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2023.04.29

土田晃之が語るマンガの魅力「ランバ・ラルのカッコよさに大人になって気付いた」

マンガは、人生を豊かにするのに欠かせないスパイス。子どもの頃からずっとマンガを愛読してきたというお笑い芸人・土田晃之さんに、自身に多大な影響を与えた作品、さらに、今、大人にオススメの作品などについて聞きました。

CREDIT :

写真/内田裕介(Ucci) 文/吉田 巌(十万馬力) 編集/岸澤美希(LEON.JP) 衣装協力/ナイーブ マジック(株式会社エー・アイ・エム)

マンガが色んな世界を教えてくれた

土田晃之 大人 マンガ
マンガの中には、退屈な日常を忘れさせてくれるファンタジーもあれば、現実をとことんリアルに見つめた作品もあり、ときに自分が知らない世界の知識も深めることができる……。言わばマンガは、笑いあり学びありの人生を豊かにしてくれるテキスト。もちろん、モテるためのテクだって得ることができます。

今回は芸能界きってのマンガ好きで知られる土田晃之さんに、その魅力を伺いました。冷静かつシニカルなツッコミで笑いを生む彼の性格はどんなマンガで育まれたものなのか? そして今注目している作品は? 久しぶりにマンガの沼にハマりたい方は必読です!
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子どもの頃に夢中になったマンガを大人買い

── 土田さんが最初にマンガと出会ったのはいつですか?

土田晃之さん(以下、土田) 最初に買ってもらったマンガの単行本は『ドラえもん』(藤子・F・不二雄、小学館)でした。母親に4巻と16巻を買ってもらって。1巻から買わなかったのは、幼すぎてマンガが続きものだということを知らなかったから表紙で選んで。その頃はひたすら絵だけを見て楽しんでました。

だから、マンガをストーリーとして読む楽しさを知ったのは、小2で読んだ『キン肉マン』(ゆでたまご、集英社)からですね。近所のおにぃちゃんに勧められて読み始めて、アッという間に虜になった。そこから『キャプテン翼』(高橋陽一、集英社)や『北斗の拳』(原作 武論尊、作画 原哲夫、集英社)、『Dr.スランプ』(鳥山 明、集英社)にもハマっていった。

── みんな週刊少年ジャンプですね。

土田 ボクにとっては小学生時代のジャンプの布陣が一番凄かった。人気テレビアニメの原作がたくさん掲載されていましたから。最近は、そんな当時にハマったマンガをもう一度集め直したりしています。“大人のマンガ”って、昭和のマンガを大人買いすることなのかなと思ったりしています(笑)。
── 当時のマンガを読んで、子どもの頃の感動が蘇ったりします?

土田 そりゃあ、もちろん。たとえば『北斗の拳』で、南斗水鳥拳のレイが「てめぇらの血は何色だーっ!」て叫ぶシーンは今見ても痺れます。やっぱ、自分が多感な時に読んだものって、いつまでも面白いんですよね。それをもう一度買って。

最近だと電子書籍が増えてタブレットに全部入るので、いつでもどこでも読めて良いなと思います。最近では『ガラスの仮面』も電子書籍で買い揃えました。

── 昔のマンガを大人の目線で読み直した時に新たな感動や発見はありませんか?

土田 基本的には昔の感動をなぞっている感じですね。それでも忘れている部分が相当あるので、楽しめます。あ、そういえば『ガラスの仮面』に関してはちょっとした発見があったなぁ。ストーリー的には数年間のお話なのに、連載はボクが幼稚園に入る前から始まってるんですよね。 だからマンガの途中で登場人物たちの使う電話が黒電話からいきなりスマホに変わる(笑)。気づいた時は衝撃でした。
▲ 近年ではもっぱら電子派になったという土田さん。iPadを持ち歩き、移動中などいつもマンガをたのしんでいるのだとか。
▲ 近年ではもっぱら電子派になったという土田さん。iPadを持ち歩き、移動中などいつもマンガを楽しんでいるのだとか。
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マンガに影響されまくりな少年時代。ヤンキーマンガなんて流行らなきゃよかった(笑)

── 土田少年が夢中になったマンガ作品について、もう少し教えていただけますか?

土田 ボクの人生は本当にマンガに影響されてます。小学校の頃に友達に『キャプテン翼』を貸してもらったことからサッカーを始めて……。中学校入ってもサッカー部に入るつもりだったんですけど、ある日同じクラスの子が『タッチ』(あだち充、小学館)を貸してくれて、それで普通に何の迷いもなく野球部に入っちゃった(笑)。

ただ、練習で怪我をした日にいつもより早めに帰宅したら、TVで『夕やけニャンニャン』(フジテレビ系列)をやっていて、それがめちゃくちゃ面白くて、野球部はやめてしまった。

で、暇を持て余していたところ、友達が『ビー・バップ・ハイスクール』(きうち かずひろ、講談社)を貸してくれたんです。こういう世界もカッコいいなと感化されて、太い学生ズボンを買ってきておそるおそる履いてみたんですよね。そうしたら先輩に速攻で「調子乗ってんのかっ」ってマジの壁ドンされましたけど(笑)。

── ヤンキーの先輩に怒られるって、そんな時代もありました。土田さんはヤンキーマンガについても詳しいですよね。

土田 あの頃はヤンキーマンガが多かったです。もう少し後には『バッドボーイズ』(田中宏、少年画報社)も始まった。こっちはめちゃくちゃリアルな話で、作者の田中宏先生が広島で実際に体験していたことを漫画に落とし込んでいたんですよね。

高橋ヒロシ先生の『クローズ』(秋田書店)とか『ワースト』(秋田書店)のシリーズも相当好きですね。ギャグセンスも良いし、抗争のシーンはとても熱くなる。あと女性がまったく出てこない硬派な世界観も当時は憧れました。

今思い返してみれば、「あんなのは流行らなきゃよかったのに」と思うぐらいだけど、でも当時は確実に魅力を感じて、みんな影響を受けていた。ヤンチャな方がモテたから(笑)。パーマをかけたり、改造学生服着たりして。ファッションヤンキーでしたね。
▲ ヤンキーマンガから得た知識を披露してくれた土田さん。その内容は秘密(笑)。
▲ ヤンキーマンガから得た知識を披露してくれた土田さん。その内容は秘密(笑)。
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緻密な取材が生かされた近年の作品も魅力的

── 土田さんはサッカーもお好きですけど、サッカーマンガはどうですか? 先ほども『キャプテン翼』に触れていましたが。

土田 かなり読んでる方だと思います。最近の作品だと『ジャイアント・キリング』(原案・取材協力 綱本将也、作画 ツジトモ、講談社)も好きですね。最初は監督が主人公のお話と思ったら、群像劇なんですよね。選手、フロント、サポーター、カメラマンと、いろんな視点でサッカーを多角的に描かれていて面白いなと思います。

女子の高校サッカーを題材にした『さよなら私のクラマー』(新川直司、講談社)も好き。読んでて熱くなれるし、女子がサッカーをやるってこういうことなんだ、と理解が深まりました。あと、舞台が埼玉県だから、そこもボクには親近感があって良かったです。モチーフとしている高校もなんとなくわかりますから。14巻で終わるんですけど、え、そこでおしまいなの!?という感じのラスト。それも込みで良かったですね。

── 昔と今のマンガを比べて、思うことはありますか?

土田 『さよなら私のクラマー』もそうですけど、今のマンガって、めちゃめちゃ取材して書いているのがスゴいですよね。なんか嘘がないというか……。昔のマンガは嘘が多いというか、ファンタジーの世界ですよね。あれはあれで好きですけど。
▲ 最近のイチオシは『平和な国の島崎へ』(原作:濱田轟天・漫画:瀬下猛・講談社)。
▲ 最近のイチオシは『平和な国の島崎へ』(原作 濱田轟天、漫画 瀬下猛、講談社)。
── ほかに最近ハマったマンガを教えていただけますか?

土田 ベタですが、『チェンソーマン』(藤本タツキ、集英社)や『SPY×FAMILY』(遠藤達哉、集英社)とか、話題作は大抵読んでいますね。

直近だと、まだ2巻までしか出ていませんが、『平和な国の島崎へ』(原作 濱田轟天、漫画 瀬下猛、講談社)が面白いです。幼少期に母親と乗っていた飛行機がハイジャックされ、中東の架空の国で兵士として育てられた男の話なんです。彼が平和な日本に戻ってきて、一生懸命なじもうとしながら生きていくんですけど……。シリアスな話ですが、ほっこりする部分もあり、こんな題材をよくぞ持ってきたなという話です。

あとアニメ化・実写映画化もされましたが、『惡の華』(押見修造、講談社)も好きです。作者の押見修造先生は群馬県の桐生出身で、どこか閉塞感のある片田舎を題材にすることが多くて……この方の作品は結構好きですね。

── そういうふうにフォローしている作者ってけっこういるんですか?

土田 サバイバルマンガの『ドラゴンヘッド』(講談社)で知られる望月峯太郎先生とか、『行け!稲中卓球部』(講談社)や『ヒミズ』(講談社)の古谷 実先生とか、たくさんいますね。

── ヤンキーマンガの流れなのか、ダークな要素のある作品がお好みなんですね。

でも一方で、最近改めて感じるのが、あだち充先生の凄さですね。70歳を超えても、連載中の『MIX』(小学館)は文句ナシに面白い。なんでいまだに読者をときめかせる青春マンガが描けるんでしょう。ミュージシャンでいうとサザンの桑田さんみたいな存在なのかなと思います。
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オヤジになって気づいたランバ・ラルのカッコよさ

▲ 『機動戦士ガンダム THE ORIGINE』(原案:矢立肇・富野由悠季・作画:安彦良和・角川書店)
▲ 『機動戦士ガンダム THE ORIGINE』(原案 矢立肇・富野由悠季、作画 安彦良和、角川書店)
── LEON.JP読者におすすめのマンガを選ぶとしたら何でしょう。

土田 モテたいオヤジにオススメの本ってことですよね。だったら『機動戦士ガンダム THE ORIGINE』(原案 矢立肇・富野由悠季、作画 安彦良和、角川書店)はどうですか? アニメの『機動戦士ガンダム』の過去を、当時作画監督を務めた安彦良和先生がコミカライズしたものです。

ここに出てくるランバ・ラルがとにかく良い。子どもの頃はシャアやアムロにしか目がいかず、「なんだこのずんぐりむっくりしたオヤジは」って感じでしたが、大人になってみると、このオヤジが半端なくカッコいい。男気もすごくあって、内縁の妻のハモンさんとの関係性もイイんですよね。モテるオヤジってこういう男だなと思います。

── 土田さんにとってマンガとはどんな存在なのでしょう?

土田 なんなんでしょうかね……。今の子どもたちにとってのスマホやタブレットと同じく、生まれた時から普通にあるものなので……。ひとつ言えるのは、マンガがなかったらボクは相当空っぽだったなということ。

ほら、子どもの頃って「読書をしなさい」ってさんざん言われるじゃないですか。でもボクは全然本を読まなくて、今でも読む気にならない。字ばっかだと頭に入ってこないんです。でも、絵の助けがあれば『キングダム』(原泰久、集英社)みたいな壮大な歴史モノも読める。

本当は文面だけで頭の中で映像を思い浮かべる方が良いんでしょうけど。そういう能力ないんで。マジでマンガがボクを大人にしてくれたと思います。
● 土田晃之(つちだ・てるゆき)

● 土田晃之(つちだ・てるゆき)

1972年生まれ。1991年にお笑いコンビU-turnのメンバーとしてデビュー。コンビ解散後はソロで活動。ニッポン放送「土田晃之 日曜のへそ」をはじめ、数多くのテレビ番組や雑誌連載、著書を出版するなどマルチに活動している。

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