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2023.07.02

【第78回】

アイドルを目指した美女のその後「ちゃんとお金を稼げる人になりたかった」

美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか? バーのマスターであり、大人の恋愛に関する著書を執筆する林 伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。

CREDIT :

取材/林 伸次 写真/田中駿伍(MAETTICO) 文/木村千鶴 編集/岸澤美希(LEON.JP)

『ワイングラスの向こう側』(KADOKAWA)でおなじみ、奥渋谷のバー「BAR BOSSA」(バール・ボッサ)のマスターにして作家の林伸次さんが、バーテン仕込みの絶妙な話術でさまざまな美人さんの本音を聞き出す連載です。

テーマは今どきの美女たちの”悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。

第78回目のゲストは、麻衣さん(28)です。
連載 美人はスーパーカーである 大人 恋愛
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中学生時代が最大のモテ期でした

── 初めまして、林と申します。今日はよろしくお願いします。

「よろしくお願いします。こういうの初めてなので、なんか緊張しますね(笑)」

── 気楽にお話ししましょう! ここではニックネームで呼ぶことになっているんですが、誰かに似ていると言われたことはありませんか。


「え~、誰だろう。あ、白石麻衣さんに似ていると言われたことがあります」

── では麻衣さんと呼ばせてください。早速質問していきますね。初めて彼氏ができたのは何年生でしたか。

「中2です」

── 中学生でもう付き合っている人がいたんですね。中学生の時から結構モテてました?

「めちゃくちゃモテました(笑)。でも中学がピークですね。私は派手でもなく、地味でもないといった感じの子だったんですが、その頃20人くらいに告白された記憶があります」

── え、凄い。20人くらいに告白された中で、その男子に決めた理由は?

「話したことが全くない人だったんですよ。だから知ってみたいなって思ったんです」

── 中学生のお付き合いって、どういうところまで進むんですか?
連載 美人はスーパーカーである 大人 恋愛
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「友達はデートして映画観てチューした、とか言ってましたね。でも、私たちはしてないです。手をつないだくらいでしょうか」

── 手をつないだだけだったんですね。中高生の女子の経験値って、男子がどこまで悪いかによるみたいなんです。女性は特に、相手の流れに任せる、嫌だったら断るっていうのが基本なんで、相手の悪さとか慣れ具合でいろんなことが決まってしまうと。

「確かに、チャラい人と付き合うと早いですよね。相手の流れに任せるという感じになりがちなのもわかります」

── 高校生ではどうでしたか。

「恋愛はそんなに活発でもなかったです。部活を掛け持ちして熱中していたのもあるかな。私、音楽が大好きなんです。小さい時にのど自慢の大会に出て、市のグランプリを取ったこともあるんですよ」

── 子供の頃から歌が得意だと、アイドルに憧れたりはしなかったんですか。

「ずっと憧れていて、オーディションを受けたこともあるんですけど、ダメでしたね(笑)。なので普通の女子高生としてバンドを組んで楽しくやっていました」

── そのままバンドでやっていこうとは思わなかった?

「憧れはありましたけど、ちゃんとお金を稼げる人になりたかったから」
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大学生では恋愛は二の次でした

── 高校生からしっかりしていたんですね。大学には進学したんですか。

「進学しました。でも大学での恋愛については、グレーゾーンみたいな関係の人はいましたが、彼氏が欲しいとは思っていなかったので、記憶に残っている人はいないです」

── えっ、彼氏が欲しいとは思わなかったんですか。その頃って、バレンタインとかクリスマスとか、ディズニーランドで一緒に過ごすとか、そういうことに憧れるものだろうと思っていたんですが。

「あまりなかったですね。ただ食事にはしょっちゅう行っていましたし、短い間に付き合う形になるのはありました。多分、私は他にやりたいことがあったから、恋愛は二の次だったんだと思います」

── どんなことがしたかったんですか。

「海外で働きたくて、大学2年生の時に1年間休学してカナダに渡り、ワーキングホリデーのビザで働いていました。私にはホテルを経営したいという夢があって、そのために語学もそうだし、海外のホテルマネジメントなどを学びたかったんです」
連載 美人はスーパーカーである 大人 恋愛
── どうしてホテルなんですか?

「人間の生活にコミットする仕事をしたいと思ったから。衣食住は人間としての営みの根幹ですから。元々旅行が好きで、日本という国も大好きだし、海外も大好きだし、それぞれに違った良いところがありますよね。だからいろんな場所を見てまわって、自分らしいホテルを作りたいなと思ったんです」

── カナダでは最初からホテルで働いたんですか。

「最初は職も住むところも決めていない状態で行ったんです。高校2年生の時にカナダに交換留学をした経験があったので、なんとかなるでしょうと思って(笑)。住む場所はすぐ決まりましたが、ホテルの仕事には全然受からなくて、日本食レストランで半年くらい働いていました。その間にビジネスカレッジに通って、ホテル経営の資格に当たるものを取って」

── 凄いなあ。バイトしながらビジネスカレッジに通って、夢を追いかけたんですね。

「はい、カレッジが終了してからは、本当に働きたかった都市にある五つ星ホテルで働くことができました。日本の大学に通っている時は留学するために頑張っていたので、恋愛にはあまり興味がなかったんですよね」
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カナダ人の彼と付き合う中で感じた悔しさ

── そうか、一生懸命勉強していたらそうなるかもしれませんね。カナダで恋愛はしましたか。

「カナダ人の彼ができました。ウォーターフロントでベンチに座って本を読んでいたら隣に座ってきて、コーヒーに誘われて。そこからお付き合いが始まりました」

── 出会って1日目にそういう話になったんですか?

「文化的には付き合おうとかは言わないんですけど、『来週空いてる? 会おうよ』みたいな感じで、カレッジに通っている半年間はずっと恋人の関係でしたね」

── 彼は一人暮らしで?

「大きいお家を何人かでシェアして暮らしていました。めちゃくちゃいい人で、優しくて、日本語を学びたいからって、日本語でお手紙を書いてくれたことも。凄くロマンチックで、親にも紹介してくれるような真面目な人でしたね」

── ピュアで良い人だったんだ。悪い人じゃなくてよかった。今も彼と連絡を取り合ったりするんですか。
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「いえ全く。その半年でお終いになりました。やっぱり私にちょっと遠慮してる感じだったのかな、易しい英語で話しかけられている感じがちょっと気に食わないというか、悔しいなと思ってしまって」

── え~、気に食わない(笑)! どういうことなんでしょう。

「自分の本音で話したくても、知っている単語でしか表現できないのが悔しかったんです。彼には普通に話されると聞き取れないし。そのままふわふわしていれば彼と結婚する道もあったのかもしれませんが、私には国際恋愛は違うかなと思いました。そもそも英語は好きだし結構自信があったので、ネイティブにはなれないことを知って余計に悔しかった」

── 負けず嫌いで良いですね。

「海外で仕事をするのも夢だったけど、何回も挫折しました。お客さんに『あなた、英語もロクに話せないのに何で働いているの』と言われたこともあったなあ(笑)。それなら母国語で勝負した方がいいだろうと思い、帰国して、自分の周りの人を幸せにする仕事や生活がしたいと思ったのが20歳くらいですね」

── 20歳でそんなことを考えるって凄く濃い人生ですね。それでは後編で最近の恋愛について聞かせてください。

後編に続く。
bar bossa(バール ボッサ)

■ bar bossa(バール ボッサ)

ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町41-23 第2大久保ビル1F
営業時間/19:00〜24:00
定休日/日・祝
TEL/03-5458-4185

● 林 伸次(はやし・しんじ)

1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CDライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセイ「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)、『なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか』(旭屋出版)、『大人の条件』(産業編集センター)。最新刊は『結局、人の悩みは人間関係』(産業編集センター)。

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