2023.06.24
【お宅拝見!】猫のためにおウチをリノベーション!?
全国の推計飼育頭数は犬が705万3000頭、猫が883万7000頭。つまり、犬よりも猫を飼う人のほうが多く、ペットというよりコンパニオン・アニマル(伴侶動物)になっている。そんな猫のためのリノベーションを拝見!
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文/山本久美子(住宅ジャーナリスト)

猫を偏愛する人の究極の猫リノベが増加中?

ペットフード協会によると、全国の推計飼育頭数は犬が705万3000頭、猫が883万7000頭だ。いまは犬よりも猫を飼う家庭のほうが多く、ペットというよりコンパニオン・アニマル(伴侶動物)として家族の一員となっている。
そのため、家で暮らす人にとっても猫にとっても、快適な空間にしたいと考える人が多く、リノベーションでそれを実現したいということのようだ。実際に猫を飼っている人ばかりでなく、今後猫を飼いたいのでリノべーションしておきたいという人も多いという。
猫リノベに欠かせないキャットウォーク
猫は頭が通れば狭いところでも通り抜けができるので、飼っている猫2頭がすれ違えるような幅の板でキャットウォークを作った。合わせて、視線を遮る場所も必要なので、キャットウォークに物陰となる穴の開いた板を部分的につけている。

猫は上り下りの運動ができることが大切で、キャットウォークに長さは必要ないそうだ。Mさん宅では段差のある複数の棚やステップを付けて、上下運動できる場所を設けている。
「臭いがするトイレの設置場所」も気になるところだ。Mさん宅では、換気扇のある脱衣所に猫用トイレを設置し、脱衣所の扉にアーチ形の猫用扉を開けた。また、脱衣所の床を手入れがしやすい塩ビタイルにした。

猫を飼っている人の悩みで意外と多いのが、「猫の毛が洋服についてしまう」というもの。Mさん宅では、ウォークインクロゼットや納戸を猫が入れない玄関側に集中させることで、衣類に猫の毛がつかないように、重要な本や書類にイタズラされないように、といった工夫をしている。


危険から猫を守ることも猫リノベのカギに



なお、こちらの事例もキャットウォークとステップを付けた。LD上部のキャットウォークの通路と隣室の間の壁は、あえて透明ガラスの窓を入れ、猫は隣室の様子もガラス越しに見ることができるようになっている。

肉球や猫のカワイイ姿を飼い主だって見たい!
とくに、肉球がはっきり見えるので、飼い主のハートはわしづかみされる。前田さんによると、アクリル板だと傷がつくので強化ガラスのほうがおすすめだそうだ。
そして、もう1つが猫ボウル。キャットウォークに猫ボウルを組み合わせた猫リノベを紹介しよう。猫は丸いものが大好きなので、ここにすっぽり入る姿を下から見ることができる。ただし、猫が入ったときに落下しないよう、ボウルをはめる集成材に高い加工精度が必要だったりと、安全性を考慮して制作する必要があったという。


猫リノベにどんなデメリットがある?
なので、猫リノベをしてデメリットになるのは、「売るときではないか」と前田さん。猫仕様になっているので、買い手が猫好きであれば取引がスムーズに進むだろうが、猫を飼わない人の場合に売りづらくなる可能性がある。
こうしたことを考慮して、猫用ステップを本棚として使えるように配置したり、マグネット式の着脱できる棚にしたりといった事例もあるという。また、家具会社も猫仕様のものを増やしているので、造り付けでなくキャットタワーのような家具を設置するといった方法もあるだろう。
猫は家族同様の時代。猫が快適に暮らす様子を見れば、飼い主もうれしいはず。今後も猫リノベは、ますます増えるのではないか。とはいえ、家の広さやリノベーションの費用に限りはあるので、人の快適さと猫の快適さのバランスをどう取るかが、猫リノベの成功のカギになる。