2024.09.02

いま、近づきたいのは大人の女性の美しさ

女性の美しさを表現してきたグラビア企画。男性なら好きなタレントの美しい表情やスタイルに心ときめいた経験はきっとあるはず。しかし今の時代、グラビア企画にも変化が。若い女子の水着姿を追いかけるだけじゃない新しいグラビアとは?

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写真/野口貴司 文・編集/森本 泉(Web LEON)

奥菜恵 WebLEEON  美しい人
▲ 『Okina Megumi』(宝島社)

40代のナチュラルな奥菜 恵さんを表現したかった

自ら被写体としてグラビア撮影の経験も豊富な女優でプロデューサーの小栗香織さんが企画し、LEONでも活躍する写真家の野口貴司さんが撮影した女優・奥菜恵さんの写真集『Okina Megumi』(宝島社)が好評発売中です。奥菜さんは現在45歳。写真集といえば若いタレントさんの露出を競うような作品が多い中、歳を重ねた大人の女性ならではの魅力に満ちた写真集はどのように制作されたのでしょう? 野口さんと小栗さんに伺いました。

── 今回の奥菜さんの写真集が出ることになったのはどういう経緯で?

小栗香織さん(以下、小栗) (奥菜)恵さんの写真集はずっとやりたいと思っていました。昨年、ある雑誌で彼女の昔の写真をまとめた企画をやって、そこでご本人と知り合って写真集の話をしたんです。ちょうど彼女も独立というか、事務所が変わるタイミングだったので、本人と直接色々な話をしたら、私とだったら大丈夫かな、やってみたいなと言ってくださって、そこがスタートでした。マネージャーも入れずにずっとふたりきりで打ち合わせを重ねて撮影に臨んだという感じです。
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── 小栗さんが奥菜さんの写真集をつくりたいと思ったのは、なにか理由があるのですか。

小栗 恵さんの昔の写真とか色々見ていましたけれど、私は何かそこに、他の人とは違う危うさのようなものを感じていて。すごく可愛いんだけど、ちょっと小悪魔的というか。そこが私的にはグッと刺さって、タイプだなっていう感じだったので(笑)。それから年月を経た今、40代の恵さんを写真に撮ったら絶対いいだろうなと思ったんです。

── 撮影当時、奥菜さんは44歳。そのぐらいの年齢の中でも彼女はズバ抜けて美しい方だと思いますが、そういう大人ならではの魅力、10代とか20代じゃない、40代半ばになっての奥菜さんの魅力というのを、 小栗さんはどういう風に感じていますか。

小栗 やっぱり多分、彼女もいろんな経験というか、人生紆余曲折あったと思いますし、子供さんもいるし、体調を崩されたこともあるし。そんな中でも、すごく輝いて頑張っているので、そういうのは絶対どこかに出てくるだろうという肌感覚みたいなものはありました。

そして、今まで、奥菜さんはグラビアのカメラマンとの仕事が多かったと思うので、もっと今の40代のナチュラルな恵さんを表現するのだったら、私はあえてファッションカメラマンがいいかなと思って。その前に別のお仕事でご一緒させていただいた野口貴司さんに絶対撮ってもらいたいと思ってお願いしました。
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『奥菜恵写真集 Okina Megumi』

俳優・奥菜恵が15年ぶりの写真集を刊行! コスメブランド「ni-Nin(ニーニン)」のプロデュースや美容関連の活動で、熱い注目を集める奥菜恵の「いま」に肉薄。まなざしの色香と、年齢を重ねた女性の匂いたつような美しさがほとばしる永久保存版の写真集。
定価/3850円(税込) 発売/株式会社宝島社 仕様/A4判・本文総ページ数112ページ
撮影/野口貴司、スタイリスト/牧野香子、ヘアメイク/福沢京子、プロデュース/Megumi Okina、エグゼクティブ・プロデューサー/Kaori Oguri

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── なるほど。やっぱり年齢を重ねてきた大人の女性ならではの魅力というのが、写真にも現れてくるという予感があったのですね。撮影した野口さんは実際の奥菜さんをどう感じましたか?

野口貴司さん(以下、野口) 彼女は天然で色っぽいですね。それを自分ではわかっていないんだけど(笑)。

小栗 本人はあまり人前に出るのが好きではなくて、できたら人の後ろにいたいタイプのようでして。

── タレントさんなのに、なんで(笑)。

小栗 それでもカメラ向けられると、ワッとこうスイッチが入ります。そこが恵さんの魅力なんだと思います。

野口 いきなりね、色気が溢れる時があって。それはすごいですよね。
── 野口さんは奥菜さんと今回初めてですか?

野口 ですね。初めてお会いしました。

── その時のイメージというのは、44歳の女性としてどういうふうに感じたんですか。

野口 見た目もそんな感じはしないし、本人も年齢の自覚はないのかなと。奥菜さんは年齢で生きてないのかなって気はしましたね。

── なるほど。

野口 44歳だからどうとか言うのじゃなくて、そういう風に自分は生きてるだけ、みたいな感じかなと思いましたけど。いい意味で天然って言えば天然ですよね。

小栗 本人、撮影はすごく楽しかったみたいで。

野口 これまではいつも色々大変な思いをしてきたみたいですね、昔は。

小栗 だから彼女も最初はけっこう構えていました。話を聞いていても、そういうのを感じたし。

野口 僕は「野口さんは女性にあまり興味はないんですか?」って聞かれました。

一同 (笑)。
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▲ 『Okina Megumi』(宝島社)
── どういう意味なんですか。

野口 今までやっぱりすごく、ヘテロなカメラマンが多かったんだと思いますよ。汗がポタポタ落ちて来るみたいな(笑)。いかにも獲物を狙ってるみたいな。若い時はずっとそうだったらしくて。僕はそういうアプローチをしないから。どちらかというと和気あいあいと。す~っと撮っちゃって、いいネいいネって感じなので。

── そうなんですね。

野口 別にスキンシップもしないし、変なポーズも要求もしないし、Hな顔をしろとも言わないから。いい表情が出て来るまで、自然に待って撮っていくので。

小栗 それが恵さんには新鮮だったんでしょうね。

野口 本当にそれぐらいのことでも、彼女としては、いつもと違うアプローチだったようで、だから、逆にすごい楽しかったんでしょうね。
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撮影で無理じいはしないし、嘘とか、騙したりはしたくない

── そのあたり、小栗さんがグラビア撮影を被写体として経験されていた頃はどうだったんですか?

小栗 昔は結構その現場で嘘つかれたこともありました。露出はここまでだと言われて現場に行ったら、話が違っていたりとか。

── 大御所のカメラマンの中には無茶な撮影をする方もいたという話は伝え聞きますね。

小栗 私もあるカメラマンの方に撮っていただいた時に……。

野口 ヌードにされた?(笑)

小栗 いえ、触られました。

── 現場で?

小栗 はい。スタジオに2人きりにさせられたりしてびっくりしました。

野口 へえ(笑)。

小栗 それでも嫌とは言えず。

── なるほど。

小栗 その時代は、どのカメラマンも先生、先生って感じでしたから。編集の人がすごくカメラマンを持ち上げるというか、気を遣っているんで。私もマネージャーからは言う通りしなさいと言われて。
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▲ 『Okina Megumi』(宝島社)
── さすがに今はそんなことをしたら大変ですけど、それでもグラビアって、いまだに過剰に男性目線で、粘着的な感じがどこかにある感じがしますけど、今回の奥菜さんの写真はちょっと違いますね。

野口 僕はあんまりグラビアはやらないけれど、今回は小栗さんと組むことで、今までの、そういうちょっとくどい感じのグラビアではない、新しい形ができたのかなとは思いますね。

小栗 あと、やっぱりスタートするまでの間に何度も話し合って、その出版社が求める露出感っていうのはどうしてもあるので、そこは守っていただくというか、事前に何度も話して納得したうえで撮影するのが大事かなと。

野口 被写体も能動的にそのプロセスに関わって楽しむということが大事で、そうできるようにスタッフが、ペースとか状況を作っていくことが、今回はできたのかなと思いましたけどね。

小栗 そうですね。
野口 例えばベッドに寝てるシーンとかでもね、そういう感じのシチュエーションだっていうのがわかると、本人が能動的にその表情をしてくれるっていう。

── なるほど。

野口 そこに信頼感があるから。だから、そういう意味ではすごく僕らも助かりますよね。小栗さんがこういう話をしてくれたから、これは大丈夫とか、これはダメみたいな感じで、意識が共有されている分、すごくやりやすい現場でした。

小栗 やらなきゃいけないことはやるけれど、無理じいはしないし、嘘とか、騙したりはしたくないですからね。
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【奥菜 恵さんにQ&A】

女優としてよりも、人として美しく在りたい

Q 今回の写真集ではどんな自分を見て欲しいと思いましたか?
A ナチュラルな姿です。

Q 写真集を作るにあたって、どのような準備をされましたか?
A 筋トレやピラティスを集中的にやりました

Q 出来上がった写真集について感想を教えてください
A とてもカッコ良く仕上げていただいて満足しています。

Q 奥菜さんが考える女性の美しさとはどのようなものでしょう?
A 強さと儚さと笑顔。

Q 10代、20代の頃と現在を比べて、美容やダイエットに対する考え方で変わったことはありますか?
A 昔は細さ=美という概念が自分の中にあって、無理なダイエットを繰り返してリバウンドや体調を崩すこともありました。今は逆の考えにいます。年齢のせいか太りたくても太れない体質になってしまい、もう少し太りたいのですが(笑)。

Q 女優として美しくあることは仕事上必要なことだと思いますが、プライベートでも美しくありたいと思いますか?
A 女優として美しく在ることよりも、人として美しく在りたいと思う気持ちの方が大きいです。

Q そのために普段から気をつけていること、努力されていることがあれば教えてください。
A 人にしてもらったことは忘れないこと、感謝は何度も伝えること、よく笑うこと、細かいことは気にしないこと、でしょうか……。あまり深く考えていないのですが、丁寧に良い加減に生きていたいです。
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大人の女性の魅力に迫る新たな連載企画「美しい人」がスタートします

── 実はこのメンバーでWeb LEONでも新たな連載企画を進めておりまして、ここではその発表と言うか予告もしたいのですが。

小栗 そうですね、今回、私たちが始めようとしているのは幅広く素敵な女性たちの、内面から醸し出される“大人の美しさ”に迫る新たなグラビア企画ということで、連載名を「美しい人」と名付けました。

── できれば過去のグラビア企画とは一線を画すような、大人の女性にしか出せない色気や優しさ、強さ、包容力など様々な魅力を「美しさ」としてうまく引き出せればと考えています。

野口 楽しそう(笑)。

小栗 私としては、人選とかも意外性というか、この人は絶対やらないだろうなとか、出ないだろうなっていう人にアプローチしていく作業というのは、すごく大変ですけど、結構面白くて。で、そこからまた、この人をどういう風に表現をしたらいいのかなと考えるっていうのも楽しくて。

── いいですね。

小栗 あとは写真としてはファッションシューティングではなく、人物としてのその人の魅力を引き出せる撮影にこだわりたいですね。

── 野口さんにはLEONでファッションも撮っていただいていますが、人物を撮る時とファッション撮る時の、意識の違いというか、それはどういうところにありますか。

野口 そうですね。ファッションの場合は まず服が先にあってモデルが着るわけじゃないですか。常に服が立たなければいけない。でも人物撮影の場合は、撮られる人に似合う服しか着せないから、その時点でもだいぶ違うんですね。洋服のディテールを見せる必要もないし。
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── 人物の場合は顔の寄りとかもインパクトがあるし、見たいなと思うんですが、 野口さんは人の表情についてはどういう風に表現したいと思っていますか?

野口 僕はどっちかというと、こういう表情がいいというような決まった考えはなくて、あくまでアクションに対するリアクションだと思うんです。単純にライブだと思っているんですね。一瞬の、そのスパークした感じというか。こっちが何か言うじゃないですか。その時に相手がどういう反応するかとか、そこが大事だと思っています。

── そういうアクションとリアクションがあって、本当の感情が生まれた時に、いい表情だったり、生きてる表情が出てくると?

野口 はいはい、そうです。

小栗 だから撮るのも早いんですね(笑)。粘って撮るカメラマンもいるので。

野口 それだと僕はもう表情が死んじゃうと思うんですよね。

── 同じカットをずっと撮り続けても、撮られる方も飽きるし(笑)。

野口 そういう人もいますけどね。もっともっとって。いい表情しろって、どんな表情なの、それ。もういいじゃんって(笑)。
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── なるほど。こちらからのアクションに対して自然に返ってくる表情が大事だと。

野口 本来自然ではないんだけれど、カメラを使って写真を撮るって、その時点でね。だけど、そのアクションに対する反応が、多分一番自然なのかなと思うから、僕からすると。

── はい。

野口 やっぱりこう、ライブ感と、スパークする感じというのがあれば、笑っている顔だろうが、ちょっと哀しそうな顔だろうが、その時のシチュエーションによっては一番いい表情に見えるのかなとは思うんです。

── 最後に小栗さんからひと言!

小栗 そうですね、私はつくる側と出る側の両方の気持ちがわかるので、その経験を生かして男性の方にも女性の方にも楽しんでいただける新しいグラビアになればと思います。

── ということで、間もなく始まる新しいグラビア連載「美しい人」に、乞うご期待!

● 奥菜 恵(おきな・めぐみ)

俳優。1979年8月6日生まれ、広島県出身。O型。1992年デビュー以降、俳優として数多くの映画、テレビドラマや舞台など幅広い分野で活躍。岩井俊二監督最新作、映画『キリエのうた』にも出演。

● 小栗香織(おぐり・かおり)

9月14日生まれ。神奈川県出身。女優、プロデューサー。1988年に横浜でスカウトされ、同年、としまえん夏のイメージガールでCMデビュー。「11PM」(日本テレビ系)金曜カバーガールとして人気を博す。その後、CM、映画、ドラマなど数多く出演。映画『Love Letter』(岩井俊二監督作品)に出演。この映画により韓国でも人気となり、04年、釜山国際映画祭にゲストとして参加。現在は、女優の他にも歌手として活動するほか、新人タレント、女優、韓流アイドルのプロデュースも手掛けている。主なプロデュース作品に韓流アイドル元超新星ユナクファースト写真集「y」(ワニブックス)、南果歩エッセイ集「乙女オバさん」(小学館)、藤あや子写真集「FUJI AYAKO」(講談社)、安斉かれんファースト写真集「In all♡」(小学館)、奥菜恵写真集「Okina Megumi」(宝島社)他多数。
Instagram/kaori.os_official

●野口貴司(のぐち・たかし)

11月30日生まれ、愛知県名古屋市出身、1995年N.Yから帰国後、東京を中心に、ファッション、広告等の撮影活動を始める。
instagram @noguchi_takashi

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