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2023.07.21

カンニング竹山「自分の人生、マックスであと30年。だったら、やりたいことをやっちゃおう」

目まぐるしく時代が変化しているなか、モテるオヤジはどうあるべきか? 過去の価値観にとらわれず、しなやかにしたたかに現代を生き、男女を問わず皆に好かれる「愛されオヤジ」たちをご紹介する本特集。今回は芸人のカンニング竹山さんの登場です。

CREDIT :

文/牛丸由紀子 写真/内田裕介(Ucci) 編集/森本 泉(LEON.JP)

【愛されオヤジ02】カンニング竹山さん(芸人)

愛されオヤジは仕事が遊びで遊びが仕事

カンニング竹山 LEON.JP
モテるオヤジのありようは当然ながら時代によってさまざまです。ジェンダー平等が叫ばれパワハラ&セクハラに厳しい目が向けられる現代にあって、ひとりよがりのアピールはモテないどころか社会的地位さえ危うくしかねません。今求められているのは他者に対する共感と、それを可能にする心のゆとり。それさえ持っていれば、多少突っ込みどころがあろうと(むしろある方が?)皆に愛されるし、結果モテるってもんです。

そんなリアル「愛されオヤジ」たちを紹介していく本特集。今回お話を伺ったのは、芸人のカンニング竹山さん。テレビや舞台ではキレキャラで毒舌を吐きながらも、なぜかその言葉が刃にはならず、思わずクスっとさせられることもしばしば。人情味を感じさせるコメントに共感するファンも多く、まさに芸人界の“愛されオヤジ”です。

竹山さんにはキャンプや飛行機、競馬にツーリングなど、多彩な趣味が。ただし趣味を本当に楽しめるようになったのは、40代後半からだそう。この7月発売された著書「カンニング竹山の50歳からのひとり趣味入門」(ポプラ社)では、それらの趣味との出会いや楽しみ方が紹介されています。そこで竹山さんの趣味や仕事への向き合い方をお聞きしながら、愛されオヤジたる秘訣を探ってみました。

仕事と遊びに境界線はなし!

もともと趣味は苦手だったという竹山さん。仕事も多忙な中、どう遊んでいいかもわからなかったと言います。転機になったのは40代の頃。先輩である木梨憲武さんやヒロミさんたちと遊ぶようになり、彼らが徹底して人生を楽しむ姿に触れた経験から。
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「ハワイの遊び方やお酒の飲み方などあらゆることを教えてもらいました。皆さんとにかく自分の好きなものをとことん楽しんでいる。木梨さんなら絵や歌、ヒロミさんならクルマやキャンプなど、それがもう趣味以上のものになっているんですよね。オジサンになってきたら、こういうふうに生きていけばいいんだなと思いました」

それ以来、仕事と遊びに境界線を設けず、仕事でも遊びでも自分の興味の琴線に触れたら、やってみて楽しもうという考えに。

「仕事と趣味をオン・オフというように分けるのがすごく嫌いなんです。全部オンでいいし、全部オフでいい。極端に言えば、仕事も全部遊びだと思って楽しめばいい。生きていること自体が全部趣味と言えるかもしれません(笑)」

著書の中で紹介される趣味は「競馬」「飛行機」(模型作りから鑑賞、研究、操縦まで)「酒」「キャンプ」「野球・アメリカンフットボール鑑賞」「バイクとツーリング」など多種多様。一般的なオヤジ世代は仕事も多忙だし、没頭できるようなたいした趣味なんてないという人も多いかもしれませんが、竹山さんはもっと気軽に考えるべきとアドバイスします。
「3日坊主という言葉で中途半端を嫌うように、日本人って趣味は突き詰めなきゃ駄目だと思っているんですよね。でも突き詰める必要なんかない。やってみて嫌だったら辞めればいいだけだから、飽きちゃってもいいんですよ(笑)。それでやりたくなったらまた始めればいい。“趣味”ってそういうものだと思います」
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かつては芸人なんだからとか、まだ若造なんだからと考え、自分もブレーキをかけていた部分もあったそう。でも年齢を重ねて見えてきたこともあるといいます。

「やっぱり昔はもっと自分の手柄を立てたいとか、成功したい気持ちは強かったですね。今も野望がないわけではないですが、『そんなことよりも』という言葉が出てくるようになりました。そういう自分の野望よりも、家族もスタッフもみんな幸せで、俺もハッピーに働けたら良くない? そういう気持ちに完璧に変わったんです」

だからこそ逆に新しいことに関しては、前向きかつどん欲になったそう。

「自分の人生、もうマックスであと30年、下手したら10年、いや5年ってことだってある(笑)。だったら、もうやりたいことをやっちゃおうと(笑)。基準は自分がおもしろいと思うかどうか。この先やりたいことをどんどんやって、それが仕事になればおいしいじゃん(笑)という生き方にしようと思ったんです」

例えば趣味のひとつとして著書でも紹介している動画制作ではYouTubeで自分の携帯電話を公開して生電話を受けるなど、テレビではできないちょっと過激な内容も実現。さらに6月には、森恵(シンガー・ソングライター)と西崎ゴウシ(カルメラ)との音楽ユニット“竹森ゴウ”として1stシングル「人間失策-human error-」をリリースするなど、趣味が仕事にも繋がって、活動の範囲はどんどん拡がっていきます。
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あらゆることに飛び込めるのは、確固たる本筋があるから

とはいえ仕事は生活の手段でもあります。当たり前ですが嫌な仕事にも向かわなくてはいけないし、責任に押しつぶされそうになることだってあるはず。

「でもだからこそ、それを楽しむという考えの方が楽に生きることができるんです。僕も正直行きたくない現場だってある。でも行ったら行ったで何かおもしろいことがあるかもしれないと思えるようになりました」

そう考えるようになると、最初は気が向かない仕事にもまた違う視点が生まれたそう。

「行きたくない現場だったとしても、そこにはさまざまな人間がいる。ということはいろんな視点があり、自分の想像以上のことが起こる可能性はたくさんあるわけです。例えばおもしろい考えを持つ人に出会ったり、まったく違う意見に気づかされたり。それは現場で会ってみないとわからないですから」

「仕事を遊びに変えるなんて、理想論だ」他人からはそう言われることももちろんあるとか。

「確かに仙人でもない限り、完璧にはその域には達しないかもしれません(笑)。でもそれは考え方次第だと思うんです。どんな時もそのすべてを楽しもうという自分自身の意識を変えることが大事だと思っています」

そしてこれだけのさまざまな趣味そして仕事を楽しめるのは、裏を返せば自身が芸人という確固たる核があるから。
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「コンビでやっていた時は『TVで売れなくなっても、漫才がある限りやっていける』というプライドがあったんです。ただ相方が亡くなって一人になったので、漫才がなくなってしまい、俺自身は何者なのか? と考えちゃった時期もありました。

それで放送作家の鈴木おさむさんと始めたのが単独ライブ「放送禁止」。この“芸人・竹山”としての自分の幹となる舞台ができたことで、何をやっても怖くなくなりました。テレビでドッキリを仕掛けられても、クイズ番組で頭を悩ませようと、この本筋があることでどんなこともできると思えるようになったんです」

何物でもない自分を楽しむ

多趣味はもちろん「自分は何物でもないことがおもしろい」という竹山さん。

「ネットを見れば、竹山の何が面白いんだとか、こいつがテレビにでる意味がわからんとか書いてある(笑)。でもそう思われることが僕にとって大成功なんです。パンツ1枚でドッキリに出てるかと思うと、スーツでちょっと真面目なコメント言ってたりするわけですから、結局僕のことは何もわからない(笑)。

例えば50年後、100年後に誰かが昔の芸能史を調べた時に、そんなにスターでもないのに、なんだかいろんなことやっている、こいつは何者なんだ? わけわからない変な奴がこの時代にいたんだな、とフッと笑ってもらえる。それが僕のちょっとした楽しみなんです」

芸人であることを自分の核にしながら、飽くなき好奇心が遊びにも仕事にも楽しみをもたらすその生き方。好奇心にリミッターをつけず、自分の気持ちに正直にあらゆる楽しみを見つけることができる、心のゆとりと柔軟性、そしていつでも動ける機動力こそが、竹山さんの人生を豊かで楽しいものにしているようです。

「一番よくないのは、何もやらないこと。楽しんだもん勝ちですから」
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● カンニング竹山

1971年福岡県生まれ。2004年にお笑いコンビ「カンニング」として、初めて全国放送のお笑い番組に出演。「キレ芸」でブレイクし、その後役者としても活躍。現在はお笑いやバラエティ番組、ワイドショーに出演するほか、単独ライブ「放送禁止」の開催や、動画配信「竹山ライブショー」など、さまざまなメディアで活躍する。著書に『福島のことなんて、誰もしらねぇじゃねえかよ!』(ベストセラーズ)など。

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飛行機、キャンプ、バイクに野球、50歳からはともかく自分の「好き」をやってみよう。人生後半戦を楽しむひとり趣味のすすめ。
著/カンニング竹山 価格/本体890円+税 ポプラ社刊 

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