2023.06.04
【第77回】
美女が語るマッチングアプリの使い方「9割好みの相手に出会えます」
美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか? 「ワイングラスのむこう側」(cakes)で人気の林伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。
- CREDIT :
取材/林 伸次 写真/椙本裕子(YUKIMI STUDIO) 文/木村千鶴 編集/岸澤美希(LEON.JP)
テーマは今どきの美女たちの”悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。
第77回目のゲストは、前回に続いて蜜子さん(39)です。前編では、高校生の頃のオトナの男性との恋愛や、元夫とのエピソードを聞かせていただきました。後編では、離婚後の“割り切った恋愛”について伺います。
マッチングアプリで割り切った相手を探しています
「マッチングアプリです」
── マッチングアプリをどうやって利用されていますか。今のマッチングアプリの実情が知りたいんです。
「それなら私は適任だったかもしれませんね(笑)。マッチングアプリを利用しすぎて分析ができたせいか、今では自分の好ましい相手にお会いできる確率が9割になっています。でも、私は本気でお付き合いする人を探しているわけではないので、役には立たないかもしれませんよ(笑)」
── 良いんです。その、素敵な男性を見分ける方法を聞いても良いですか? LIKEをくれた人と会うんですよね?
「ハイブリッドと言いますか、興味を持ってくれた人の中から見つけ出すのに加えて、自分から探しに行く感じかな。利用者数が多いので検索が難しいんですよ。私はまず場所を限定します。自分のホームエリアの方が気持ち的にリラックスしてお会いできるのと、行動エリア外だと“今から会う”となっても会うまでに時間がかかって気軽さがなくなるから」
「そして私は、その日にピンポイントで会える人を探します。そこから年齢、居住地などの行動エリア、あとはNGエリアです。例えば『人混みが苦手なので新宿はNGです」とか。そうすると人数はかなり絞れるので、その中から雰囲気が良いなと思う方を見つけます」
── NGエリアが必要なんですか。
「はい、それで感性の一致が見られるから。共感できれば『あ、なんかわかる。ここは行きたくないよね。この人は同じ感覚をもってるかもしれないな』ってなる。趣味とか休日の過ごし方よりも参考になります」
── 凄く勉強になる。趣味や休日何してるかはあまり関係ないんですか。
「だって、男と女なんだからそもそも違うじゃんって思います。たとえば、釣りが趣味だって書いてあったとして、それは共有しなくても良いでしょう。私の場合はNGエリアを見ると合致する人が結構います。あとはタイミングと、縁」
── 確かに、何万人もいたら効率よくフィルターにかけた方が良いですね。それで今日会いましょうとなって、即日食事に行く?
「はい、行きましょうって」
基本的に、「今この時間が最後の逢瀬」と思って楽しむ
「良いと思えば行きますよ。そこに躊躇はないです。たとえば、食事をしてお酒が入って会話のキャッチボールがちゃんとできて、さらに、突っ込んだ話をしてもちゃんと返してくれる。コミュニケーションの手応えがあれば、セックスしても違和感はないはずなんです」
── おお。そういうものなんですか。
「性行為はコミュニケーションの延長線上という概念がありますが、それには同意です。こちらの質問の意図を汲み取れない、会話のキャッチボールがうまくいかない場合は、しても大したことないと思う。大したことないっていうのはお互いにね、相手のテクニックとかの問題じゃなくて」
── ちなみに「この男はないな」と思ったら、ご飯だけで帰ることもあるんですか?
「もちろんあります。半々くらいですね。会話が面白くても自分のストライクゾーンに入らないとしません」
── 全員が好ましいわけじゃないんですね。相手の男性が既婚者かどうかは気になりますか。
「そういう事情には入り込みません。例えばですけど、相手に『自分は既婚なんだけど、都合の良い相手が欲しいんだ』って言われても、知らないし聞いてないからそれって思いますよ(笑)」
── 既婚者だからダメも良いもない。そういうことは蜜子さんにとって関係ないんですね。
「私は基本的には、今のこの短時間が最後の逢瀬だと思って会っているんです。別に恋愛してるわけじゃないし、次があるとも思っていない。これが一期一会最後の出会いみたいな感覚でお互い接したら、めっちゃ楽しいんです」
出会ってすぐの短時間も楽しめない相手とは、先なんてない
「そうそう、そこに自分のパワーを全力で使えたら“すっごく楽しい! チャンチャン”で終わるんですよ。結婚してるかしてないか、仕事は何かなんてバックグラウンドは何も関係なくて、逆に本質だけが見える」
── 確かに、そこには趣味も何も関係ないですね。ちなみに、その後は朝までいるんですか。
「帰ります。ワンナイトでも頻繁に会う人でも、その時間は全力なので、寝ちゃうと夢が覚めてしまう」
── ファンタジーだ。
「この遊びの感覚がわかる同士だったら、呼応して同じ時間を全力で楽しんでくれる。刹那だからこそ充実した良い時間になる。それが永遠に続くと思った場合、まあまあ普通の時間を過ごしてしまうと思います。でもね、お花も1週間が美しいのです」
── なるほど、そう考えるんですか。一般的には、アプリで長い関係の恋人や結婚相手を探す人が多いと思うんですが。
「私のような使い方をしている女性は少数かもしれません。もちろん続く関係になる人もいます。でも出会ってすぐの短時間も楽しめない相手だったら、先なんてないですよね。それが私の持論です」
── いや~もうおっしゃる通りです。してみたけど相性が良くなかったな、思ったより楽しめなかったなってことはありますか。
「身体の相性は関係ないかな。相性なんて寄せられるんですよ、いくらでも。間合いとかタイミング、その人の好きそうなことなどは寄せていけます。相手に『相性めっちゃイイ』とよく言われるんですが、めっちゃ寄せてるよって思ってる(笑)」
── そういうことができるんですか。うまいヘタはわかるものですか? たとえば食事の時点でわかるとか、あるいはそんなことないのか。
キスの感覚が合う人との行為はまるで会話のよう
でも、具体的にはキスの仕方で好みがわかる気がします。キスをしない人、軽めのキスをする人、軽いのと濃厚なのを交互にする人、濃厚なのしかしない人、大きく分けるとこの4つ。濃厚なのとちょっと軽めなのを良い具合に出せる人は、慣れてるなと思う。うまいというより慣れている。つまりは女性を知っているなと」
── 素晴らしくわかりやすい。ありがとうございます。
「キスの感覚が合致している人って、セックスが会話みたいなんですよ。それこそ自分が寄せていかなくても、相手も寄せなくてもキャッチボールしている感じでできる」
「はい、感覚がすごく似ていて何でも話せる方がいます。他の人とのデートの話もお互いしますが、一緒にいる時は男女として楽しもうねと。その人とは週1くらいのペースで会います」
── 恋人にはならないんですか?
「恋人にはならないです。まずお互い見ているものが違う。そしてどちらも結婚や真剣な交際に向いていない、その感性が理解できているから、そういう意味で理解できちゃうってことは、恋愛には発展しないんですよ。それでも会っている時にはめちゃくちゃ楽しい」
── 彼を独り占めしようとかは思わない?
「全然思わない。だから、相手にとっても私は良いんだと思います」
── 言い方が悪かったら申し訳ないけど、凄く楽だと思います。
「私も本当に心からそれで良いと思ってるの。さばさばした女性ってどっか我慢していて、自分を押し殺してる感じがするじゃないですか。やっぱりどうしても情が移ったりってあるかなと思うんですけど、私はそういうことにあまり動かされないから」
── 自然とそうなんですね。今日はとても勉強になりました!
【林さんから〆のひと言】
■ bar bossa(バール ボッサ)
ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
営業時間/月〜土 19:00〜24:00
定休日/日・祝
問い合わせ/TEL 03-5458-4185
● 林 伸次(はやし・しんじ)
1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CD ライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセー「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか』(旭屋出版)、『大人の条件』(産業編集センター)。最新刊は『結局、人の悩みは人間関係』(産業編集センター)が好評発売中。