2023.04.01
【第74回】
この人!と思ったオトコを狙い撃ち。恋愛ポジティブ女子のヤリクチとは
美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか? 「ワイングラスのむこう側」(cakes)で人気の林伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。
- CREDIT :
取材/林 伸次 写真/田中駿伍(MAETTICO) 文/木村千鶴 編集/岸澤美希(LEON.JP)
テーマは今どきの美女たちの”悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。
第74回のゲストは、里依紗さん(29)です。
あ、たぶんこの人私のこと好きだろうなって思っちゃうんです
「こんにちは! なんかちょっと緊張します(笑)」
── 明るくて話しやすい雰囲気のある人ですね。ここでは似ている有名人の名前を借りてニックネームで呼ぶことになっているんですが、仲 里依紗さんに似ているって言われませんか。
「あ、たまに言われます」
── では、里依紗さんでいきましょう。早速ですが、綺麗で明るくて、とてもモテてきた人だろうなと思ったんですが、「私、美人かも」って気づいたのはいつ頃ですか。
「今も気づいていません(笑)。でも私、高校3年生から男の人が途切れたことがないんです。いいなと思った男性には自分から積極的にいくタイプなんですが、それには、それなりの容姿でないと受け入れてもらえないはずだ、ってことには気づきました」
「いえ。これが私の恋愛の仕方としての始まりだったと思うんですけど、私『あ、多分この人、私のこと好きだろうな』って思い込んじゃうところがあるんです。それで彼にどんどんアプローチして、『これはもう絶対に私のこと好きだろう』ってタイミングで私から告白しました。ま、後から聞いたら『別に好きじゃなかった〜』って言われましたけど(笑)」
── アハハ、面白い! 彼のことは凄く好きだったんですか。それとも向こうが私のことを好きだろうと思った?
「その時は私の方が好きだったけど、こんなに一緒に遊んでくれるし、私もわかりやすくしてるんだから、多分あなたも私のこと好きでしょ?って感じです、感覚で言うと」
── なんか凄くいい。この連載でこんなにポジティブな人は初めてです。その後のお付き合いはどうなりましたか。例えば“高校を卒業するまでに初体験を済ませたい”と思う男子は多いんですが、里依紗さんはどうでしたか。
「私も大学進学の前に済ませたいなと思っていました。彼は初体験が済んでたので、さてどうしようかなと」
みなさんいいモノをお持ちでした(笑)
「うん、モテるタイプでしたね。カッコよくて背も高くて、頭も良いし、運動もできる、凄く素敵な人でした。元カノも可愛い人だった」
── 元カノの存在とかは気にならないんですか。
「完全に終わってるのはわかっていたので『今は今でしょ!』みたいな感じです。恋愛においてポジティブなんですよね」
── 先ほどからそれは感じています(笑)。彼とはどうなりましたか。
「彼は経験があるからというのもあるんでしょうけど、そういう関係に至る前からスキンシップが多いタイプだったので、自然とそうなった感じのはずですが……なんかあまり覚えていないですね。覚えていることがあるとすれば、凄く大きかったってことぐらいです(笑)。私が経験した人ってみんな、あの、いいモノをお持ちの方々で」
── そうなんですね(笑)。その彼とは大学生になっても付き合ったんですか。
「しばらくは。大学は別々でしたが、知らない間に彼がパチンコにハマっちゃって、学校に全然行かなくなってしまったんです。いろんな人に借金もしまくってたみたいで。それで、私の彼への気持ちは少しずつ冷めていったし、その間に始めた引っ越し屋のバイト先の人に心移りし始めていて。別れ話を切り出したら大号泣されてしまって」
「でも、彼の最後のひと言が、寂しいとかまだ好きとかじゃなくて『もうさせてくれないの』だったんですよ(笑)。え、そっち!?って思いました。『うん、もちろんできないよ』って答えましたけど」
── 凄く正直な人ですね〜。あの、バイト先になぜ引っ越し屋さんを選んだんですか? もっと楽で綺麗な仕事もあると思うんですが。
「仲良しの女友達が働いてたんですよ。それで一緒に働こうよってなって」
── 荷物も運ぶんですよね?
「そう、運びます。引っ越し屋さんのバイトは女子にもおすすめですよ。もちろん普通に体は動かさなきゃいけないけど、お給料も良いですし、周りは男の子ばかりだからみんなが『可愛い可愛い。荷物? 運ぶ運ぶ』ってチヤホヤしてくれるから(笑)」
── 男性ばかりの職場は、確かにチヤホヤされそうですね。
「そうですね、その時は『あ、女の子って優遇されるんだ、凄いな』って思いました。容姿ではなく、女の子であるということに何か得を感じた時期でしたね。あ、でも同時期にしていた小料理屋のバイトでもよく声をかけられました。それで“それなりにモテるのかな”と気づきましたね。私のコミュニケーションの仕方もそうだと思うんですけど、要素があるのだろうなって」
尽くすのは好きでやっていること。それに乗じてダメにならないでほしい
「はい、毎回狙い撃ちです」
── やっぱりそうなんだ。どんな人を好きになるのか、傾向はありますか。
「ダメな人? いやこれ、どうなんだろう。逆に聞きたいんですが、例えば、人は誰しもダメな部分を持っているじゃないですか、根底には。それをなんとか黙らせて、気持ちを奮い立たせて仕事したり、人間関係を築いたりしてると思うんです」
── はい、そうだと思います。
「その根底の部分のダメさを、なんかこう、私が引っ張り出している可能性はなくもないのかな、と」
── なんとか普通にやってきていた男性の、そのダメだった部分を引き出してしまうような気がしているんですね。ご自身でそれはなぜだと思いますか。
そして、人のすることにあまり興味がないんですよ。“あなたはあなた、私は私”という考えが強いタイプ。それを“優しくて何でも許してくれる人”と思われてしまい、私の心の中では相手がどんどん減点されていって、最終的に大爆発して突如別れるっていうのが、いつもの流れなんですよ」
── あ〜それは困ります。ちゃんと減点されてるって言っておいてほしいです。
「そうですよね。『いつそんなこと思ったの?』ってよく言われますから。だから相手に大泣きされる」
── 相手の男性は尽くしてくれていると勘違いしてしまい、別れる時まで原因がわからないんですね。
「そう。あれもこれもやってくれるって思われることに対しての不満はないんです。『そんなに尽くすのやめなよ』と友達に言われるけど。そうじゃない。やりたくてやってるんだから。そこに乗っかってダメ男にならないでよ!っていうのが本当の気持ち。だから今は、そこに負けないような人を探しています」
── その後の男性遍歴については、後編で詳しく聞かせて下さい。
後編に続く。
■ bar bossa(バール ボッサ)
ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
営業時間/月〜土 19:00〜24:00
定休日/日・祝
問い合わせ/TEL 03-5458-4185
● 林 伸次(はやし・しんじ)
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CD ライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセー「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか』(旭屋出版)、『大人の条件』(産業編集センター)。最新刊は『結局、人の悩みは人間関係』(産業編集センター)が好評発売中。