千万円はしますよね。
山下 センチュリオンの場合、2年後に70%で買い戻す特約を付けたエリア限定販売もあります。
野村 70%はすごいですね。ボートって昔は新艇で買っても一年経つと半額って言われてたじゃないですか。
山下 ですよね。でも、ボートの状態にもよりますが、基本70%で買い戻しますよ。結局それくらいしないと、興味のある新規参入層に買ってもらえないんです。その層が買って初めてマーケットが拡がるんです。
野村 確かに既存のユーザーは黙ってても買ってくれますものね。
具体例を3500万円のボートを購入した場合で説明しますと、2年間で2625万円減価償却ができるので、法人税率が35%の企業だとおよそ918万円の償却メリットがあるということです。
さらに買い戻し特約を利用してもらえば、2年後に70%の2450万円で買い取ります。となると、ボートの実質負担は1050万円。918万円の償却メリットがあり、1050万円でボートを買うわけですから、実質132万円で2年間ボート遊びができてしまうというわけなんです。
野村 132万円を24カ月で割ったら1カ月いくらですか? って話ですね。
野村 日本のマリン業界のリセールバリューはちょっと異常でした。海外に比べて安くなり過ぎますよね。
山下 本当におかしいですよね。でも数が売れないから下取り価格を安くして、販売価格を高くするしかなかったんです。瞬間的に利幅は大きくなりますが、それではすそ野は拡がらない。マーケティング的に言ったら超悪循環に陥っているマーケットなんですよ。
10年先を考えたら、利益が少なくても、より多く売れるマーケットに成長する方が良いんです。そして、ユーザーの資産を守る意味でも、中古マーケットの価値を米国並みに維持するよう、センチュリオンについてはしっかりとした買取をするようにしています。
販売店さんの方針がそれぞれありますからそこはお任せしていますが、ある程度メーカーとして、買い支えることをしないと価値が落ちるじゃないですか。そのためにもメンテナンス体制の整っている販売店さんにお願いしています。
山下 オーダー時期にもよりますが通常3カ月~半年で入ります。
野村 早いですね。
山下 四半期ごとに10台前後の生産ラインを押さえてあります。7~9月からが第1四半期、3月に頼めば最終の第4四半期の後半分に間に合います。まだ仕様のオーダーは入れてませんので。
6月くらいには完成、シッピングを経て8月くらいには日本に入荷します。もちろんすべて、デポジットも入れてあります。
野村 ボートの世界でそれができているのはスゴいですね。
在庫持たないとボート屋ではないっていうのは業界の師匠の受け売りですけど、確かにそうだと思っています。在庫がそもそもないというのはお客様のニーズを満たしてるとは言えません。みんな夏になると、衝動買い的にボートが欲しくなるんですよ。リスクなくして拡張なしです。
これまでボート業界は特殊すぎるって言われていましたが、ほかの業界に学ぶべきこともあります。こんな楽しい遊び、もっと広めたいんです。夏、ボートが一台あるだけで、本当に人生変わりますよ。
野村 ありがとうございました。